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Bible in 90 Days

An intensive Bible reading plan that walks through the entire Bible in 90 days.
Duration: 88 days
Japanese Living Bible (JLB)
Version
哀歌 2:1 - エゼキエル書 12:20

神の怒りの理由

主の怒りの雲がエルサレムを覆いました。
イスラエルで最も美しい町は、ちりの中に伏し、
主の命令によって天から投げ落とされました。
御怒りの燃え上がる日になると、
神はご自分の宮にさえ、
一かけらのあわれみもかけませんでした。
主は容赦なく、イスラエル中の家を倒し、
怒りにまかせて、すべての要塞と城壁を壊しました。
この国を、支配者もろとも地にたたきつけたのです。
イスラエルの力は、主の憤りの前に、
あえなく消滅します。
主は敵が攻めて来た時、擁護から手を引きました。
神は猛り狂う火のように、
イスラエルを焼き尽くします。
神はご自分の民に向けて、
まるで敵でもあるかのように弓を引きます。
主の御力は彼らに向かい、
えり抜きの若者たちを虐殺し、
憤りの火を注ぎます。
主は、敵のようになって、
イスラエルを地上から抹殺し、
その要塞と宮殿を破壊しました。
こうして、悲しみと涙が
エルサレムの受ける分となったのです。
主は、庭先の木の枝と葉で作ったあばら屋のように、
ご自分の神殿を手荒く壊しました。
もう例祭と安息日を守ることができません。
王も、祭司も、主の激しい怒りの前に倒れます。
主はご自分の祭壇から顔を背けました。
形ばかりの礼拝に失望したからです。
主は宮殿を敵の手に渡しました。
彼らは、例祭の日にイスラエル人がしたように、
神殿で飲み騒ぎました。
主はエルサレムを滅ぼそうと決め、
「破壊」という物差しでこの都を測ったのです。
それで、とりでも城壁も音を立ててくずれました。
エルサレムの門はもう役に立ちません。
主の手にかかって、錠もかんぬきも壊されたからです。
王も首長も奴隷となり、引かれて行きました。
そこには神殿もなく、
生活の指針となる律法もなく、
預言者の幻もありません。
10 エルサレムの長老たちは、荒布をまとって地に座り、
黙り込んでいます。
彼らは悲しみ、失望して、頭にちりをかぶります。
おとめたちも、恥ずかしがって頭を垂れます。

11 私は涙のかれるまで泣きました。
同胞の身に起こったことを見て、
悲しみのあまり胸が張り裂け、
身を切られる思いでした。
幼い子どもや、生まれたばかりの赤ん坊が、
道ばたで衰弱し、息絶えていくのです。
12 子どもたちは「何か食べたい」と訴えるように、
乳の出ない母の胸に顔を埋めます。
小さないのちは、
戦場で傷ついた兵士のように消えていきます。
13 今までこんな悲惨なことがあったでしょうか。
エルサレムよ。
あなたの苦悩を何にたとえたらよいでしょう。
どのようにして慰めたらよいのでしょう。
その傷は海よりも深く、だれにもいやせません。
14 預言者たちは、多くのまやかしを預言しました。
あなたの罪を指摘して、
何とかしてあなたが奴隷にならないようにしようと、
努力することもありませんでした。
うそを並べ立て、
万事うまくいくと言ったのです。
15 道行く人たちはみな、あざけって頭を振り、
「これが『世界で最も美しい都』とも、
『全地の喜び』とも呼ばれていた町なのか」
とさげすみます。
16 敵はあなたをあざ笑い、
ののしって言います。
「とうとう、この都を滅ぼしたぞ。
待ちに待った時がついにきた。
この目で、都が倒れるのを見た。」
17 しかし、このようにしたのは主です。
主は、警告どおりのことをしたのです。
ずっと前から決めていた
エルサレムを破壊するという約束を実現させたのです。
容赦なくエルサレムを滅ぼし、
敵がこの町のことで喜び、
自分たちの力を自慢するように仕向けたのです。
18 その時、人々は主の前で泣きました。
エルサレムの城壁よ、昼も夜も、
存分に泣きなさい。
涙が川となって落ちるまでに。
19 夜を徹して、神に叫びなさい。
主に向かって両手を上げ、
心を水のように注ぎ出しなさい。
飢えて道にしゃがみ込んでいる子どもたちのために、
ひたすら祈りなさい。
20 主よ、思い直してください。
このような仕打ちをしている相手は、
神の民ではありませんか。
母親が、ひざの上であやしたわが子を
食べていいのでしょうか。
祭司や預言者が、神殿で殺されてよいのでしょうか。
21 老人も幼い者も、男も女も、
敵の剣にかかって路上に倒れています。
主よ。あなたが怒って無慈悲に殺したのです。
22 あなたが、この恐ろしい破壊を招き寄せたのです。
あなたの怒りの日、逃げ延びた者や生き残った者は、
一人もいません。
幼い子どもたちはみな敵の手に落ち、
冷たくなって路上に横たわっています。

神の恵みはただ一つの望み

私は、神の激しい怒りのむちが振り下ろされるのを、
この目で見ました。
主は暗闇の底に私を連れて行き、
いっさいの明かりを吹き消しました。
私に襲いかかる主の御手は、
昼も夜も重くのしかかっています。
私は憔悴しきって、すっかり老け込んでしまいました。
主は私の前にとりでを築き、
苦しみと悩みで私を取り囲みました。
私を、ずっと前に死んだ者のように、
暗がりに埋めました。
主が私を閉じ込めたので、
どんなにもがいても逃げられません。
主は私を重い鎖でつなぎました。
私がどんなに声を張り上げても、
主は祈りを聞こうとされません。
私は、高い崖が周囲にそそり立つ所に閉じ込められ、
どんなに急いでも、道を先へ進めません。
10 主は熊やライオンのように、
私に襲いかかろうと待ち伏せています。
11 主は私をやぶに引きずり込み、
前足でずたずたに引き裂いて、置き去りにしました。
12 主は弓を引きしぼり、私にねらいをつけました。
13 その矢は、私の心臓に突き刺さりました。
14 同胞は私を笑い者にし、
一日中、下品な歌であざけります。
15 主は私に悲しみの杯を飲ませたので、
口の中が苦くなりました。
16 小石を食べさせられ、歯が折れました。
主は、私が灰とちりの中を転げ回るようにしました。
17 主よ、平和も繁栄も、ずっと前に姿を消しました。
あなたが取り去ったからです。
私は、楽しみとはどんなことか、すっかり忘れ、
18 夢も希望もなくなりました。
もう気力さえ残っていません。
主が私を置き去りにしたからです。
19 どうか、私に突きつけた苦い杯と苦しみとを
思い出してください。
20 私は身のすくむような恐ろしい年月を、
忘れようにも忘れられません。
私のたましいは屈辱に沈んだままなのです。

