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Bible in 90 Days

An intensive Bible reading plan that walks through the entire Bible in 90 days.
Duration: 88 days
Japanese Living Bible (JLB)
Version
ヨブ 記 25-41

ビルダデのことば

25 シュアハ人ビルダデの三度目の返答。
「神は力のある、恐るべきお方だ。
神は天で平和をつくる。
だれに、おびただしい御使いの数を
数えることができるだろう。
神の光は地をすみずみまで照らす。
人にすぎない者が、神の前に立ち、
自分は正しいと主張できようか。
胸を張って、自分は潔白だと言いきれる者は、
この世界にただの一人もいない。
神の栄光はあまりにもまばゆく、
月や星でさえ比べることもできない。
まして、神の目には虫けらにすぎない人間は、
なおさらのことだ。」

ヨブのことば

26 ヨブの返答。
「そろいもそろって、なんという人たちだ。
苦しみの中にいるこの私を、
こんなにも励まし、助けてくれるとは。
思慮の足りない私を、ご親切にも、
いろいろ教え導いてくれたわけだ。
いったい、そんな才知あふれるこざかしい考えを
どうやって思いついたのか。
5-6 死者は裸のまま神の前で震えている。
神はからっぽの空間に天を張り、
何もないところに地をつるす。
神は雨を厚い雲に包み込むが、雲は裂けない。
また、雲で御座を覆い、
10 海の境界線を決め、昼と夜の境目を設けた。
11 神がしかると、天の柱は大揺れに揺れる。
12 神の力によって、海は鎮まる。
神は海の高ぶりを打ち砕く名人なのだ。
13 天は神の御霊によって美しく晴れ渡る。
神はまた、素早くはって逃げる蛇を刺し殺す。
14 こんなことは神にすればほんの小さなことで、
御力がかすかにささやいただけにすぎない。
まして、神が大声を出したとしたら、
だれがそれに耐えられるだろう。」

友人へのヨブの最後のことば

27 ヨブの最後の弁明。
「私の権利を奪い取った神よ、
私のたましいを苦しめた全能者を指して誓う。
生きている限り、神が下さる息のある間は、
私は悪を語らず、うそを言わない。
あなたたちの言い分が正しいとは絶対に認めない。
最期の息を引き取るまで、
私は身の潔白を主張し続ける。
自分が絶対に罪人でないことを、
私は何度でもくり返して言う。
私は生涯、良心に責められることがない。
それを認めない者は私の敵だ。
彼らは邪悪な者たちなのだ。
神を信じない者には、神にいのちを断たれるとき、
何の望みがあるというのか。
災難が降りかかって悲鳴を上げても、
神は聞いてくださらない。
10 彼が全能者を心の喜びとせず、
困ったとき以外は神を心に留めないからだ。
11 あなたたちに、神について教えよう。
12 いや、ほんとうは、その必要はないのだ。
あなたたちも私と同じくらい
神のことを知っているのだから。
それなのに、
あなたたちは意味のないことばかりしゃべっている。
13 悪者が、全能者の手から受ける運命は決まっている。
14 たとい子だくさんでも、
その子らは戦死するか、あるいは飢え死にする。
15 生き残ったとしても、結局は病気で死んでしまう。
しかも、だれも悲しんでくれない。妻でさえ嘆かない。
16 うなるほどの財があり、
たんすには衣装がぎっしり詰まっていて、
17 それが特別あつらえの物ばかりであっても、
結局は正しい人がそれを身に着け、
彼の銀を山分けするようになる。
18 悪者の建てた家はくもの巣のようにもろく、
ほったて小屋のように隙間だらけだ。
19 寝るときは金持ちであっても、
朝、目を覚ますと財産がごっそりなくなっている。
20 彼は恐怖に襲われ、
夜の間に嵐で吹き飛ばされる。
21 東風が彼を運び去り、彼は消えうせる。
22 神は情け容赦なく彼に襲いかかり、
彼は神から逃げようと必死にもがく。
23 彼が死ぬと人々は歓声を上げ、
非難の声を浴びせ、彼を永遠の世界へと追いやる。

