Bible in 90 Days
15-17 群がっていた人々は、さっと道を開きました。結局、彼女は王宮の馬小屋で殺されました。
それからエホヤダは、彼と王と民とが主の民となるという厳粛な契約を結びました。民はこぞってバアルの神殿に向かい建物を壊し、祭壇を砕き、像を倒し、バアルの祭司マタンを祭壇の前で殺しました。 18 エホヤダはレビ人の祭司に神殿の管理を任せ、モーセの律法どおり、焼き尽くすいけにえをささげるよう命じました。レビ人たちはダビデ王の決めた組分けに従って、喜びと歌とをもって働きました。 19 神殿の門衛は、汚れた者や資格のない者がいっさい入らないように見張っていました。 20 それから、軍の隊長、貴族、高官はじめ人々はみな、王を護衛して神殿から出て行き、上の門を通って王宮に入り、ヨアシュを王座に着かせました。 21 すべての民が喜びました。アタルヤが死んだので、エルサレムの町は平和一色に塗り替えられました。
ユダの王ヨアシュ
24 ヨアシュは七歳で王となり、四十年間、エルサレムで治めました。母親はツィブヤといい、ベエル・シェバの出身でした。 2 ヨアシュ王は、祭司エホヤダが生きている間は、主を喜ばせようと一生懸命に努めました。 3 エホヤダは彼に二人の妻をめとらせ、息子や娘たちが生まれました。
4 そののち、王は神殿の修復を思い立ち、 5 祭司やレビ人を召集して命じました。「神殿をりっぱなものに修復するため、ユダのすべての町々へ行って献金を集めなさい。さっそく取りかかるのだ。ぐずぐずしてはならない。」ところが、レビ人はなかなか腰を上げようとしませんでした。
6 王は大祭司エホヤダを呼びました。「なぜ、ユダの町々やエルサレムから神殿税を集めるために、レビ人を送らないのか。神殿の修復用に主のしもべモーセの決めた納税のおきては、ぜひ実施しなければならない。」
7-8 というのは、あの悪女アタルヤの取り巻きたちが神殿を荒らし、神の礼拝のためにささげられたものを、バアルの神殿に用いたからです。そこで、王は一つの箱を作って、それを神殿の門の外側に置くよう指示しました。 9 それから、神のしもべモーセが課した税を神殿に持って来るようにとの布告を、ユダのすべての町々とエルサレムに出しました。 10 すると、すべての指導者、すべての民がわれ先にと献金を投げ入れたので、箱はすぐいっぱいになりました。 11 レビ人が箱を王の会計室に運ぶと、王の書記官と祭司長に仕える管理人とが金額を計算し、からになった箱をまた元の場所に戻しました。同じことが毎日くり返されました。 12 王とエホヤダは、集まった献金を修復工事の監督者に渡しました。彼らはそれで石工や大工、鉄や青銅の器具を作る鋳造師を雇いました。 13 こうして工事は進み、ついに神殿は前よりもりっぱになりました。 14 工事が完成すると、余った献金が王とエホヤダに手渡されたので、彼らはそれを、金銀のさじ、香をたく金銀の鉢、いけにえをささげるための器具を作る費用にあてました。祭司エホヤダの生きている間、焼き尽くすいけにえは一日も欠かさずにささげられました。
15 エホヤダは非常に長生きしましたが、百三十歳で死に、 16 ダビデの町の王室墓地に王たちとともに葬られました。彼はイスラエルのため、神のため、そして神殿のために、多くの良いことを行いました。
17-18 しかし、エホヤダの死後、ユダの指導者たちはヨアシュ王を悪の道に誘い込みました。王に、父祖の神、主の神殿を捨て、恥ずべき偶像を拝むようにしむけたので、神の怒りが再びユダとエルサレムに下りました。 19 神は、彼らが主に立ち返るように預言者を遣わしましたが、だれも耳を貸そうとしませんでした。 20 その時、神の霊が祭司エホヤダの子ゼカリヤに臨みました。ゼカリヤは民の前に立って言いました。「あなたがたはなぜ主の戒めに背いているのか、神様はそのわけを知りたいと言っておられる。こんなことでは、何をしても失敗に終わるだけだ。あなたがたが主を捨てたので、今度は主があなたがたをお見捨てになる。」
21 ところが、指導者たちはゼカリヤを殺そうと謀り、ヨアシュ王の命令により、神殿の庭でゼカリヤを殺しました。 22 こうしてヨアシュ王は、エホヤダの愛と忠誠に対して、彼の子を殺害するという悪をもって報いたのです。ゼカリヤは死に際し、「主よ、彼らがしていることをごらんになり、彼らの悪に報いてください」と言い残しました。
23 その二、三か月後、シリヤ(アラム)軍がユダとエルサレムに進攻してきました。彼らはユダの指導者を一人残らず殺し、大量の戦利品をダマスコへ持ち帰りました。 24 シリヤ軍は少数でありながら大勝利を収めたのです。ユダの大軍が少数のシリヤ軍に負けたのは、ユダの民が父祖の神、主を捨てたからにほかなりません。こうして、神はヨアシュ王にきびしいさばきを下したのです。 25 シリヤ軍が重傷を負ったヨアシュを置き去りにして引き揚げた時、彼の家来たちは、祭司エホヤダの子を殺した責任を問うために王を暗殺し、ダビデの町に葬りました。ただ、そこは王室墓地ではありませんでした。 26 この謀反を企てたのは、アモン出身の女シムアテの子ザバデと、モアブ出身の女シムリテの子エホザバデでした。
27 ヨアシュ王の子たちのこと、王に臨んだのろいのこと、神殿の修復のことについては、『諸王の年代記』にくわしく記されています。ヨアシュが死んだのち、その子アマツヤが新しく王となりました。
ユダの王アマツヤ
25 アマツヤは二十五歳で王となり、二十九年間エルサレムで治めました。母親はエホアダンといい、エルサレム出身でした。 2 アマツヤ王は正しいことを行いましたが、いつも本心からとは限りませんでした。 3 王としての地位が固まると、彼は父の暗殺者を処刑しました。 4 それでもモーセの律法を守り、その子どもたちまでは殺しませんでした。モーセの律法では、父親は子どものせいで殺されてはならず、子どもも父親のせいで殺されてはならないことになっていました。めいめいの罪のために裁かれるべきなのです。