21 それでもなお、一つの望みが残っています。
22 主の恵みは決してなくなることがない、
ということです。
私たちが滅亡しなかったのは、
主の恵みによります。
23 神の真実は限りなく、
その恵みは朝ごとに新しくなります。
24 主こそ私の受ける分で、私は主に望みを置きます。
25 主は、ご自分を待ち望む者、ご自分を求める者を
いつくしみます。
26 主の救いだけに望みを置いて、
静かに待つのは良いことです。
27 若い時にきびしく訓練されるのは良いことです。
28 その人は主から命令があったとき、
黙ってそれを受け止め、
29 下を向きますが、
ついには希望を見いだすようになります。
30 自分を打つ者にもう一方の頬を向け、
ひどい侮辱を受けなさい。
31 主がいつまでも見捨てておくはずがないからです。
32 たとえ、彼に悩みを与える場合でも、
主は恵み深いお方ですから、
忘れずにあわれみをかけてくれます。
33 主は意味もなく人を苦しませ、
悲しませたりはしません。

34-36 しかし、あなたは身分の低い者を踏みつけ、
神に与えられた彼らの権利を奪い、
公平に扱いませんでした。
だから今、主がつらく当たるのは当然のことです。
37 主の許しがなければ、だれもあなたに、
あれほどひどい仕打ちをするはずがありません。
38 ある人を助け、ほかの人に災いを下すのは主です。
39 どうしてただの人間にすぎない私たちは、
自分の罪のために罰を受けたからといって、
つぶやいたり、不平を言ったりするのでしょう。
40 むしろ、自分自身を振り返り、悔い改めて、
主に立ち返るべきです。
41 手だけでなく、心もいっしょに、
天におられる神に向けようではありませんか。
42 私たちは罪を犯したのです。
主に反抗し、
主は、そのことを忘れませんでした。
43 主よ。あなたは怒って私たちを追いつめ、
容赦なく打ちました。
44 あなたは雲で姿を隠しているので、
私たちの祈りは届きませんでした。
45 あなたは私たちを、
国々の間で、ごみのように捨てられるものとしました。
46 敵はみな、私たちに大きな口をたたきました。
47 私たちは罠にかかり、見殺しにされたので、
恐れに取りつかれました。
48-49 同胞が滅んでいくのを見て、
昼となく夜となく、涙があふれ出ます。
50 ああ、主が天から見下ろして、
私の叫びに答えてくださるとよいのに。
51 私の胸は、エルサレムの娘たちの災いを知って、
張り裂けんばかりです。
52 今までに一度もこちらから害を加えたことのない敵が、
まるで鳥をねらうように、私を追いかけました。
53 彼らは私を井戸に放り込み、
大きな石でふたをしたのです。
54 水が頭の上まで来たので、
これで終わりだと思いました。
55 しかし主よ。
私は井戸の底から、主の名を呼びました。
56 すると、あなたはその叫びを聞いてくださいました。
私の訴えに耳を傾け、
私の泣き声を聞かれたのです。
57 私の絶望の声を聞いて近づき、
「恐れてはいけない」と語りました。
58 私を弁護してくれる主よ、私をお守りください。
あなたは私のいのちを買い戻してくださったのです。
59 あなたは、敵が私にどんなことをしたかを見ました。
裁判官となって、私の身の潔白を証明してください。
60 あなたは、敵が企んださまざまの陰謀を見て、
61 聞くに耐えない名で私を呼んだのをご存じです。
62 また、彼らが私について言っていること、
ひそひそ声で相談している計画をご存じです。
63 私の失脚を謀って、あざ笑い、
はしゃいで歌っている様子を見てください。
64 主よ、彼らのしたすべての悪に、
報いてください。
65 主よ、彼らを強情にし、のろってください。
66 とことんまで追いつめ、
天の下から根絶やしにしてください。

エルサレムの哀歌

どうして、純金は光沢を失ったのでしょうか。
それを埋め込んだ神殿の壁がくずれ落ち、
道ばたに散らばったからです。
純金とも言うべき、えりすぐりの若者が、
土の器のように扱われています。
3-4 山犬でさえ、自分の子を育てるというのに、
イスラエルは荒野のだちょうのように、
赤ん坊の泣き声を聞いても知らぬふりをしています。
一滴の水も残っていないので、
子どもたちは渇きのため、
のどがかれています。
幼子はパンが欲しくて泣きますが、
誰ひとり、一かけらも与えることができません。
味にうるさい美食家たちも、
口に入る物なら何でも恵んでくれと、
道ばたで物乞いしています。
宮殿育ちの貴族までが、ごみ捨て場をあさります。
それというのも、イスラエルの罪は、
またたく間に、人の手によらず滅んだ
ソドムの罪より大きいからです。
上流階級の人たちは、ほっそりして日に焼け、
見るからに健康そうで、
最高の人々でした。
それが今では、顔はすすけたように真っ黒です。
町の中にいても見分けがつきません。
皮膚はかさかさに乾いてしなび、
骨にへばりついています。
剣でひと思いに殺される者は、
飢えのためにじわじわと死に追いつめられる者より
はるかにましです。
10 心の優しい女でさえ、生き延びるために、
自分の腹を痛めた子どもを食べました。
11 こうして主の怒りは晴らされ、
激しい憤りが出し尽くされました。
主がエルサレムに放った火は、
その土台まで焼き尽くしました。
12 世界中のだれもが、
まさか敵軍がエルサレムの門を破るとは、
夢にも思いませんでした。