28 人は銀を掘り出し、金を精錬し、
地から鉄をとり、石を溶かして銅をとる。
3-4 暗闇に明かりをともして縦坑を掘り、
地底の神秘を探る。
体に縄をかけ、死の陰に覆われた暗い穴の中に
つるされて、揺れ動きながら降りて行く。
人は地の表面から食物を得る方法を知っているが、
地の下では火が燃えている。
人はサファイヤや砂金のありかを知っている。
これらの宝は、猛禽も見たことがなく、
鷲の目に触れたこともない。
鉱山のふところ深く眠っているからだ。
野獣もそれを踏んだことがなく、
ライオンもその上に爪を立てたことがない。
人は堅い岩を割り、山々をふもとからくつがえす。
10 岩山にトンネルを掘り、貴金属を露出させ、
11 川をせき止め、砂を洗って金をとる。
12 こんなにも巧みに宝石を見つける人間も、
どこで知恵と悟りを見つけたらよいか知らない。
13 どのようにしてそれを手に入れるかわからない。
実際、それは地上には見いだされない。
14 大洋は、『ここにはない』と言い、
海は、『ここにもない』と答える。
15 それは金や銀で買い取ることはできないし、
16 オフィルの金や高価なしまめのう、
それにサファイヤを山と積んでも、
譲ってはもらえない。
17 知恵は、金や高価なガラス細工より
はるかに価値がある。
宝石をちりばめた純金の器も
知恵とは交換してもらえない。
18 さんごや水晶を差し出しても、
知恵を得ることはできない。
知恵の値段はルビーよりもけたはずれに高い。
19 エチオピヤのトパーズはもちろん、
最高品質の純金をもってしても、知恵は手に入らない。
20 では、知恵はどこへ行けば手に入るのか。
どこで見つけることができるのか。
21 それは全人類の目から隠されている。
空を飛ぶ、鋭い目をした鳥でさえ、
見つけることはできない。
22 だが、滅びと死は、
『知恵のことなら少しは知っている』と言う。
23-24 神はもちろん、それがどこにあるかご存じだ。
地上をくまなく探し、
天の下を余すところなく見つめているからだ。
25 神は風を吹かせ、海の境を決める。
26 雨の法則を作り、いなびかりの通り道を決める。
27 神は知恵のありかを知っていて、
耳を傾ける者にそれを聞かせる。
吟味に吟味を重ね、知恵を確かなものとする。
28 神は全人類に言う。
『主を恐れることがほんとうの知恵、
悪を捨てることがほんとうの悟りだ。』」

ヨブの最後の弁明

29 ヨブの弁明の続き。
「神が目をかけてくださった昔がなつかしい。
神が私の歩く道を照らしたので、
暗がりを歩いても守られた。
まだ若かったころ、神の温かい思いやりは、
家の中でも感じられた。
全能者は私とともにおり、子どもたちも回りにいた。
手がけることはみなうまくいき、
岩も、私のためにオリーブ油を流れ出した。
あのころ、私は町の門に行くと、長老の席に座った。
青年たちは私を見ると道をあけ、
年老いた者も、わざわざ起立して敬意を表した。
領主たちは話しをやめ、手を口にあてた。
10 首長たちも声をひそめた。
11 だれもが私の言うことに聞き惚れ、私をほめそやした。
12 私は曲がったことの嫌いな裁判官として、
生活苦にあえぐ貧しい人や、
身寄りのない子どもたちを助けてきた。
13 死にかかっている者に救いの手を伸ばすと、
彼らは私を祝福した。
未亡人には、喜びの歌を歌えるようにしてやった。
14 私のすることはみな正しく、うそ偽りがなかった。
正義こそ、私の衣だったのだ。
15 盲人には目となり、
足の不自由な人には足となって仕えた。
16 貧しい者には父親のようになり、
一面識もない者でも、
公平な裁判が受けられるように面倒をみた。
17 神を信じない無法者の牙を折り、
彼らの口にくわえられていた犠牲者を助け出した。
18 そこで考えたものだ。
『きっと私は幸せに満ちた長寿を全うし、
居心地の良い部屋で静かな最期を迎えるだろう』と。
19 私のすることはみな栄え、畑は夜露でうるおった。
20 次々と名誉が与えられ、
私の能力は日ごとに高くなり、さえわたった。
21 だれもが私のことばに耳を傾け、私の意見を尊重した。
人々は私が発言するまで静粛そのものだった。
22 そして話し終えると、それ以上何も言わなかった。
私の助言が彼らを満足させたからだ。
23 彼らは日照りのとき雨を待ちこがれる人のように
口を大きく開き、
私が語りだすのを真剣な顔で待った。
24 失意に沈んでいるときでも、
私が笑っただけで元気づき、明るさを取り戻した。
25 私は彼らに何をどうすべきかを教えた。
また、指導者として、軍を指揮する王として、
嘆く者を慰める者として、彼らに接した。