5-6 それから王は、軍を再編成し、ユダとベニヤミンの各氏族に指導者を立てました。人口調査をしてみると、槍と剣の使い手として訓練された二十歳以上の兵士が三十万人いることがわかりました。また王は、銀百タラント(三千四百キログラム)を払って、十万人の訓練された兵士をイスラエルから雇いました。 7 しかし、預言者が主のことばを伝えました。「王よ、イスラエルの兵士を雇い入れてはなりません。主はその者たちとは共におられないからです。 8 もし、彼らといっしょに戦いに出たら、どんなによく戦っても敗れます。神には助ける力もあれば、くじく力もあるのです。」
9 アマツヤは泣き言を言いました。「あの兵士に払った金が惜しい。金のことはどうしたらよいだろう。」
「神様は、それ以上のものをあなたに与えることがおできになります。」
10 そこでアマツヤは、雇い入れた兵士たちを郷里のエフライムに帰しました。このことで、彼らは侮辱されたと思い、ひどく腹を立てました。
11 王は勇気を出し、軍を率いて塩の谷へ行き、そこでセイルから来た一万人を打ちました。 12 ほかにも一万人を生け捕りにし、がけから突き落としたので、みな谷底の岩に砕かれて死にました。 13 一方、強制送還されたイスラエルの兵士は、ベテ・ホロンからサマリヤまでの地域にあるユダの幾つかの町に侵入し、三千人を殺し、多くの戦利品を奪い去りました。
14 エドム人を打ち破ったアマツヤ王は、セイルの人々の偶像を持ち帰っただけでなく、偶像を神々として祭り、その前に頭を下げ、香までたいたのです。 15 これを激しく怒った主は、預言者を送って、きびしく王を問いただしました。「あなたの手から自分の民を救い出せなかったような神々を、なぜ拝むのか。」
16 王は、預言者のことばをさえぎりました。「いつ私があなたに助言を求めたか。殺されたくなければ、黙っていることだ。」
「これで、はっきりしました。神様はあなたを滅ぼすおつもりです。あなたが偶像を拝み、私の勧めを聞こうとされないからです。」預言者は、警告を残して立ち去りました。
17 そののち、ユダの王アマツヤは相談役の意見を取り入れて、エホアハズの子でエフーの孫に当たる、イスラエルの王ヨアシュに戦いをしかけました。 18 するとヨアシュ王は、次のようなたとえをもって応じたのです。「レバノン山のあざみがレバノン山の杉に、『娘さんを息子の嫁にくれないか』と頼みました。ところが、レバノン山の野獣が通りかかり、そのあざみを踏みにじりました。 19 あなたは、エドムを征服したことで鼻を高くしている。しかし、悪いことは言わないから、おとなしくしていなさい。へたな手出しはおやめなさい。さもないと、ユダの民ともども痛い目に会いますよ。」
20 しかし、アマツヤは聞き入れようとしませんでした。神は、エドムの神々を拝んでいた王を滅ぼそうとしていたのです。 21 両軍はユダのベテ・シェメシュでぶつかりましたが、 22 ユダは総くずれになって退却しました。 23 イスラエルの王ヨアシュは、負けたユダの王アマツヤを捕らえ、捕虜としてエルサレムに連れて来たうえ、エルサレムの城壁をエフライムの門から隅の門まで二百メートルにわたって取り壊すよう命じました。 24 また、神殿にあったすべての財宝と金の鉢、それに王宮の財宝を運び出し、オベデ・エドムを含む人質を連れてサマリヤに帰りました。
25 アマツヤ王は、イスラエルの王ヨアシュの死後、なお十五年も生き延びました。 26 アマツヤのくわしい伝記は、『ユダとイスラエル諸王の年代記』に記されています。 27 それには、王が神から離れたいきさつ、エルサレムで謀反が起こりラキシュへ逃げたこと、追いつめられてラキシュで殺されたことなどが記録されています。 28 人々は彼の遺体を馬でエルサレムに運び、王室墓地に葬りました。
ユダの王ウジヤ
26 ユダの民は、十六歳のウジヤを新しい王としました。 2 ウジヤは父アマツヤの死後、エラテの町を再建してユダに復帰させました。 3 彼は五十二年間エルサレムで治めました。母はエコルヤで、エルサレム出身でした。 4 ウジヤは父アマツヤの足跡にならい、おおむね、主の目に良い王でした。 5 神を畏れ敬うことを教えたゼカリヤが生きている間、ウジヤはいつも熱心に神を求めました。彼が主の道を歩んでいる間は神の祝福を受け、彼の王国は栄えました。
6 王はペリシテ人と戦った時、ガテの町を占領して城壁を壊し、ヤブネとアシュドデの町々も同様にしました。それから、アシュドデとペリシテのほかの場所に新しい町を建てました。 7 神はペリシテ人との戦いだけでなく、グル・バアルのアラビヤ人との戦い、メウニム人との戦いでもウジヤ王を助けました。 8 アモン人はウジヤ王に、貢ぎ物を納めるようになりました。彼の勢力は強大になったので、その名声は遠くエジプトにまで伝わりました。
9 ウジヤは、エルサレムの隅の門、谷の門、それに城壁の曲がり角にやぐらを建てて補強しました。 10 また、ネゲブにも要塞を築き、水ためを幾つも掘りました。谷にも平地にも、多くの家畜の群れがいたからです。彼は土に親しむ人で、山の中腹やよく肥えた平野に、農園やぶどう畑をたくさん持っていました。
11 ウジヤ王は、書記官エイエルと補佐官マアセヤが作った割り当てにしたがって、軍隊を各部隊に編成しました。最高司令官はハナヌヤ将軍でした。 12 二千六百人の勇敢な氏族の長が、各部隊を指揮しました。 13 軍はえり抜きの三十万七千五百人の兵士で成っていました。 14 王は全軍を盾、槍、かぶと、よろい、弓、石投げの石などで武装させました。 15 さらに、すぐれた技術者によって考案された、やぐらや城壁の角にある塔から矢や大きな石を打ち出す新兵器を、エルサレムで製造しました。主が彼に大きな力を貸したので、ウジヤ王の名は遠くまでとどろき知られるようになりました。
16 ところが、それに気をよくした王は思い上がり、ついに堕落への道を進み始めました。彼の神、主に対する罪を犯し、入ることを禁じられていた神殿の聖所に入って、祭壇の上で香をたこうとしたのです。 17-18 祭司長アザルヤは勇敢な祭司八十人を従えて入って来て、口々に、王に出て行くように求めました。「王よ、香をたくことは王の仕事ではなく、アロンの子孫である祭司だけの仕事です。すぐ出てください。あなたは不法に侵入したのです。こんなことをするあなたに、主からの栄誉はありません。」