13 神がそれを許したのは、
罪のない者の血を流して都を汚した
預言者や祭司たちの罪のためです。
14 今や、彼らは血にまみれ、
触れるものは何でも汚しながら、
あてもなく町の中をさまよい歩いています。
15 彼らを見て、人々は「あっちへ行け。
汚らわしい」と叫びます。
彼らは遠い国へ逃げて行き、
外国人の居留地をなおさまよい歩きます。
しかし、どこへ行っても仲間はずれで、
誰ひとり居住権を与えてくれません。
16 主は彼らにつらく当たり、
援助の手を伸べるのを差し控えました。
神に最後まで忠実だった祭司や長老たちを、
彼らが迫害したからです。
17 私たちは、同盟国の助けを待っていましたが、
来ませんでした。
最もあてにしていた国さえ、
少しも動こうとしませんでした。
18 一歩外に出れば、身の危険にさらされどおしです。
私たちの最期は間近です。
私たちの余命は、もう数えるほどしかありません。
私たちは滅亡の宣告を受けています。
19 敵はわしより速く飛ぶので、
たとえ山へ逃げても、すぐに見つかります。
荒野に隠れても、先回りして待っています。
20 頼みの綱であった、主に油注がれた私たちの王は、
敵の罠にかかって捕まりました。
この偉大な王さえいれば、
どんな国が来ても大丈夫だったのに。
21 ウツの地に住むエドムの人たちよ。
喜んでいるのですか。
しかしあなたがたも今に、
主の恐ろしい怒りを感じるようになります。
22 イスラエルは罪を犯して遠い国へ移されましたが、
刑期はやがて終わります。
しかしエドムの刑期は、いつまでも終わりません。

悔悟の祈り

主よ、私たちの身に起こったことをみな
思い出してください。
私たちが、どんなに大きな悲しみを
忍ばなければならないかに、目を留めてください。
私たちの家にも、国にも、
見知らぬ外国人が住みついています。
父親は死に、母親は未亡人となり、
私たちは孤児となりました。
飲み水にさえ、金を払わなければならなくなりました。
たきぎを買おうとすると、
とほうもない値段をつけられます。
私たちは支配者の足もとにひれ伏し、
いつ終わるとも知れない労働にせき立てられます。
パンを得るために、
エジプトやアッシリヤに頭を下げます。
私たちの先祖は罪を犯しましたが、
さばきが下る前に死にました。
私たちは、彼らの受けるはずの刑罰を
背負い込んだのです。
以前は私たちに仕えていた召使が、
今では主人に取って代わりました。
私たちを救ってくれる者は一人もいません。
私たちは、
敵に襲われていのちを落とすのを覚悟して、
食べ物を探しに荒野へ行きました。
10 皮膚は、飢えのため黒ずんできました。
11 敵はエルサレムの女や、
ユダの町々の娘を辱めました。
12 指導者たちは彼らの手でつるされ、
長老たちもさげすまれました。
13 彼らは、ひき臼をひかせるために若い人たちを、
重い荷をかつがせるために幼い子どもたちを、
労働力として連れ去りました。
14 もう町の門に、老人たちは座っていません。
若者が踊ったり歌ったりする姿も、
もう見ません。
15 喜びを忘れ、
踊りは死の踊りとなりました。
16 私たちの栄光は去り、
頭から冠が転げ落ちました。
私たちが罪を犯したために、
災いが降りかかったのです。
17 私たちの心は弱って疲れはて、目はかすんでいます。
18 エルサレムと神殿は荒れはてて、住む人もなく、
いるのは廃墟を歩き回る野獣だけです。

19 主よ。あなたはいつまでも変わらないお方で、
御座は永久に続きます。
20 それなのになぜ、私たちを忘れてしまったのですか。
なぜ、こんなに長い間、
見捨てておくのですか。
21 私たちに御顔を向け、
もう一度、みもとに戻してください。
それだけが私たちの望みです。
以前の喜びを返してください。
22 それとも、神は私たちを
すっかり見放してしまったのですか。
まだ私たちを怒っているのでしょうか。

最初の幻

1-3 ブジの息子である私エゼキエルは祭司でしたが、バビロンに連れて来られた捕囚のユダヤ人の一人として、ケバル川のほとりに住んでいました。第四の月の五日、突然、天が開いて、私は神からの幻を見たのです。その時、私は三十歳になっていました。

その幻の中で、私は見たのです。北の方から、燃える火のような巨大な雲を前面に押し出しながら、激しい嵐が私を目がけて突進して来ます。雲に包まれた火は絶え間なく閃光を放ちながら、火の中には、みがき上げた真鍮のように輝くものがありました。

すると、その雲の真ん中から、人間のように見える奇妙な姿をした四つのものが現れました。 その四つのものは、それぞれ四つの顔と二対の翼を持っていました。 足は人間の足のようですが、先が子牛のひづめのように分かれていて、みがいた真鍮のように輝いているのです。 また、それぞれ翼の下から人間の手が出ているのが見えました。

この四つの生きものは翼を連ねて、曲がらずにまっすぐ飛んで来ました。 10 それぞれの顔は、正面は人の顔、右側はライオンの顔、左側は牛の顔、背面はわしの顔でした。 11 それぞれの二対の翼は、背中の中央から広げられ、一対は両側の生きものの翼に触れ合い、他の一対は体を覆っていました。 12 そして、彼らの霊が行く所はどこへでも、曲がることなく、まっすぐに進んで行きました。

13 これらの生きものの間を、赤く燃える炭火や明るいたいまつのように輝く別の生きものがうごめいていました。それらの生きものからは、いなずまが出ていました。 14 その生きものたちは、いなずまの光のように速く、あちこち動き回っていました。

15 私がこの光景に見入っていると、四つの生きものの下には、地上でそれらを支えるように四つの輪があるのが見えました。それぞれの生きものに一つの輪がついているのです。 16 輪はみがき上げた琥珀でできているように見え、輪の中にもう一つの輪が内側にあるようにはめ込まれていました。 17 これらの輪は、向きを変えずに四つの方向に向かうことができました。 18 四つの輪には縁と輻があり、縁の外側には目がいっぱいついていました。 19-21 四つの生きものが前方に飛ぶときは輪も前方に動き、上に飛ぶと輪も上に動きました。生きものが止まると輪も止まりました。生きものの霊が輪の中にあったからです。それで、霊が行く所はどこへでも、輪と生きものも行きました。