30 ところが、今はどうだ。
私より若い者たちが、私をさげすむ。
彼らの父親は、私の家の番犬にも劣るというのに。
彼らには力がある。
だが彼らは役立たずで、愚かな者にすぎない。
彼らはききんで骨と皮になり、
荒れ果てた不毛の地や砂漠に放り出される。
4-5 食べる物といえば木の根や葉ばかりしかない、
人里離れた所へ追いやられる。
どろぼうを追うように、
人々は彼らの背後から叫ぶ。
足のすくむような谷の斜面、洞窟、岩場が
彼らの住みかとなる。
やぶの中で獣のようにうめき、雨露をしのぐために、
いら草の下に群がって体をすり寄せる。
この愚かで役立たずの者たちは、
世間から爪はじきにされた者たちの子だ。
それなのに私は今、彼らの下品な歌でばかにされ、
笑い者になっている。
10 彼らは私をさげすんで近寄らず、
私の顔につばを吐きかける。
11 神が私のいのちを危険にさらしたからだ。
若い者は、私に恥をかかせるだけでは足りず、
今度はしたいほうだいのことを始めた。
12 私の足を引っかけて転ばせ、通り道に罠をしかける。
13 私の進む道をふさぎ、
助ける者がだれもいないことを知ったうえで、
早く死ねとばかりに攻め立てる。
14 四方八方から襲いかかり、倒れた私を踏みつける。
15 私は今、恐ろしくてしかたがない。
こんな者たちにまで軽蔑され、あれほどの繁栄も、
強風に吹き払われる雲のように消えたのだ。
16 これが嘆かずにおられようか。
昼は昼で気分が滅入り、
17 夜になればなったで、何もかもが物憂く、
骨がけずり取られるような痛みが
絶え間なく襲ってくる。
18 夜通し寝返りをうつと、
着物がからまって身動きがとれなくなる。
19 神は私を泥の中に投げ込んだので、
私はちりや灰のようになってしまった。

20 ああ神よ、私がどんなに叫んでも、
あなたはお答えになりません。
あなたの前に立っても、
あなたは顔をそむけたままです。
21 あなたは残酷にも、本気で力まかせに私を責めます。
22 私をつむじ風に乗せ、
嵐の中で五体をばらばらにします。
23 私を殺すつもりだということがわかります。
24 倒れた者が手を伸ばし、
災難に会った者が助けを呼び求めるように、
私は、この責苦から解放してくださいと願いました。

25 私は、困っている人のために涙を流した。
貧しい人を見て、心から同情した。
26 だから当然、祝福がくるものと思っていた。
ところが、やってきたのは災いだった。
光を望んだのに、暗闇がきた。
27 私の心は騒ぎ、休みなくいらだつ。
28-29 悲しみのあまり太陽さえも見えない。
私は立ち上がり、人々に助けを呼び求めるが、
何を言っても無駄だ。
私は山犬の兄弟とみなされ、
だちょうの仲間と思われているのだから。
30 病気のために皮膚は黒ずみ、むけ落ちた。
高熱のために骨は焼けるように痛む。
31 喜びと楽しみの歌は、もはや嘆きの声となった。