19 真っ赤になって怒った王は、香炉を手放そうとしませんでした。しかしこの時、突然、ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)が彼の額に現れたのです。 20 アザルヤはじめ祭司たちは、これを見て、あわてて王を外に連れ出そうとしましたが、主に打たれたと知って、王はさすがに逆らおうとはせず、自分から出て行きました。
21 ツァラアトにかかった王は、死ぬまでずっと隔離された家に住み、人々にも神殿にも近づくことができませんでした。そのため、その子ヨタムが摂政となって王の職務を代行し、国を治めました。
22 ウジヤ王の治世の一部始終は、アモツの子、預言者イザヤが書き留めています。 23 ウジヤ王は、ツァラアトにかかったにもかかわらず、死んで王室墓地に葬られ、その子ヨタムが新しく王となりました。
ユダの王ヨタム
27 ヨタムは二十五歳で王となり、十六年間、エルサレムで治めました。母はエルシャといい、ツァドクの娘でした。 2 彼は、おおむね良い模範を残した父ウジヤの信仰にならいましたが、神殿の聖所に入るようなことはしませんでした。にもかかわらず、民はますます堕落していきました。
3 ヨタム王は神殿の上の門を建て、また、神殿が建っていた丘の上の城壁を再建し、拡張しました。 4 ユダの山地にも町々を建て、森林地帯には要塞とやぐらを築きました。
5 アモン人と戦って勝った彼は、それからの三年間、彼らに百タラントの銀、小麦一万コル(二百三十万リットル)、大麦一万コルを貢ぎ物として納めさせました。 6 ヨタムは彼の神、主の道を踏みはずさないよう注意したので、勢力を増し加えました。
7 ヨタム王のその他の記録、彼の戦いや行いについては、『イスラエルとユダ諸王の年代記』に記されています。 8 彼は二十五歳で王となり、十六年間エルサレムで治めたのち、 9 死んでエルサレムに葬られ、その子アハズが新しく王となりました。
ユダの王アハズ
28 アハズは二十歳で王となり、十六年間エルサレムで治めました。彼は父祖ダビデとは違って、主の目にかなわない悪王でした。 2 イスラエルの王たちの悪い例にならって、バアルの偶像を拝んだのです。 3 王はベン・ヒノムの谷で盛大に偶像礼拝を行いましたが、香をたくだけにとどまらず、その谷で、主がイスラエルのために追放した異教徒のように、自分の子どもたちをいけにえとして火に投げ込んだのです。 4 それだけではありません。高台の偶像の宮や、すべての茂った木の下でいけにえをささげたり、香をたいたりもしました。
5 そういうわけで、主は、シリヤの王がアハズ王を打ち、国民の多くを捕虜としてダマスコへ引いて行くままにしました。イスラエル軍もユダに攻め入り、大損害を与えました。 6 たった一日で、レマルヤの子、イスラエルの王ペカは、ユダの勇士十二万人を殺したほどでした。彼らが父祖の神を捨てたからです。 7 エフライムの大勇士ジクリは、ユダの王子マアセヤ、宮内長官アズリカム、王の補佐官エルカナを殺しました。 8 イスラエル軍は、ユダの婦人と子ども合わせて二十万人を捕虜とし、たくさんの戦利品を手に入れて、サマリヤに帰りました。
9 しかし、サマリヤにいた主の預言者オデデが、帰って来たイスラエル軍を出迎えて、こう言いました。「あなたがたの父祖の神は、ユダを怒ってあなたがたの手にお渡しになった。ところが、あなたがたは、天も驚くほどの残忍さで彼らを手にかけた。 10 しかも、ユダとエルサレムから連れて来た人々を奴隷にしようとしている。そうやって、あなたがた自身も主に罪を犯しているのではないか。 11 私の言うことを聞き、同胞であるユダの人々を家へ帰してやりなさい。そうでないと、主の燃えるような怒りがあなたがたにも下ることになる。」
12 エフライム族の長である、ヨハナンの子アザルヤ、メシレモテの子ベレクヤ、シャルムの子ヒゼキヤ、ハデライの子アマサも同じ意見でした。 13 「捕虜を連れて来たら、主はお怒りになる。私たちの多くの罪に、さらにこの罪が加わる。もうこれ以上、神を煩わせてはならない。」
14 そこで兵士たちは、捕虜と戦利品のことは政治的指導者に任せることにしました。 15 先に名を挙げた四人は、戦利品の中にあった多くの衣服を、捕虜の中で困っている婦人や子どもたちに配り、くつをはかせ、パンを食べさせ、ぶどう酒を飲ませました。また、病人や老人をろばに乗せて、なつめやしの町エリコにいる家族のもとへ送り届けました。それから、護送の任に当たった者たちはサマリヤに帰りました。
16-17 そのころ、エドム人がユダを侵略し、大ぜいの住民を奴隷として連れ去ったので、ユダの王アハズはエドム軍と戦うため、アッシリヤの王に援助を求めました。 18 一方、ペリシテ人は低地の町々や南のネゲブに侵入し、ベテ・シェメシュ、アヤロン、ゲデロテやソコ、ティムナ、ギムゾとそれぞれ周辺の村々を占領し、そこに住みつきました。 19 このようになったのは、ユダの民の信仰心を破壊し、主に不信の罪を犯したアハズ王のためでした。主はそのことを反省させようとしたのです。 20 しかし、アッシリヤの王ティグラテ・ピレセルは、アハズ王を助けるどころか、かえって悩ますことになりました。 21 アハズ王は神殿の金や王宮の宝物を彼に贈りましたが、何の効果もありませんでした。
22 こうした大きな試練の中で、アハズ王はますます堕落に陥りました。 23 彼は、自分を打ったダマスコの神々にいけにえをささげました。そうすればその神々が、シリヤの王を助けたように、自分たちをも助けてくれると思ったのです。しかし、代わりに、その神々はアハズ王とその民を堕落させただけでした。 24 彼は神殿から金の鉢を取り出して切り刻み、神殿の扉に釘を打ちつけて、だれもそこで礼拝できないようにしたのです。また、エルサレムのあらゆる町かどに、異教の神々のための祭壇を築きました。 25 さらに、ユダの町という町でもすべて同じようにして、ついに父祖の神、主の激しい怒りを招きました。
26 アハズ王の生涯と行いは、『ユダとイスラエル諸王の年代記』にくわしく記されています。 27 彼は死んでエルサレムに葬られましたが、王室墓地には入れられませんでした。代わってその子ヒゼキヤが新しく王となりました。