22 生きものの上に広がった大空は、まるで水晶のように輝き、ことばでは表現できないほどの美しさでした。 23 それぞれの生きものの翼は、互いにまっすぐに伸びて触れ合い、もう一対の翼が体を覆っていました。 24 生きものが飛ぶと、翼は打ち寄せる波や神の声のように、あるいは大軍勢の雄たけびのようなとどろきを立てました。生きものは止まると、翼を下に垂れました。 25 生きものが止まるたびに、頭上の水晶のような大空から声が聞こえました。

26 生きものの頭上の空高く、壮麗な青いサファイヤで作った王座のようなものがあり、人間の姿に似た方が座っていたのです。 27-28 その方は、腰から上は、火のように照り輝く、燃える青銅のように見えました。腰から下は炎に包まれ、その方の回りには虹のような輝きがありました。このように、主の栄光が示されたのです。これを見て、私は地にひれ伏しました。そして、私に語りかける方の声を聞いたのです。

エゼキエルの召命

その方は私に、「人の子よ、立て。わたしはあなたに語ろう」と言いました。 その方が語ると、御霊が私の中に入り、私を立たせました。 「人の子よ、あなたをイスラエルの国、すなわち、わたしに反逆している国に遣わす。彼らも、彼らの先祖も、この時までわたしに罪を犯し続けてきた。 彼らは恐ろしく強情で頑固者だ。それでもわたしは、神である主のことばを伝えるために、あなたを遣わす。 彼らは反逆者なのだ。だが忘れてはならない。彼らが聞いても聞かなくても、少なくとも、彼らの間に預言者がいたことだけは知るだろう。

人の子よ、彼らを恐れるな。どんなに彼らの脅しが激しく、とげとげしくて、さそりのように突き刺してきても、ひるんではならない。険悪な様相であってもたじろぐな。彼らは反逆者なのだから。 彼らが聞こうが聞くまいが、あなたはわたしの言うことを語れ。もっとも彼らは、骨の髄まで反逆者だから聞かないだろうが……。

人の子よ、わたしが語ることを聞け。あなたが反逆者になってはならない。口を大きく開けて、わたしが与えるものを食べるがいい。」

9-10 そこで私が見ていると、裏表両面に字が書いてある巻物を持つ手が、目の前に差し出されたのです。その方は巻物を広げましたが、そこには警告や悲嘆や、審判の宣告などがびっしり書かれていました。

その方は命じました。「人の子よ、わたしが与えるものを食べなさい。さあ、この巻物を食べるのだ。それから出て行って、そのことばをイスラエルの民に告げるのだ。」 私は巻物を手に取りました。 「それを残らず食べなさい」と、その方は言います。食べてみると、なんとみつのように甘い味がしました。

命令はさらに続きます。「人の子よ、あなたをイスラエルの民に遣わす。わたしのことばを携えて行け。 ことばが通じない遠い外国へ遣わすのではない。 難しい外国語を話す国に遣わすわけではない。もっとも、そのような国であれば、人々は耳を傾けるだろう。 わたしがあなたを遣わすのは、イスラエル人のところだ。彼らはわたしの言うことを聞こうとしない。あなたの言うことも聞こうとしないだろう。彼らは強情で、ずうずうしく、頑固なのだ。 だから、わたしもあなたを彼らと同じように、あつかましい頑固者にした。 あなたの額を岩よりも堅くした。しかし、彼らがどんなにしぶとい反逆者でも、恐れてはならない。どんなにいやな顔や怒った顔をされても、たじろいではならない。」

10 その方は続けて言いました。「人の子よ、まず、わたしのことばをすべて心の奥底に収め、注意深くそれに聞き従いなさい。 11 それから、捕囚とされた同胞のところへ行き、彼らが聞いても聞かなくても、『神である主はこう言う』と告げるがいい。」

12 すると、御霊が私を持ち上げました。大きな地震のとどろきを伴って、主の栄光が上り始めました。 13 それは、生きものたちの翼が互いに触れ合う音と、輪の音でした。 14-15 御霊は私を持ち上げると、ケバル川のほとりにある、別のユダヤ人居留地テル・アビブに連れて行きました。私は憤り、苦々しい思いでしたが、神の御手が強く私の上に置かれていました。七日間というもの、私はただ呆然と彼らの中に座っていました。

見張り役としての働き

16 七日目の終わりに、主はこう語りました。 17 「人の子よ、わたしはあなたをイスラエルの見張り役とした。わたしの民に与える警告をただちに伝えなさい。 18 わたしが悪者に、『おまえに死の罰を加える。悔い改めて、自分のいのちを救え』と伝えてほしいとき、そのように警告しないなら、彼らは自分の罪のために死ぬが、わたしはあなたを罰する。彼らの血の責任をあなたに問う。 19 だが、あなたがいくら警告しても彼らが罪を犯し続け、いっこうに悔い改めないなら、彼らは自分の罪のために死ぬ。そして、あなたには責任がない。あなたはできるかぎりのことをしたのだから。 20 もし善良な人が悪を行っているのに、あなたが警告しないなら、わたしは彼を滅ぼす。以前の善行は何の助けにもならない。彼は自分の罪のために死ぬ。だが、わたしは彼の死の責任をあなたに問い、あなたを罰する。 21 もしあなたが警告し、彼が悔い改めるなら、二人とも自分のいのちを救うことになる。」

22 私はどうすることもできないで、主の御手の中にありました。主が「さあ、谷間に出て行きなさい。そこであなたと語ろう」と言ったので、 23 私はすぐに立って谷間へ出て行きました。すると、ケバル川のほとりで最初に見たのと同じ主の栄光を、そこでも見たのです。私は思わず地面にひれ伏しました。

24 それから、御霊が私の中に入り、私を立たせました。主は私に命じました。「行って、家に閉じこもりなさい。 25 家から出られないように、あなたの体を動けなくさせる。 26 また、あなたの舌を上あごにつかせるので、彼らを責めることができなくなる。彼らは反逆者だからだ。 27 だが、わたしがあなたに語るときは、その舌を自由にし、話せるようにする。彼らに『神である主はこう言う』と言いなさい。聞きたい者には聞かせ、聞きたくない者には聞かせてはならない。彼らは反逆者だからだ。