31 情欲をもって女性を見ないようにする。
私は、そう自分の目と契約を結んだ。
2-3 みだらな者に、全能の神が
災いを下すことを知っているからだ。
神は私のなすことすべてを見ている。
私がうそをつき、人を欺いたことがあるだろうか。
もちろん、神は私の潔白をご存じだ。
7-8 私は、神の道を踏みはずしたことも、
目に入るものへの欲望に取りつかれたこともない。
そのほかの罪についても、全く身に覚えがない。
もし少しでもやましいところがあったら、
私が種をまいて育てた作物をほかの者が刈り取り、
私の植えた木がみな根こそぎにされてもいい。
私が人の妻を欲しがったことがあるというなら、
10 殺されてもいい。
私の妻が他の人の家に労働者として入り、
あるいは他の人が彼女の夫になってもいい。
11 情欲は恥ずべき罪、罰せられるべき罪過、
12 何もかも焼き尽くす地獄の火だ。
それは、私の植えたものをみな根こそぎにする。
13 少しでも召使たちを
不当にあしらったことがあったなら、
14 神をまともに見ることなどできるわけがない。
神にそのことを問いただされたら、
何も答えようがない。
15 神は私を造り、また召使たちをも造ったからだ。
16 私が貧しい人を傷つけ、
未亡人を泣かせたことがあるだろうか。
17 腹をすかせた孤児に、
食べ物を恵まなかったことがあるだろうか。
18 いつも、孤児を引き取って親身に世話をし、
わが子同様に育てたではないか。
19-20 寒さにこごえている者に着る物を与えず、
その人を暖めるために羊の毛を刈らなかったことが
あるだろうか。
21 だれにも責められないからといって、
孤児の弱みにつけこんだことがあるだろうか。
22 こんなことを一つでもしていたら、
腕がつけ根からもぎ取られ、
肩の骨がはずれてもかまわない。
23 その程度の罰なら、
どんなものより恐ろしい神にさばかれるよりましだ。
威厳ある神を向こうに回したら、
一片の望みもなくなってしまうからだ。
24 私が金銭を頼りにしたことがあるだろうか。
25 財産のあるなしを
幸福の尺度にしたことがあるだろうか。
26 あるいは、空に輝く太陽を見、
銀の道に沿って動く月を見て、
27 心ひそかに魅せられ、
手を合わせて拝んだことがあるだろうか。
28 こんな行為も、裁判にかけて罰せられるべきだ。
私がこんなことをしたのなら、
天の神を否定したことになるからだ。
29 私は、敵が苦しむのを見て喜んだことがあるだろうか。
30 人をのろったり、復讐したりしたことなど一度もない。
31 召使を飢えさせたこともない。
32 見知らぬ人でも追い返したりせず、
だれが来ても気持ちよく迎え入れた。
33 私は、アダムのように罪を隠したことがあるだろうか。
34 群衆におびえ、軽蔑されることを恐れて、
罪を認めようとせず、
人の力になることをためらったことがあるだろうか。
35 私の言い分を聞き、
私の立場を理解してくれる者はいないのか。
だれが何と言おうと、私は正しい。
もし間違っていたら、全能者がそれを指摘すればよい。
敵の起訴状が正当であることを、全能者が認めればよい。
36 私はそれを、冠のように大事にしまっておく。
37 それから、自分が何をしたかを、
包み隠さず神に打ち明け、
堂々と自分の立場を弁護したい。
38-39 もし私の土地が、
そこの産物を盗んだとして私を責めるなら、
あるいは、私が小作人を殺して、
彼らの収穫を奪い取ったことがあるというなら、
40 小麦の代わりにいばらが生え、
大麦の代わりに雑草がはびこるように。」
ここでヨブのことばは 終わりました。