ユダの王ヒゼキヤ
29 ヒゼキヤは二十五歳でユダの王となり、二十九年間エルサレムで治めました。母はゼカリヤの娘アビヤでした。 2 彼の治世は、父祖ダビデがそうであったように、主の目にかなうものでした。
3 その第一年の第一の月、ヒゼキヤ王は神殿の扉を開けて、内部を修理しました。 4-5 それから、祭司とレビ人たちを神殿の東側の広場に呼び集めて言いました。「レビ人たち、聞きなさい。まず、あなたがた自身の身をきよめ、それから、あなたがたの父祖の神、主の神殿をきよめなさい。聖所から、ちりあくたをすべて掃き出しなさい。 6 というのも、私たちの父たちが主の前に大きな罪を犯し、主と神殿を捨て去り、それらに背を向けたからだ。 7 神殿の扉は閉ざされ、絶やしてはならないともしびの火は消え、香もたかれず、焼き尽くすいけにえもささげられなかった。 8 それで、主の怒りがユダとエルサレムに下り、今も見るとおり、主は私たちを、恐れと驚きとあざけりの的となさったのだ。 9 父は戦死し、妻子は捕虜になっている。 10 私は、主の燃える怒りが去るように、イスラエルの神、主と契約を結びたいと思う。 11 さあみんな、これ以上、大切な務めを怠ってはならない。主はあなたがたを選んでご自分に仕えさせ、香をたく務めに任じてくださったのだから。」
12-14 そこでレビ人たちは、それぞれの務めに就きました。ケハテ氏族からはアマサイの子マハテとアザルヤの子ヨエル、メラリ氏族からはアブディの子キシュとエハレルエルの子アザルヤ、ゲルション氏族からはジマの子ヨアフとヨアフの子エデン、エリツァファン氏族からはシムリとエイエル、アサフ氏族からはゼカリヤとマタヌヤ、ヘマン氏族からはエヒエルとシムイ、エドトン氏族からはシェマヤとウジエル。
15 彼らは次々に身内のレビ人を集め、まず自分自身の身をきよめてから、主に代わって語った王の命令どおり、宮きよめの仕事に取りかかりました。 16 祭司たちが神殿の中をきよめ、その中にあった汚れたものや壊れたものを全部、神殿の庭に持ち出すと、レビ人がそれをキデロン川へ運びました。 17 これが始まったのは第一の月の一日(ユダヤ暦による。太陽暦では三月中旬)で、その月の八日には神殿の庭のきよめをすませ、さらに八日間にわたって神殿自体をきよめて、十六日に終わりました。
18 それから彼らは王宮に戻り、ヒゼキヤ王に報告しました。「ただ今、神殿のきよめを完了しました。焼き尽くすいけにえの祭壇と付属の器具、供えのパンの机と付属の器具も、すべてきよめました。 19 また、アハズ王が神殿を閉じた時に取り除いたすべての器具を整え、きよめました。みな祭壇のそばにあります。」
20 翌朝早く、王は町の首長を従えて神殿に上りました。 21 その時、この国と神殿のためにささげる、罪の赦しのためのいけにえとして、雄の子牛七頭、雄羊七頭、子羊七頭、雄やぎ七頭が用意され、王はアロンの子孫である祭司に命じて、いけにえを主の祭壇にささげさせました。 22 雄の子牛が殺されると、祭司はその血を取って祭壇に注ぎかけました。雄羊や子羊の場合も同じでした。 23 罪の赦しのためのいけにえ用の雄やぎが、王と役人たちの前に引いて来られると、彼らはその雄やぎの上に手を置きました。 24 それから、祭司はこの雄やぎを殺し、血を祭壇に注いで罪の赦しのためのいけにえとし、王が命じたとおり、イスラエル全国民のために贖いをしました。焼き尽くすいけにえと罪の赦しのためのいけにえをイスラエル全国民のためにささげるように、王から指示してあったからです。
25-26 王は、神殿に仕えるレビ人に、シンバル、琴、竪琴を持たせて管弦楽団を編成しました。これは主のことばを受けた、ダビデおよび預言者ガドとナタンの意向に従ったものでした。祭司はラッパによる吹奏隊を引き受けました。 27 そこで王は、焼き尽くすいけにえを祭壇にささげるよう命じました。いけにえをささげ始めると、シンバルや琴、竪琴がいっせいに賛美歌を演奏し、それに合わせてラッパが吹き鳴らされました。 28 この式が終わるまで、歌とラッパに合わせて、全会衆が主を礼拝しました。 29 いけにえをささげ終わると、王と側近たちは主を伏し拝みました。 30 それから王は、ダビデと預言者アサフの詩を主の前で歌うように、レビ人に命じました。彼らは喜んで主を賛美し、一同はひれ伏して礼拝しました。
31 そののち、ヒゼキヤは言いました。「きよめの儀式はこれで終了した。さあ、今度は、あなたがたの感謝のいけにえを持って来なさい。」そこで各地から集まった人々は、感謝のいけにえを持って来ました。中には進んで、焼き尽くすいけにえを持って来る人もいました。 32-33 焼き尽くすいけにえは全部で、雄の子牛が七十頭、雄羊が百頭、子羊が二百頭でした。さらに聖なるささげ物として、牛六百頭、羊三千頭が加えられました。 34 ただし、焼き尽くすいけにえの用意をする祭司の手が足りなかったので、彼らの兄弟であるレビ人がその仕事をしました。このあとも彼らは、さらに多くの祭司が加えられるまで仕事を手伝いました。レビ人は、祭司よりも早く身をきよめて準備していたのです。 35 たくさんの焼き尽くすいけにえ、そのための注ぎのぶどう酒、それに、多くの和解のいけにえがありました。このようにして、神殿での奉仕が再開され、いけにえがささげられるようになりました。 36 ヒゼキヤとすべての民は、神がこのようにすばやく事を運んでくださったことを心から喜びました。
過越の祭り
30 ヒゼキヤ王は、全イスラエルとユダ、エフライム、マナセに手紙を送り、エルサレムの神殿に来て、年ごとの過越の祭り(パン種を入れないパンを食べる、ユダヤ人の三大祭の一つ。出エジプトを記念して守られるようになった)を祝うよう呼びかけました。 2-3 王と王を支える人々、それにエルサレムの全会衆は、今回に限り、ひと月遅れの第二の月に祭りを祝うことを決めました。一月では、身をきよめた祭司がまだ足りず、また、通知する時間も足りなかったからです。 4 王とその助言者たちはそれで完全に意見が一致したので、 5 ダンからベエル・シェバまでイスラエル全土に過越の祭りを祝う布告を出し、だれであろうと招きました。決まりどおりに過越の祭りを祝う者が多くはなかったからです。