エルサレム包囲の象徴

人の子よ、大きな一枚の粘土板を置いて、その上にエルサレムの町の地図を描きなさい。 町を攻撃するために築かれるとりで、町を包囲する敵軍の陣営、さらに城壁の回りに破城槌(城門を突破する兵器)を描きなさい。 また、あなたと町との間に、鉄の壁のように一枚の鉄板を立てなさい。こうして、敵軍がどのようにエルサレムを攻略するかを表現して見せるのだ。わたしが命じた一つ一つのことには、それぞれ特別の意味がある。というのは、それはイスラエルの民に対する警告だからだ。

4-5 三百九十日間、左わきを下にして横になりなさい。それは、捕囚と破滅によって三百九十年間、イスラエルが罰せられることを示すためだ。その一日は、イスラエルにやがて訪れる一年間の罰を表している。 次に、ユダに対する罰の期間を示すために四十日間、今度は右わきを下にして横になりなさい。やはり一日は一年に相当する。 その間も、エルサレムの包囲の様子を実演して見せるのだ。その包囲と攻撃がどんなに強烈なものかを教えるために、腕をまくって横になりなさい。これはエルサレム滅亡の預言だ。 わたしがあなたの体を動けなくさせるので、あなたは包囲の全期間が終わるまで寝返りさえ打てない。

初めの三百九十日間は、小麦、大麦、そら豆、レンズ豆、あわ、裸麦の粉をつぼに入れて混ぜ合わせ、その粉でパンを作って食べなさい。 10 一日に一食、一回二十シェケル(二百三十グラム)ずつに分けて食べるのだ。 11 水は一日に六分の一ヒン(一ヒンは三・八リットル)だけ飲んでよいが、それ以上飲んではならない。 12 毎日、たるから粉を取り出し、大麦のパン菓子を作りなさい。みんなの見ている前で、乾いた人糞の火の上で焼いて、そのパンを食べなさい。 13 わたしの命令だ。イスラエルは捕囚となる異国の地で、汚れたパンを食べるのだ。」

14 「おお神よ。私は人糞で身を汚さなければならないのでしょうか。今まで、一度も身を汚したことがありません。子どもの時から今まで、病気で死んだ動物や、野獣に殺された動物を食べたことはありません。また、律法が禁じている獣を食べたこともありません。」

15 すると、主は答えました。「それなら、人糞の代わりに牛の糞でもよい。」 16 主はこう言って、さらにことばを続けました。「人の子よ。エルサレムではパンの配給が乏しくなる。注意深く量り、こわごわ食べることになるだろう。水も少量しか分け与えられず、人々は不安のうちにそれを飲むようになる。 17 わたしは人々を乏しくさせる。また、異常な恐怖心を抱いて互いを見るようにし、罰によって疲れはてさせる。

神のさばきの剣

人の子よ。鋭い刃の剣を取り、床屋のかみそりのようにそれを使って頭とひげをそりなさい。また、その毛をはかりにかけて、三等分にしなさい。 その三分の一をエルサレムの地図の真ん中に置き、包囲の期間が終わったらそこで燃やしなさい。次の三分の一を、地図に描いた町の回りに広げ、ナイフで切りきざみなさい。残りの三分の一は、風で吹き散らしなさい。わたしは剣をもってわたしの民を追いかけるからだ。 その毛を少し取っておき、衣のすそで包みなさい。 また、そこから数本の毛を取り出し、火に投げ込みなさい。この残りの毛から出る火が、全イスラエルを焼き滅ぼす。」

5-7 主は言います。「これはエルサレムに起こることである。エルサレムはわたしのおきてから離れ、周囲の国々よりも悪くなってしまったからだ。」 それで、神である主は言います。「今、わたしもあなたを攻め、すべての国々が見守る中で罰する。 あなたが犯した恐ろしい罪のゆえに、今までにも下したことがなく、これからも下さないような重い罰を下す。 10 親がわが子を食べ、子も親を食べるようになる。幸いにして生き残った者も、世界中に散らされる。 11 あなたに約束する。偶像や忌まわしいいけにえによってわたしの聖所を汚したからには、あなたを惜しんだり、あわれんだりしない。 12 あなたの三分の一はききんと疫病で倒れ、他の三分の一は敵に殺される。残りの三分の一は四散するが、そのあとから敵の剣が追いかける。

13 こうして、わたしの怒りがようやく収まる。全イスラエルは、わたしが警告どおりに実行することを悟るだろう。

14 わたしは、周囲のすべての国々に、また、廃墟となったこの地を通り過ぎるすべての旅人に対して、あなたを見せしめとする。 15 あなたは全世界の笑いものとなり、すべての人への恐ろしい見せしめとなる。主が一つの国を激しく叱責し、その国全体に立ち向かうとき、どのようなことが起こるかを見るからだ。主であるわたしが、これを語っている。 16 わたしは恐ろしいききんの矢を雨と降らせて、あなたを滅ぼす。ききんはますますひどくなり、一切れのパンも残らなくなる。 17 ききんばかりでなく、野獣があなたとあなたの家族を襲って、かみ殺す。疫病と戦争が国中に起こり、敵の剣があなたを虐殺する。主であるわたしが、これを語っている。」

イスラエルの山々の運命

再び、主からのことばがありました。

「人の子よ、イスラエルの山々に預言せよ。

ああ、イスラエルの山々よ。あなたに、また、川や谷に語られる神、主のことばを聞け。わたしが、主であるこのわたしが、あなたがたの偶像を滅ぼすために戦争を起こす。 4-7 町々はすべて打ち砕かれ、焼かれる。偶像の祭壇は捨て去られる。神々の像は粉々に砕かれ、偶像の礼拝者たちの骨も祭壇の回りにまき散らされる。その時、ようやくあなたがたは、わたしこそ主であることを知る。

しかし、わたしは、わたしの民のうち少数の者を逃れさせ、国々の間に散らそう。 そうすれば、国々に捕囚として連れて行かれるとき、彼らはわたしを思い起こすだろう。わたしが彼らの姦淫の心、偶像を愛する心を取り去り、ほかの神々を慕うみだらな目を見えなくするからだ。その時になってやっと、彼らは自分が犯した悪のゆえに自分自身を嫌悪するようになる。 10 彼らは、わたしだけが神であり、わたしがこれらすべてのことが起こると語ったとき、決して理由もなく言ったのでないと気づくだろう。」