エリフのことば

32 三人の友人は、それ以上ヨブに答えるのをやめました。ヨブが、自分は潔白だと言い張って一歩も譲らなかったからです。 このやりとりを聞いていた、ラム族のブズ人、バラクエルの子エリフは腹を立てました。ヨブが、罪を犯したことを認めず、正当な理由があるからこそ神が彼を罰したのだということを認めようとしなかったからです。 エリフはまた、ヨブの三人の友人にも腹を立てました。ヨブの議論に満足な受け答えもできないくせに、ヨブを罪人呼ばわりしたからです。 エリフは、自分の話す番がくるのを、ずっと待っていました。一番年下だったので、これまで遠慮していたのです。 エリフは三人が答えに詰まったのを見ると、このときとばかり、怒りに震えながら、 口を開きました。
「私はまだ若いし、皆さんは人生の大先輩だ。
だから遠慮して、今まで黙っていた。
年長者のほうが賢いと言われているからだ。
8-9 しかし、年をとれば自然に賢くなるというものでもないことがわかった。
人を聡明にするのは、人のうちにある神の霊だ。
10 だから、しばらく私の言うことを聞いてもらいたい。
11-12 私はこれまで、じっと皆さんの言い分を聞いてきた。
ところが皆さんは、ヨブさんに罪を認めさせることも、
彼が罪人であることを証明することもできなかった。
13 『人に罪を認めさせるのは神だけだ』などと、
言いわけしないでもらいたい。
14 ヨブさんが初めから私と議論していたら、
私は絶対に、皆さんのような論法では答えなかった。
15-16 だれも答えることばがなくなり、
途方に暮れ、口をつぐんで座り込んでしまった。
それでも私は待ち続けるべきだっただろうか。
17 私も、言うだけは言わせてもらう。
18 さっきから、言いたいことがたくさんあって、
うっぷんがたまっていたのだ。
19 密閉したぶどう酒のたるのように、
私の腹は、今にも張り裂けそうだ。
20 思いきり語って、気分を晴らさせてほしい。
21-22 私は、人を侮辱することになるのを恐れて
手かげんしたりしないし、
だれにもへつらったりしない。
遠慮なく言わせてもらう。
神の罰を受けて死にたくないのだ。

33 そこでヨブさん、私の言い分を聞いてもらいたい。
いったん口を開いたからには、話を続けさせてほしい。
私は腹を割ってほんとうのことを言う。
神の御霊が私を造り、
全能者の息が私にいのちを与えるからだ。
反論できるなら、遠慮しないで反論してほしい。
6-7 私はあなたが求めているような、
あなたと神の間に立ち、
双方の代弁者になれる人物だ。
あなたを脅したり、怖がらせたりする人たちとは違う。
私も、あなたと同じ、ただの人間だから。
確かに、あなたは私の聞いているところで、
何度も言った。
『私は潔白だ。罪など犯していない』と。
10 神は重箱の隅をつつくように、
一つのあらも見のがすまいと目を光らせ、
あなたを敵視しているとあなたは言う。
11 また、『神は私に足かせをはめ、
ちょっとした動きでも監視する』とこぼしている。
12 私の答えを言おう。
このように神を悪しざまに言うことこそが、
そもそも罪なのだ。
神は人より偉大ではないか。
13 神が自分のすることを、
あなたにいちいち説明しないからといって、
なぜ神に文句を言うのか。
14 神は何度でもお語りになる。
15 それも、人が深い眠りについたあと、
夜の夢と幻の中で。
16 神はこのような方法で、
人の耳を開き、知恵と訓戒を授け、
17-18 その心を変え、思い上がらないように守り、
罪には刑罰のあることを警告し、
罠に落ちないように守る。
19 神は、骨は折らないにしても、
人に病気と痛みを送る。
20 それで人は、生きる楽しみどころか食欲すら失い、
いかにもおいしそうなごちそうでさえ
見向きもしなくなる。
21 彼はやせ細って骨と皮だけになり、
22 死の一歩手前に近づく。
23-24 しかし、そこに御使いがいて、
友人として彼をとりなし、
彼がいかに正しいかを告げるなら、
神は彼をあわれんでこう言う。
『彼を自由の身にせよ。死なせるな。
彼の身代わりができたからだ。』
25 すると彼は、子どものように元気になり、
若さを取り戻して健康になる。
26 彼が祈ると、神はすぐさま答え、
喜んで彼を受け入れ、彼を元の働き場に戻す。
27 彼は大声で友人に言う。
『私は罪を犯したが、神は釈放してくださった。
28 私が死ぬのをお許しにならなかった。
これからは光の中で生活しよう。』
29 神はたびたび、このようにして、
30 人のたましいを深い穴から引き上げ、
いのちの光の中で生きるようにしてくださる。
31 ヨブさん、そのことをよく考えてもらいたい。
話すことはまだある。続けて聞いてもらいたい。
32 これまでのところで何か言い分があるなら、
遠慮しないで言ってほしい。
私はあなたの正しさを認めたいと思っているのだから、
喜んで聞く。
33 言うことがなければ、
黙って、おとなしく聞いてもらいたい。
これから、あなたに知恵を教えよう。」