6 王の手紙にはこう書かれていました。「アブラハム、イサク、イスラエル(ヤコブ)の神、主に立ち返りなさい。そうすれば主は、アッシリヤの王たちの支配から逃れた私たちのところへ帰って来てくださる。 7 父祖の神、主に罪を犯して滅びを招いた、あなたがたの父や兄弟のようになってはいけない。 8 彼らのように強情を張ってはいけない。自分を主にささげ、主が永久にきよめた神殿に来て、あなたがたの神、主を礼拝しなさい。そうすれば、主の燃える怒りも去るに違いない。 9 あなたがたが主に立ち返るなら、捕虜となった兄弟や子どもたちも、連れて行かれた先であわれみを受け、再びこの地に戻ることができるだろう。主は思いやりにあふれた方だから、もしあなたがたが立ち返るなら、顔をそむけたままでおられることは決してない。」
10 こうして王の布告を伝える使者は、エフライムとマナセ、さらにゼブルンの地に至るまで、町から町へと回りましたが、ほとんどどこでも、冷笑とさげすみで迎えられました。 11 しかし、アシェル、マナセ、ゼブルンの部族のある者たちは主に心を向け、エルサレムへ上って来ました。 12 ユダでは、王と高官たちに命じられたように、主の示すことに従いたいという強い願いが、全国民のうちに起こりました。主がそのような願いを起こさせたのです。
13 第二の月になると、人々は過越の祭りを祝うために続々とエルサレムに集まり、おびただしい群衆にふくれ上がりました。 14 彼らはエルサレムにある異教の祭壇と香の祭壇を取り壊し、その残骸をキデロン川に捨てました。 15 そして、第二の月の十四日に過越の子羊をほふりました。祭司とレビ人は、自分たちが積極的でなかったことを恥じて身をきよめ、焼き尽くすいけにえを神殿に運びました。 16 それから、神の人モーセの律法で決められたとおり、そのおのおのの部署に就きました。祭司はレビ人から受け取った血を注ぎました。
17-19 エフライム、マナセ、イッサカル、ゼブルンから来た人々の多くはきよめの儀式を受けていなかったので、汚れたままでした。それでレビ人は、彼らのために過越の子羊をほふり、彼らをきよめました。それからヒゼキヤ王が彼らのために祈ったので、規則に反してはいたものの、彼らは過越のいけにえを食べることが許されたのです。王は祈りました。「恵み深い主よ。たとえ正しい手順できよめられていない者でも、父祖の神、主に従う決心をした者の罪をお赦しください。」 20 主は王の祈りを聞き、彼らを滅ぼすようなことはしませんでした。
21 こうしてイスラエルの民は、七日間、エルサレムで過越の祭りを大きな喜びのうちに祝いました。その間、レビ人と祭司は毎日、シンバルなどに合わせて主をほめたたえました。 22 ヒゼキヤ王は、すぐれた音楽をもって仕えたレビ人に、感謝のことばを述べました。祝いは七日続き、和解のいけにえがささげられ、民は彼らの父祖の神、主に罪を告白しました。
23 興奮が高まる中で、さらに七日間祝いを続けることが、全会一致で決められました。 24 王は民にいけにえ用の雄の子牛千頭と羊七千頭を贈り、高官たちも雄の子牛千頭と羊一万頭を寄贈しました。多くの祭司たちは進み出て、身をきよめました。 25 ユダの民は、祭司やレビ人、寄留の外国人やイスラエルから来た人々と喜びを分かち合いました。 26 ダビデの子ソロモン王の時代からこのかた、エルサレムでこのように盛大に祭りが祝われたことはありませんでした。 27 祭司とレビ人は立ち上がって民を祝福しました。彼らの祈りは、天の聖所の主に聞き届けられました。
ヒゼキヤの改革
31 そののち、偶像礼拝打破の大がかりな運動が始まりました。過越の祭りを祝うためにエルサレムに集まった人々は、ユダ、ベニヤミン、エフライム、マナセの町々へ行き、偶像の祭壇、石の柱、恥ずべき像、その他の異教の施設を壊しました。そのあと、北の諸部族から祭りに来ていた人々は、それぞれの家へ帰って行きました。
2 ヒゼキヤは、祭司とレビ人の組分けを決め、それぞれの奉仕に応じ、組ごとに、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえとをささげさせ、感謝し、賛美しながら奉仕に当たらせました。 3 またヒゼキヤは、律法に定められているとおり、朝ごと夕ごとにささげる焼き尽くすいけにえと、週ごとの安息日、月ごとの新月の祭り、年ごとの例祭にささげる焼き尽くすいけにえのために、自分の分は自身の私財から出しました。
4 さらに王は、エルサレムの住民に、祭司とレビ人のところへ十分の一のささげ物を持って来るよう命じました。祭司とレビ人がほかの仕事に就く必要がなく、律法で命じられているように、その務めに専念できるようにするためでした。 5-6 人々はすぐにその命令に応じ、作物や穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油、金など、すべての収穫や収入の初物をたくさん持って来ました。山のように積まれたそれらは、律法によって神のものと定められた、自分が得たものの十分の一でした。北の諸部族の地方からユダに移って来た人も、エルサレムの近くに住む人も、牛や羊の十分の一と、彼らの神、主にささげられたものの十分の一を持って来て積み上げました。 7-8 これらのささげ物が最初にエルサレムに到着したのは三月で、積み上げが完了したのは七月でした。王と高官たちは、ささげ物の巨大な山を見た時、どれほど主をほめたたえ、民を祝福したことでしょう。
9 「この山のようなささげ物は、どこから与えられたのか。」王は祭司とレビ人に尋ねました。 10 ツァドクの家の大祭司アザルヤが答えました。「みな十分の一のささげ物です。私たちはもう何週間も、ここから十分に頂いています。それでも、これだけ残っています。主がご自分の民を祝福してくださったからです。」