11 神である主はこう語ります。「恐れおののきつつ両手を上げ、激しい自責の念にかられて叫べ。『ああ、何という悪事をしでかしたことか』と叫ぶがいい。戦争とききんと疫病で滅びようとしているからだ。 12 捕囚の地にある者は疫病で死に、イスラエルの国にいる者は戦争で倒れ、生き残った者もききんと籠城で死ぬ。こうして、わたしの憤りもようやく収まる。 13 殺された者が、丘や山の上にある偶像や祭壇の回りに、また、神々に香をたいた青い木や茂った樫の木の下に散り散りに横たえられるとき、わたしだけが神であることに気づく。 14 わたしはあなたがたを押しつぶし、南は荒野から北はリブラまで、町々を荒廃させる。その時、わたしが主であることを知るだろう。」

終わりの時がくる

続いて、神からのことばが私にありました。

「イスラエルに告げよ。あなたの見るところはみな、東も西も、南も北も、もう終わりだ。この国はもう終わりが来た。 わたしは、偶像を拝んだあなたに怒りをぶつける。もう絶体絶命だ。 わたしはあなたから目を背け、あわれんだりはしない。とことんまで罰する。そうすれば、わたしが主であることを、あなたがたは知るようになるだろう。」

5-6 神である主は言います。「次から次へと災いを送って、あなたにとどめを刺そう。終わりはすでにきている。終局の破滅が待っているだけだ。 ああ、イスラエルよ。滅亡の日のきざしは現れ、時はきた。苦難の日は近い。それは喜びの声を上げる日ではなく、苦しみもだえて叫ぶ日だ。 8-9 やがて、わたしは憤りを注ぎ、おまえたちの悪のすべてを徹底的に罰しよう。もはや、あなたを惜しまず、あわれまない。これをしているのが、主であるわたしであることを、あなたがたは知るようになるだろう。

10-11 ついに、さばきの日がきた。朝日が昇ってくる。あなたの悪と高ぶりは頂点に達し、行き着くところまで行ったからだ。富におごり、高ぶる悪者は、一人も生き長らえない。高慢の鼻は完全にへし折られ、あなたがたの運命を嘆く者もいなくなる。

12 さあ、その時がきた。その日が近づいた。神の怒りがその地に臨むので、買う物もなく、売る物もなくなる。 13 主がイスラエルの民全体にさばきを宣言したので、たとえ商人が生き長らえても、商売はできなくなる。すべての人が滅ぼされる。罪に満ちた生活をしている者はだれも立ち直れない。

14 イスラエル軍に、『進め』と角笛を吹き鳴らしても、だれも聞こうとしない。わたしの怒りがすべての者に臨むからだ。 15 城壁の外に出れば、敵が彼らを殺そうと待ちかまえている。城壁の内側にとどまれば、ききんと疫病で滅ぼし尽くされる。 16 運よく逃れた者も、山々にひそむ鳩のように、その寂しさを嘆き悲しみ、自分の罪のために泣き悲しむ。 17 手も弱くなり、ひざもがくがく震えるようになる。 18 彼らは荒布をまとい、恐怖と恥で包まれ、悲しみと自責の念にかられて頭をそる。

19 金銀を投げ捨てよ。怒りの日には何の価値もなくなるのだから、がらくたのように放り出せ。彼らの罪の根本は金銀を愛することにある。それが、腹を満たすことも満足させることもできなくなるのだ。 20 わたしの神殿を美しく飾るために与えた金で、彼らは偶像を造ってしまった。それゆえ、わたしはそれを全部取り上げる。 21 戦利品として外国人や悪者どもに与える。彼らはわたしの神殿を汚すだろう。 22 その時、わたしは見て見ぬふりをする。止めはしない。彼らは強盗のように宝物をあさり、神殿を廃墟のようにする。

23 わたしの民のために鎖を用意せよ。この国は流血の罪で満ちているからだ。エルサレムは暴虐に満ちているので、わたしはその住民を奴隷とする。 24 諸国の中でも最悪の国を、エルサレムに来させよう。彼らの家々を占領させ、彼らが誇っている要塞を破壊させ、神殿を汚させ、高慢の鼻をへし折らせる。 25 イスラエルを切り捨てる時が、いよいよきた。平和を求めても得られない。 26-27 災いの上に災いが、悲しみの上に悲しみが、惨事の上に惨事が襲う。彼らは預言者の指導を求める。それなのに、祭司も長老も、王も君主も、ただ手をこまねいているだけで、絶望のうちに泣き悲しんでいる。わたしは彼らが行った悪に対し、それに十分見合った報いをするので、彼らは恐怖のあまり震えおののく。そして、わたしが主であることを知るようになる。」

神殿で行われる偶像礼拝

それから、エホヤキン王の捕囚六年目の第六の月の五日のこと、私が家でユダの長老たちと話していると、神である主の力が私に臨みました。 私は人の姿のようなものを見ました。腰から下は火で、上は琥珀色(黄褐色)に輝いています。 その方が手の形をしたものを伸ばして私の髪の毛をつかむと、御霊が私を宙に持ち上げ、エルサレムの北の門の入口に連れて行ったのです。そこに、主の激しい怒りを引き起こした偶像がありました。 すると突然、前に谷間で見たのと同じようなイスラエルの神の栄光が現れました。

その方は私に、「人の子よ、北の方を見なさい」と言ったので、そちらを見ると、祭壇の門の北にある入口に偶像が立っているではありませんか。 その方はさらに言いました。「人の子よ、彼らのしていることが見えるか。わたしを神殿から追い出すために、イスラエルの民がそこで犯している大きな罪が見えるか。さあ、もっと大きな罪を見せよう。」

こう言うと、その方は私を神殿の庭の入口に連れて行きました。そこの壁に穴がありました。 するとその方が、「さあ、壁を掘り抜くのだ」と命じたので、そのとおりにすると、隠れた部屋に通じる入口があるではありませんか。 「入って行って、そこで行われている邪悪なことを見なさい。」

10 入ってみて驚きました。あらゆる種類の蛇やとかげ、おぞましい獣の絵が、イスラエルの民が礼拝する各種の偶像とともに壁一面に描かれているのです。 11 そこに、イスラエルの七十人の長老が、シャファンの子ヤアザヌヤとともに立ち、それらの絵を拝んでいます。長老たちはそれぞれ香をたく香炉を持っており、一同の頭上には、香の濃い煙が雲のように立ちこめていました。 12 「人の子よ、イスラエルの長老たちが自分から進んでしていることを、よく見たか。彼らは、『主は見ていない。主は去って行った』とうそぶいている。 13 さあ、もっと大きな罪を見せよう。」