34 エリフのことばの続き。
「賢者の皆さん、私の言うことを聞いていただきたい。
われわれは、聞きたい音楽を選び、
食べたい料理を選ぶように、
正しいことには従うという選択をするべきだ。
しかし、まず始めに、
正しいとはどういうことか定義する必要がある。
ヨブさんがこう言ったからだ。
『私は潔白なのに、神はそうでないと言い、
私をうそつき呼ばわりする。
私は罪など犯したこともないのに、
恐ろしい罰を受けているのだ。』
7-9 ヨブさんのように尊大な人間が、
ほかにいるだろうか。
何しろ、『神を喜ばせることなど時間の無駄だ』
と言うほどだから、
悪者たちとよほど親しくしていたに違いない。
10 理解力のある皆さん、私の言うことを聞いてほしい。
神が罪を犯さないことぐらい
子どもだって知っている。
11 大切なのはむしろ、神が罪人を罰するということだ。
12 神は絶対に悪を行わず、
正義を曲げないということほど
確かなことがあるだろうか。
13 ただ神だけが、地上を支配する権威を持ち、
正義をもって全世界を治める。
14 神がご自分の御霊を取り去ったら、
15 いのちあるものはみな姿を消し、人は元のちりに帰る。
16 私のことばに耳を傾け、
これから言うことを理解してほしい。
17 もし、神が正義を憎むお方だとしたら、
この世を治めることなどできるだろうか。
あなたは、全能の裁判官をとがめるつもりか。
18 王や高貴な人に向かって、
『おまえたちは不正を働く悪人だ』と言うこの神を、
とがめるつもりか。
19 神は、どんなに身分の高い者をも
特別に重んじることなく、
貧しい人より金持ちを
多少でもえこひいきしたりしない。
どんな人間も、神が造ったからだ。
20 彼らはあっという間に死ぬ。
身分の高い者も低い者も、真夜中に突然、
人の手によらないで取り去られる。
21 神はすべての人の行動に目を注ぎ、
何もかも見通している。
22 悪人が神の視線から身を隠せるような暗闇はない。
23 だから、人を神の法廷に引き立てるには、
何か大きな罪を犯すのを待つまでもない。
24 神は最高権力者を
取り調べることもなく失脚させ、
他の人を代わりに立てる。
25 彼らのすることを監視し、
一夜のうちにそれをくつがえし、彼らを滅ぼす。
26 また、公衆の面前で、
彼らを悪者として打ちたたく。
27 彼らが神から離れてわき道にそれ、
28 貧しい者の叫びが神の耳に届いたからだ。
神は虐待される者の叫びを聞く。
29-30 神が沈黙を守っているからといって、
だれが神を非難できよう。
神は、悪者が支配権をにぎらないようにして、
国を滅亡から救う。
その一方で、いとも簡単に一つの国を葬る。
31 なぜ、人は神に、
『私たちは罪を犯しましたが、もういたしません』
と言わないのだろう。
32 あるいは、
『自分がどんな悪いことをしたのかわかりません。
教えていただければ、すぐに改めます』
と言わないのだろう。
33 神は、あなたの注文どおりに法を曲げるだろうか。
あなたの移り気に合わせて、
宇宙の秩序を変えるだろうか。
答えはわかりきっている。
34-35 ヨブさん、知恵ある人なら、
あなたが思慮のない話し方をしているという
私の意見に同意するはずだ。
36 あんなに神を悪く言ったのだから、
厳罰を受けて当然だ。
37 あなたは、もろもろの罪に、
背き、傲慢、冒瀆の罪を加えたのだ。」