11 ヒゼキヤ王が神殿に倉庫を用意することにしたので、 12-13 ささげ物はすべて神殿に運び入れられました。運搬の責任者はレビ人カナヌヤで、兄弟シムイと次の人々が補佐しました。エヒエル、アザズヤ、ナハテ、アサエル、エリモテ、エホザバデ、エリエル、イスマクヤ、マハテ、ベナヤ。以上は、王と大祭司アザルヤに任命された人々です。
14-15 東の門の門衛であったレビ人イムナの子コレは、ささげ物を祭司に分配する責任者になりました。彼を忠実に補佐したのがエデン、ミヌヤミン、ヨシュア、シェマヤ、アマルヤ、シェカヌヤで、彼らは、それぞれの町に住む祭司の家に、年齢の別なく等しく分配しました。 16 ただし、神殿の務めに就いている祭司とその家族には、神殿から直接に支給されました。彼らはこの分配の対象ではなかったのです。 17-18 祭司は氏族ごとに、二十歳以上のレビ人も各自の奉仕の組ごとに、系図に載せられていました。規定に従って割り当てられた食糧が、系図に載せられた祭司の全家族に分配されました。彼らは時間と能力をすべて神殿の奉仕にあてていたので、ほかの収入源が全くなかったのです。 19 祭司が一人ずつ、それぞれの町の祭司全員と、系図に載せられているレビ人全員とに食糧を配る責任者に立てられました。
20 このようにしてヒゼキヤ王は、主の前に正しく公平に、ユダ全国にささげ物を分配しました。 21 王は、神殿に仕えることでも、律法を守って正しく生きることでも、心を尽くして励み、それを遂行しました。
セナケリブの攻撃と脅迫
32 ヒゼキヤ王のそのような良い働きがあってのち、アッシリヤの王セナケリブがユダに攻め込んで城壁のある町々を包囲し、貢ぎ物を納めさせようとしました。 2 エルサレムを攻撃しようとするセナケリブの意図がはっきりわかった時、 3 ヒゼキヤは王子や高官たちを集めて作戦会議を開き、町の外にある泉をふさぐことにしました。 4 そこで彼らは、大作業チームをつくり、すべての泉とともに、野を流れる川までもせき止め、「アッシリヤの王に、豊富な水を見つけさせてたまるか」と言いました。
5 王はさらに防衛体制を強化するため、城壁のくずれていた箇所を修復したうえで、外側に第二の城壁を築きました。また、ダビデの町にミロの要塞を築き、大量の武器や盾を作りました。 6 そして、兵を補充し、隊長を任命して町の門の広場に召集し、彼らをこう激励したのです。 7 「強く、勇敢でありなさい。アッシリヤの王とその軍勢を恐れてはならない。彼らよりもはるかに偉大な方がわれわれと共におられるのだ! 8 アッシリヤの王の率いる大軍は、ただの人間の集まりにすぎない。わが軍には、われわれのために戦ってくださる神、主がついておられるのだ!」そのことばによって、兵士たちは奮い立ちました。
9 アッシリヤの王セナケリブは、まだラキシュの町を包囲している最中でしたが、ヒゼキヤ王とエルサレムに使者を遣わし、次のように言わせました。 10 「アッシリヤの王セナケリブは、こう言っておられる。『おまえたちは、わが軍のエルサレム包囲を免れると思っているのか。 11 ヒゼキヤは、おまえたちを城壁の中で死なせようとしているのだ。彼は、神がアッシリヤ王の手から救い出してくださるとうそぶいているが、おまえたちは飢えと渇きで死ぬに決まっている。 12 そもそも、すべての偶像を壊し、ユダとエルサレムの人々に、神殿にある祭壇の上でだけ香をたけと命じた張本人はヒゼキヤである。 13 いいか、私をはじめ歴代のアッシリヤの王が、いったん攻撃しようとした国を征服しなかったことは一度もない。征服された国の神々は、その国を救えなかったのだ! 14 いったい、どの神がどこで、われわれの攻撃を阻むことができたか。そんな例があったら、その神の名を挙げてみよ。それでも、おまえたちの神をあてにする気か。 15 ヒゼキヤにだまされるな。やつを信じるな。もう一度、はっきり言おう。どの国の神も、アッシリヤの王の手から国民を救えなかったのだ。おまえたちの神も例外ではない。』」 16 こう言うと使者は、主とそのしもべヒゼキヤをあざ笑い、さんざん悪態をつきました。
17 セナケリブはまた、次のような手紙を送ってイスラエルの神、主をあざけりました。「今までどの国の神々も、私の攻撃から自分の民を守ることができなかった。ヒゼキヤの神も同じである。」
18 手紙を持って来た使者たちは、町の城壁の上にいたユダの人々に、ユダのことば(ヘブル語)で呼びかけました。彼らをおびえさせ、戦意を喪失させようとしたのです。 19 彼らはエルサレムの神を、人の手で造った偶像にすぎない異教の神々の一つであるかのように語りました。
20 そこでヒゼキヤ王と、アモツの子の預言者イザヤは、天の神に祈り叫びました。 21 すると、主は一人の御使いを遣わして、すべての将校、将軍とともにアッシリヤ軍を全滅させたのです。セナケリブは面目をつぶされ、すごすごと国に引き揚げていきました。そのうえ、自分の国で神の宮に来たところを、実の息子たちに殺害されてしまったのです。 22 こうして主は、ヒゼキヤ王とエルサレムの人々とを救い出し、彼の全領土には平和が訪れました。 23 それ以来、ヒゼキヤ王は近隣の国々から大きな尊敬を集めるようになり、王への高価な贈り物とともに、主への多くのささげ物がエルサレムに送り届けられました。
ヒゼキヤの罪、繁栄、死
24 そのころ、王は重い病気にかかりましたが、彼が主に祈った時、奇跡的に治りました。 25 ところが、彼は思い上がって、心からの感謝と賛美を神にささげませんでした。たちまち神の怒りが、王とユダ、エルサレムに下りました。 26 そこで、王とエルサレムの住民は高慢の罪を悔い改め謙遜になったので、主の憤りは去り、ヒゼキヤの在世中、二度と主の怒りは臨みませんでした。
27 こうして、ヒゼキヤ王は非常に富み、さらに多くの尊敬を受けるようになりました。王は宝物倉を建て、金、銀、宝石、香油、盾、金の鉢などを納め、 28-29 食糧貯蔵庫も数多く造り、穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油を蓄えました。また、牛や羊、やぎなどの群れのために、小屋を幾つも建てました。神からばく大な富を与えられ、多くの町も手に入れました。 30 さらに、ギホンの上の泉をせき止めて水道を敷き、その水を、エルサレムにあるダビデの町の西側にまで引きました。彼のなしたことは、みなうまくいきました。