14 その方は私を、神殿の北の門に連れて行きました。そこには女たちが座って、異教の神タンムズのために泣いていました。 15 「これを見たか。しかし、もっと大きな悪を見せよう。」

16 こう言うと、その方は私を神殿の内庭に連れて行きました。そこでは、神殿の玄関と青銅の祭壇との間に、二十五人ばかりの人が神殿に背を向けて立ち、東を向いて太陽を拝んでいたのです。 17 「これを見たか。こんな恐るべき罪を犯して民全体を偶像礼拝に導き、わたしを軽んじて、ますますわたしを怒らせるようなことは、ユダの人々にとって取るに足りないことなのだろうか。 18 それで、わたしも激しい憤りをもって彼らをあしらう。少しもあわれまず、惜しみもしない。彼らがあわれみを求めて叫んでも、耳をふさいでいよう。」

偶像を拝む者へのさばき

それから、その方は大声で叫びました。「わたしがこの町を与えた者たちを呼びなさい。武器を持って攻めて来るようにと言うのだ。」 六人の男がこの呼び声に答えて、おのおの剣を持って北側の上の門から現れました。そのうちの一人は亜麻布の衣を着て、腰に筆入れをつけていました。彼らはみな神殿に入り、青銅の祭壇のそばに立ちました。

その時、イスラエルの神の栄光がケルビム(神の契約の箱を守る天使)から立ち上り、神殿の入口の上にとどまりました。主は筆入れを持った男を呼び寄せ、 「エルサレム中を巡り、この町で行われているあらゆる罪のために、泣き悲しんでいる者の額にしるしをつけなさい」と命じました。 また、主がほかの男たちにこう言うのが聞こえました。「彼について行って、町中を巡り、額にしるしがついていない者を打て。惜しんだり、あわれんだりしてはならない。 老若男女を問わず、小さい子どもも、残らず打つのだ。しかし、あのしるしのついている者には触れてはならない。まず、この神殿から始めよ。」そこで彼らは、七十人の長老たちから始めました。

ついで主は命じました。「神殿を汚し、打ち殺す者たちの死体で庭を満たすのだ。さあ、行け。」彼らは出て行って、命令どおりにしました。 その間、私はひとり残されました。私は地にひれ伏し、こう叫びました。「ああ神、主よ。あなたはエルサレムに対する憤りで、イスラエルに残された者たちを皆殺しにするのでしょうか。」

しかし、主は私に言いました。「イスラエルとユダの罪は非常に大きく、民全体に虐殺と不正行為が満ちている。彼らは、『主は見ていない。主は去って行った』と言っている。 10 だから、わたしは彼らを惜しまず、あわれみもしない。彼らがしたことに対して、十分な報いを行う。」 11 ちょうどその時、亜麻布の衣を着て、筆入れを持った男が戻って来て、「ご命令のとおりにしました」と報告しました。

ケルビムと神の臨在

10 突然、ケルビムの頭上の大空に、青く輝くサファイヤの王座のようなものが現れました。 主は亜麻布の衣を着た者に命じました。「ケルビムの下で回っている輪の間に入り、真っ赤に燃える炭火を両手いっぱいに持ち、エルサレムの町の上にまき散らせ。」

私の見ている前で、彼はそのとおりにしました。 その男が入って行った時、ケルビムは神殿の南端に立っていて、栄光の雲が内庭いっぱいに広がっていました。 すると、主の栄光がケルビムから立ち上り、神殿の入口に向かいました。神殿は栄光の雲に包まれ、庭は主の栄光で輝いています。 ケルビムの翼の音も、全能の神の声のように、外庭にまではっきり聞こえます。

主が亜麻布の衣を着た男に、「ケルビムの間に入り、輪の間から燃える炭火を取りなさい」と命じると、その人は入って行って、一つの輪のそばに立ちました。 7-8 ケルビムの一つが翼の下から手を伸ばして、燃えさかる火の中から炭火を取り出し、亜麻布の衣を着た男の両手に盛りました。彼はそれを受け取ると出て行きました。

9-13 四つのケルビムのそばにそれぞれ一つの輪があり、それが「車輪」と呼ばれているのを、私は聞きました。第二の輪が交差して第一の輪の中にはめ込まれており、その輪は黄緑の輝きを放ち、緑柱石のように光って見えました。このような輪の構造から、ケルビムは四方にまっすぐに進むことができました。向きを変えなくても、ケルビムの顔の向く方向に進めるのです。四つの輪はどれも、縁や輻まで全部、目で覆われていました。 14 四つのケルビムはそれぞれ四つの顔があり、第一の顔は牛の顔、第二の顔は人間の顔、第三の顔はライオンの顔、第四の顔はわしの顔でした。

15-16 これらの生きものは、かつてケバル川のほとりで見たのと同じものでした。ケルビムが飛び立つと、輪も同じように飛び立ちます。ケルビムが飛んでいる間、輪もそばについています。 17 ケルビムが立ち止まると、輪も立ち止まります。ケルビムの霊が輪の中にあったからです。

18 その時、主の栄光が神殿の入口から移動して、ケルビムの上にとどまりました。 19 そのまま見ていると、ケルビムが輪とともに神殿の東の門に飛んで行き、イスラエルの神の栄光がその上を覆ったのです。 20 これらの生きものは、かつてケバル川のほとりで、イスラエルの神の下にいるのを見たのと同じものでした。同じケルビムであることはすぐにわかります。 21 それぞれ四つの顔と四つの翼を持ち、その翼の下には人間の手のようなものがあったからです。 22 その容貌も、かつてケバル川のほとりで見たものと同じでした。ケルビムはみな、まっすぐ前へ進んで行きました。

エルサレムへの神のさばき

11 1-2 その時、御霊が私を持ち上げて、神殿の東の門に連れて行きました。そこには、町の名士二十五人がいて、その中に、アズルの子ヤアザヌヤとベナヤの息子ペラテヤという名の二人の高官がいました。御霊は私に言いました。「人の子よ。この者たちは、この町で立てられた邪悪な計画のすべてに責任を負っている。 彼らは人々に、『さあ、エルサレムを再建する時がきた。われわれの町は鉄の盾だ。どんな危害からも守ってくれる』と言っている。 だから、人の子よ。大声で、はっきりと預言しなさい。」