35 エリフのことばの続き。
2-3 「『私は罪を犯していない。
それなのに、神の前では、
罪を犯した者より幸いというわけではない』と、
あなたは言う。
今、あなたばかりか、ここにいる皆の前で答えよう。
はるかに高い天を見上げてみよ。
あなたが罪を犯したところで、天をゆさぶり、
神を御座から突き落とすことができようか。
罪を山と積んだところで、
神にとって、それが何になるのか。
あるいは、あなたが正しいとしても、
それで神に恩を着せることになろうか。
あなたの罪は他の人を傷つけ、
善行は他の人の役に立つこともあるだろうが、
それだけなのだ。
9-10 人々は抑圧されて叫び声を上げ、
金持ちの力に屈してうめく。
しかし、誰ひとり、神に泣きつき、
『私を造った神はどこにいるのか。
夜には私に歌を与え、
11 私たちを獣や鳥より多少でも賢くするお方は
どこにいるのか』と尋ねようとはしない。
12 神にこう問いかけたところで、
神は、抑圧する者にすぐさま報復して
くれるわけではない。
13 かといって、神がこのような叫びに
耳をふさいでいると思うのは間違いだ。
14-15 神は事の成り行きを見ていないと考えるのは、
いっそう大きな間違いだ。
神を待ち望みさえすれば、
正しいさばきをしてくださる。
神が怒ってすぐ罰しないからといって、
大声を上げて神にかみついてはいけない。
16 ヨブさん、あなたは愚か者のような
口のきき方をしている。」

36 エリフのことばの続き。
「もう少し続けさせてほしい。
まだ、神について語るべきことがある。
私を造った方の正しさを説明するために、
例話を引き合いに出そう。
私は豊富な知識を持っている。
私が話すことは、混じり気のない真実ばかりだ。
神は全能だが、だれをもさげすまない。
それに、神の理解力は完璧だ。
神は悪者を祝福せず、最大限の刑罰を加える。
神は正しい者を、陽の当たらない所には置かず、
かえって栄誉を与えて永遠の王座につける。
彼らが災いに会い、奴隷となって苦しむと、
災いが起こった理由を示し、
どのような悪いことをしたのか、
またどのように思い上がっていたかを指摘してくれる。
10 神は、彼らが神の戒めを聞き、
罪から離れるように力を貸す。
11 彼らが神に従うなら、
一生の間祝福されて繁栄する。
12 しかし、神のことばを聞かないなら、
良識を失って戦場で倒れる。
13 一方、神を信じない者は神の怒りを買う。
彼らは神に懲らしめられているときでも、
神に立ち返ろうとしない。
14 快楽にうつつを抜かして堕落し、若死にする。
15 神は悩んでいる者を救い出す。
人は苦しむと、神のことばを聞くようになる。
16 神はどんなにか、あなたを危険から救い出し、
心地いい広々とした所へ連れて行き、
そこであなたを繁栄させたいと思っていることか。
17 しかし、あなたは、
他人への不平不満にとらわれすぎている。
18 他人への怒りが昂じて、
神を愚弄することがないように注意せよ。
苦しいからといって、
あなたを助け出せる、ただ一人のお方に
憎しみを抱いてはならない。
19 大声で叫べば、神は恥じて悔い改めると
本気で考えているのか。
そんなことで、あなたへの懲らしめが終わるだろうか。
20 神のさばきによって
人々が取り去られる夜を求めるな。
21 悪をきっぱり捨てなさい。
そもそも夜は、今の苦しみの原因である悪の生活から、
あなたを守るためにあったのだ。
22 神は全能だ。
神のようなすばらしい教師はいない。
23 神のすることに対して、
ばかげているとか、悪質だと言える者はいない。
24 目をみはるようなみわざを覚えて、
神をほめたたえなさい。
25 すべての人が、遠くからこのみわざを眺めたのだ。
26 神はあまりにも大きいので、
神を知る手がかりさえつかめない。
永遠というものを理解できる者はだれもいない。
27 神は水蒸気を吸い上げ、冷やして雨とし、
28 空から地上に降らす。
29 だれが雲の広がりと、
雲の中の雷とを正確に知っているだろう。
30 どのようにして神がいなずまを走らせ、
山々の頂上を雲で覆うかを見よ。
31 神は、自然界のとてつもない力によって、
人々を罰し、祝福し、食べ物を豊富に与える。
32 神は両手にいなずまの矢をたくさん握っていて、
その一本一本を的めがけて投げつける。
33 雷の中には神の気配が感じられる。
牛でさえ、いつ嵐が来るかを知っているのだ。