31 ヒゼキヤ王が奇跡的に治ったことを知ろうとバビロンから使節が遣わされて来た時、神は彼のするままにしておきました。彼がどのように振る舞うかを試すためでした。
32 ヒゼキヤ王のその他の業績、特に王が行ったすべての良いことは、アモツの子の預言者イザヤが書いた『イザヤの預言』と『ユダとイスラエル諸王の年代記』に記されています。 33 ヒゼキヤ王は死んで、丘の中腹にある王室墓地に葬られました。ユダとエルサレムのすべての人々は、王が死んだ時、心から王をたたえました。そして、その子マナセが新しく王となりました。
ユダの王マナセ
33 マナセが王となったのは十二歳の時で、五十五年間エルサレムで治めました。 2 ただし、それは主の目に悪とされることでした。イスラエルの民がこの地に入った時、主が滅ぼした異教の国々の偶像を求め、それを民に拝ませるようにしむけたのです。 3 彼は、父ヒゼキヤ王が取り壊した異教の神バアルの祭壇を築き直し、恥ずべき偶像を造り、日や月や星を拝みました。 4-5 事もあろうに、主を礼拝するはずの神殿の庭にまで異教の祭壇を築き、日や月や星を礼拝したのです。 6 また、彼らはベン・ヒノムの谷で、わが子をいけにえとしてささげました。さらに、霊媒師や占い師、魔術師などに伺いを立て、ありとあらゆる悪を行って、主の激しい怒りを引き起こしました。 7 よりによって、神の神殿に偶像を置いたのですから。神はかつて、神殿について、ダビデとその子ソロモンに語りました。「わたしはこの神殿と、イスラエル全土からわたしが選んだエルサレムでほめたたえられる。 8 もしあなたがたが、わたしがモーセによって与えたすべての律法と定めに従うなら、あなたがたの先祖に与えたこの地から二度と追い出すようなことはしない。」
9 しかし、マナセはユダとエルサレムの人々をそそのかして、イスラエルの民がこの地に入った時に主が滅ぼした民よりももっと悪いことを行わせたのです。 10 王も民も、主の警告をまったく聞こうとしませんでした。 11 そこで神はアッシリヤ軍を出動させ、ユダに攻め込ませました。アッシリヤ軍はマナセを鉤で引っかけて捕らえ、青銅の足かせにつないで車に乗せ、バビロンへ引いて行きました。 12 その時になって王はようやく本心に立ち返り、へりくだって神に助けを求めました。 13 神はその願いを聞き入れ、彼の求めに答えて、マナセをエルサレムの自分の王国に戻しました。こうしてマナセは、主こそ神であることを知ったのです。
14 こののち、マナセ王はダビデの町の西の外側に城壁を築き直しました。その城壁は、キデロンの谷にあるギホンの泉の西側から魚の門にまで達し、ひときわ高く築き上げられた「とりでの丘」を取り巻いていました。また、ユダで城壁のある町にはすべて軍の司令官を配置しました。 15 さらに、外国の神々と偶像を神殿から取り除き、神殿が建っている山の上と、エルサレムに築いたすべての祭壇を取り壊し、町の外へ投げ捨てました。 16 それから、主の祭壇を築き直し、そのうえで和解のいけにえと感謝のいけにえをささげ、ユダの民に、イスラエルの神、主だけを礼拝するよう命じました。 17 それでもなお、民は高台の祭壇にいけにえをささげましたが、それは主に供えられたものでした。
18 マナセ王のその他の業績、王が神にささげた祈り、預言者たちを通しての神の答えについては、『イスラエル諸王の年代記』に記されています。 19 王の祈りと、それが神に聞き届けられたこと、および悔い改める前に犯した罪や失敗についての報告は、預言者たちの言行録に包み隠さず記されています。その中には、王が偶像の宮を築いたり、恥ずべき像や刻んだ像を置いたりした場所が挙げてあります。
ユダの王アモン
20-21 マナセ王が死んで宮殿の地下に葬られ、その子アモンが新しく王となりました。アモンは二十二歳で王となり、わずか二年間、エルサレムで治めました。 22 その治世は、父マナセ王の初期に劣らず悪いもので、父王が行っていたように、あらゆる偶像にいけにえをささげました。 23 しかも、父のようには態度を変えてへりくだることをせず、ますます大きな罪を犯しました。 24 そのため、ついに彼の家臣たちが宮殿の中で王を殺しました。 25 しかし、愛国心に燃えた民衆は、暗殺者をみな殺して、アモンの子ヨシヤを新しい王としました。
ユダの王ヨシヤの改革
34 ヨシヤが王となったのはまだ八歳の時で、三十一年間エルサレムで治めました。 2 彼は、先祖ダビデの良い模範にならおうと心がけ、すぐれた政治を行いました。 3 十六歳になった治世の第八年には、ダビデの信じた神を熱心に求めるようになりました。その四年後には、ユダとエルサレムをきよめ始め、高台にある異教の祭壇や恥ずべき像を取り壊しました。 4 王が陣頭指揮をとり、バアルの祭壇が取り壊され、その上にある柱がたたき折られ、偶像が粉々に砕かれて、この偶像にいけにえをささげた者たちの墓にまき散らされました。 5 また、異教の祭司たちの骨を彼らの祭壇で焼くことによって、ユダとエルサレムの住民を偶像礼拝の罪からきよめました。 6 それからヨシヤは、マナセ、エフライム、シメオン、さらに遠くナフタリにある町々にまで行って同じようにしました。 7 異教の祭壇を取り壊し、偶像を粉々に砕き、石の柱を切り倒したのです。ヨシヤ王はイスラエル全土でこのようにしてから、エルサレムに戻りました。
8 偶像を一掃し、神殿のある場所をきよめてのち、第十八年に、王は神殿を修理するため、アツァルヤの子シャファン、エルサレムの長マアセヤ、エホアハズの子で市の財務官ヨアフを任命しました。 9 三人はさっそく、必要な献金を集めることにしました。献金は、神殿の入口で警備に当たるレビ人が集めました。エルサレムの住民はもちろん、マナセとエフライムから来た人々、および、その他の地方の者たちから寄せられた献金は、大祭司ヒルキヤに渡され、彼のもとで計算されました。 10-11 それからレビ人の手で、大工や石工への支払い、切り石、材木、つなぎ材、梁などの建築材料の購入にあてられました。こうしてヨシヤ王は、先のユダの王たちが荒らした神殿をりっぱに建て直したのです。