それから、主の御霊が私に下り、次のように警告せよと命じました。「主はイスラエルの民に、こう語ります。あなたがたが言おうとすることを、わたしが知らないとでも思うのか。あなたがたの考えていることは、何もかも知っている。 あなたがたは繰り返し人を殺し、町の通りを死人の山とした。」

神である主は語ります。「あなたがたは本気で、この町が鉄の盾だと思っているのか。いや、この町はあなたがたを守ることはできない。町の中には、あなたがたに殺された者の死体が散乱し、あなたがたも引きずり出されて虐殺される。 また、恐れていた戦争に巻き込まれる。」神である主がこう言うのです。 「わたしは、あなたがたをエルサレムから連れ出し、わたしに代わってさばきを下す外国人の手に渡そう。 10 あなたがたは、イスラエルの国境に至るすべての道で殺される。その時、わたしが主であることを知る。 11 この町は鉄の盾とはならず、その中は少しも安全ではない。わたしは、イスラエルの国境まであなたがたを追いかける。 12 そうされてようやく、あなたがたはわたしが主であることを知るのだ。わたしに服従せず、回りのすべての国々の習慣に従っていたからだ。」

13 私がこう預言している最中に、ベナヤの子ペラテヤが突然、倒れて息絶えました。そこで、私は地にひれ伏して叫びました。「ああ、神、主よ。イスラエルにいる者を残らず殺そうというのですか。」

イスラエルは帰還するとの約束

14 その時、主からのことばがありました。 15 「人の子よ。エルサレムに残された者たちは、捕囚の同胞についてこう言っている。『あんなにも悪いことをしたから、主は彼らを追放し、その土地をわれわれに下さったのだ』と。 16 だが、わたしはそうは言わない。わたしは世界の国々にあなたがたを散らしたが、そこにいる間、わたし自身があなたがたの聖所となる。 17 そして、散らされた国々から連れ戻し、再びイスラエルの地を与える。 18 再び戻ると、あなたがたは、すべての偶像礼拝を跡形もなく取り除くようになる。 19 わたしはあなたがたに、一つの心と一つの新しい霊を与える。石の心を取り除き、代わりに神を愛する柔らかい心を与える。 20 あなたがたがわたしのおきてを守れるようになるためである。こうしてあなたがたはわたしの民となり、わたしもまた、あなたがたの神となる。 21 しかし、今エルサレムに住んで偶像を慕っている者たちには、その罪に対する十分な報いを与えよう。」

22 その時、ケルビムは翼を広げ、輪とともに空中に舞い上がり、イスラエルの神の栄光がその上に輝きました。 23 それから、主の栄光は町の上に上り、東方の山の上にとどまりました。 24 そののち、神の霊は私を再び、バビロンにいる捕囚のユダヤ人のところへ連れ戻しました。私のエルサレム訪問の幻は、ここで終わったのです。 25 主が私に示したすべてのことを、私は捕囚の民に語って聞かせました。

捕囚の象徴的行為

12 ついで、主から私に、このようなことばがありました。 「人の子よ、あなたは反逆者たちの中に住んでいる。彼らは真理を知ろうとするなら知ることができるのに、知ろうともしない。また、聞こうとするなら聞けるのに、聞こうともしない。 彼らは反逆者なのだ。だから、捕囚になることがどんなものか教えるために、実演して見せるがいい。背中にかつげるだけの荷物をかついで、家を出なさい。昼のうちに、みんなが見ている前でそうするのだ。どんな反逆者も、それを見て、その意味することを考えるかもしれない。 昼のうちに、みんなが見守る中で、荷物を家の外へ運び出しなさい。それから、遠くの地へ長い旅をする捕囚の民のように、夕方、家をあとにして出かけなさい。 町の人々が見ている前で壁に穴をあけ、そこから荷物を運び出すのだ。 また、みんなが見守る中で、荷物をかついで夜の暗闇の中を出て行け。顔を覆い、回りを見てはならない。これはみな、イスラエルの民に与える、エルサレムに降りかかる災いのしるしだ。」

私は命じられたとおりにしました。昼のうちに、捕囚に持って行けるだけの荷物を外へ運び出しました。夕方になると、手で壁に穴をあけ、みんなが見ている前で、荷物をかついで暗闇の中を出て行ったのです。

翌朝、主からことばがありました。 「人の子よ。反逆者であるイスラエルの民は、『いったい、これは何の意味なのか』と尋ねている。 10 だから説明してやりなさい。『これは、エルサレムのゼデキヤ王とイスラエルの民全体への、神である主の宣告だ』と。 11 これまで実演して見せたことは、これから起こることなのだ、と教えてやるのだ。彼らは家から連れ出され、捕囚の地へ送られる。

12 ゼデキヤ王さえ、自分で持てる物だけ持って、何も見えないように顔を覆い、壁にあけた穴から、闇にまぎれて出て行くのだ。 13 わたしは網で王を捕らえ、カルデヤ人の地、バビロンへ連れて行く。だが王は、その地を自分の目で見ることなく、そこで死ぬ。 14 わたしは、王に仕える者や、兵士たちを四方に風のように追い散らし、剣をそのあとから送る。 15 このように諸国に散らされて初めて、彼らはわたしが主であることを知る。 16 わたしはまた、わずかな者たちを戦争とききんと疫病から免れさせよう。免れた者たちは、自分がどんなに悪いことをしてきたかを、国々の前で告白するだろう。こうして彼らも、わたしが主であることを知る。」

17 さらにまた、主からのことばがありました。 18 「人の子よ、震えながら食事をしなさい。水も、これで最後であるかのように制限して飲みなさい。 19 そして、こう警告するのだ。『神、主は言います。イスラエルとエルサレムの住民は、そのあらゆる罪のゆえに、食糧を最大限に節約し、水も絶望感にさいなまれながら少量ずつ飲むようになる。 20 町々は滅ぼされ、耕作地は荒れはてる。その時、あなたがたは、わたしが主であることを知る。』」

Japanese Living Bible (JLB)

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