12 職人たちは、工事監督、メラリ氏族のレビ人ヤハテとオバデヤ、ケハテ氏族のゼカリヤとメシュラムの指揮のもとでよく働きました。工事が進んでいる間、レビ人は、すぐれた音楽をもって士気を高めました。 13 ほかに、資材を職人のもとへ運ぶ労働者を監督するレビ人もいました。また別の者は、会計、管理、運搬の任に当たりました。
14 ある日、大祭司ヒルキヤが神殿の入口で集めた献金の額を記入していて、古い巻物を見つけました。なんとそれは、モーセに与えられた主の律法の書だったのです。 15-16 ヒルキヤは、王の書記官シャファンに言いました。「神殿で、こんなものが見つかりました。これは律法の書です。」シャファンは巻物を受け取ると、王のもとに携えて行き、まずは神殿再建の工事が順調に進んでいることを報告しました。 17 「献金箱を開け、全額を計算した上で、必要な金額を監督と職人に渡しております。」
18 それから、彼は例の巻物を王に見せ、ヒルキヤがそれを発見したしだいを語り、王の前で朗読したのです。 19 その律法のことばが神の民に何を求めているかを知って、王は絶望のあまり衣を裂きました。 20 そして、ヒルキヤ、シャファンの子アヒカム、ミカの子アブドン、書記官シャファン、王の相談役アサヤを呼び、言い渡しました。 21 「神殿に行って、私のために主にお願いしてくれないか。イスラエルとユダの残りの者のために、祈ってほしいのだ。この巻物によると、主の激しい怒りが下ったのは、私たちの先祖が、ここに記されている主のことばに従わなかったからだというのだ。」
22 そこで彼らは、ハスラの子トクハテの子シャルムの妻である女預言者フルダのもとへ行きました。シャルムは王の衣装係で、エルサレムの第二区に住んでいました。彼らが王の心配事を伝えると、 23 彼女は答えました。「イスラエルの神、主はこう仰せです。『あなたがたを遣わした方にこう言いなさい。 24 わたしはこの町と住民を滅ぼす。その巻物に記されているのろいは、すべて実現しよう。 25 わたしの民がわたしを捨て、異教の神々を礼拝したので、わたしは怒りに燃えている。それゆえ、この地に注がれる主の憤りは決して消すことができない。』 26 このことで私に尋ねるため、あなたがたを遣わしたユダの王に、こう言ってください。『イスラエルの神、主のお告げです。 27 あなたが、この町と住民へのわたしのことばを聞いた時、心から悲しみ、神の前にへりくだって、絶望のあまり衣を裂き、わたしの前で泣いたので、あなたの祈りを聞き入れよう。 28 この町と住民に下すと言った災いを、あなたが死ぬまでは下さない。』」彼らはこの主のことばを王に報告しました。
29 すると王は、ユダとエルサレムの長老たちを残らず召集しました。 30 祭司、レビ人、すべての民が、王とともに神殿へ行きました。王は、神殿で発見された、神の契約が書かれている巻物を読んで聞かせました。 31 それから彼らの前で、心を尽くし、精神を尽くして主の命令に従い、巻物に記されていることを行うという誓いを立てました。 32 また、エルサレムとベニヤミンにいるすべての者に、この神との契約に同意するよう求め、すべての者がそうしました。
33 こうしてヨシヤは、ユダヤ人が住む全地域から偶像を一つ残らず取り除き、すべての者に、彼らの神を礼拝するよう訴えました。それ以後、王が生きている間ずっと、民は父祖の神、主に仕えました。
過越の祭り
35 さて、ヨシヤ王は第一の月の十四日に、エルサレムで過越の祭りを祝うとのおふれを出し、その日の夕方、過越の子羊がほふられました。 2 また、祭司の組分けを決めてその務めに就かせ、彼らを力づけて、再び神殿の奉仕に当たらせました。 3 それから、イスラエルの教師であるレビ人には、次の命令を出しました。「聖なる箱は、今はソロモンの神殿に置かれ、かついで、あちこちに持ち運ぶ必要はなくなった。だから、あなたがたの時間を、主と主の民に仕えるために用いなさい。 4-5 イスラエルの王ダビデとその子ソロモンの行った組分けに従って、父祖の家ごとに、神殿にささげ物を持って来る人々のために備え、 6 過越の子羊をほふり、身をきよめ、そこに来る人々を助けなさい。すべて、モーセによって示された主の命令に従いなさい。」
7 王は、民がささげる過越のいけにえのために、子羊と子やぎ三万頭、それに子牛三千頭を寄贈しました。 8 高官たちも、祭司やレビ人のために進んで贈り物をしました。神殿の管理者であるヒルキヤ、ゼカリヤ、エヒエルは、祭司がささげる過越のいけにえとして、羊とやぎ二千六百頭、牛三百頭を贈りました。 9 レビ人の指導者であるカナヌヤ、その兄弟シェマヤとネタヌエル、それにハシャブヤ、エイエル、エホザバデは、レビ人がささげる過越のいけにえとして、羊とやぎ五千頭、牛五百頭を贈りました。
10 すっかり用意ができ上がり、祭司が所定の場所に立ち、レビ人が王の指示どおりの任務に就いた時、 11 レビ人の手で過越の子羊がほふられ、その血が祭司に渡されました。祭司が血を祭壇に注ぎかけると、レビ人はほふられた子羊の皮をはぎました。 12 彼らは、モーセの律法に記されているとおり、焼き尽くすいけにえとしてささげる子羊の体を各部族の分に取り分けました。牛についても同じようにしました。 13 それから、定められたとおりに、過越の子羊を焼き、聖別されたささげ物を、深なべ、平なべ、かまで調理し、人々に食べさせるために急いで運びました。 14 そのあとで、自分たちと祭司の食事を用意しました。祭司は朝から晩まで、焼き尽くすいけにえと脂肪をささげるのに追われていたからです。
15 アサフの子孫に当たる歌い手たちは、数百年も前、ダビデ王、アサフ、ヘマン、王の預言者エドトンに指示されたとおり自分の持ち場についていました。門衛たちもそれぞれの門を守っていましたが、食事は同族のレビ人が用意して届けてくれたので、持ち場を離れる必要がありませんでした。
Copyright© 1978, 2011, 2016 by Biblica, Inc.® Used by permission. All rights reserved worldwide.