37 私の心はおののく。
神の声である雷の音を聞け。
雷が天を渡って来ると、
いなずまの閃光が四方八方に散る。
そのあとで、耳をつんざくような雷鳴がとどろく。
神の威厳を告げ知らせているのだ。
雷鳴は神の声に栄光を添える。
神の力の偉大さは測り知れない。
神が雪や夕立や豪雨を地上に降らせると、
すべての人は仕事の手を休め、神の力を認める。
野獣は岩間やほら穴に避難する。
雨は南から、寒さは北から来る。
10 神が川の上に息を吹きかけると、
急流でさえ凍りつく。
11 神が雲に水分を含ませると、
雲はいなずまをまき散らす。
12 いなずまは神の命令どおり、地を行き巡る。
13 神が嵐を起こすのは懲らしめのため、
また、いつくしみで人々を元気づけるためだ。
14 ヨブさん、あなたには、神のすばらしい奇跡を
じっくり考えてもらいたい。
15 あなたは、どのようにして神が自然界を支配し、
雲間にいなずまをひらめかすのか知っているだろうか。
16-17 雲は完全な調和をもって見事につり合っているし、
南風が吹くと暑くなる。
いったいどうしてそうなるのか、知っているだろうか。
18 あなたは神のように、
途方もなく大きな鏡のような空を
張り広げることができるだろうか。
19-20 自分には豊富な知識があると考える人がいたら、
神に近づく方法を教えてもらいたい。
私たちはあまりにも鈍く、
何もわかっていないからだ。
はて、そんな知識で神に近づけるだろうか。
生きたままのみ込まれてもよいというのか。
21 風が雲を吹き払うと、まぶしくて
太陽をまともに見ることができないように、
22 天の切れ間から差し込む、
目のくらむような輝きを放つ
神の威厳を見つめることは不可能だ。
23 全能者の力を推し量ることはできない。
しかし、神はこの上なく正しく、
思いやりにあふれているので、私たちを滅ぼさない。
24 人々が神を恐れるのは不思議ではない。
世界最高の賢者も、
神を感心させることなどできないのだから。」

主のことば

38 その時、神はつむじ風の中からヨブに答えました。
「なぜおまえは、わたしの摂理を否定しようとして、
無知をさらけ出すのか。
さあ、遠慮なく向かって来なさい。
これから幾つかの質問をするから、
答えてみなさい。
わたしが地の土台をすえた時、
おまえはどこにいたか。
わかるなら言ってみよ。
おまえは地の寸法がどのようにして決められ、
だれがその調査に当たったかを知っているか。
6-7 その土台を支えるものが何か、
だれが隅の親石をすえたかを知っているか。
その時、明けの明星は声を合わせて歌い、
御使いたちは歓声を上げた。
8-9 海が地の底から吹き出た時、
だれが、その境界線を決めたか。
だれが、雲と暗闇を海の着物とし、
10 海岸線で区切って、それをせき止め、
11 『ここまでだ。これ以上、来てはいけない。
おまえの高ぶる波はここで止まるのだ』と言ったか。
12 おまえはただの一度でも、朝に姿を現せと命じ、
暁を東の空から昇らせたことがあるか。
13 夜明けの光に、地上をくまなく照らして、
不法な夜の支配にとどめを刺せと命じたことがあるか。
14 暁を赤く彩り、
15 悪者の巣を乱し、振り上げられた腕を
とどめたことがあるか。
16 おまえは海の源である泉を探り、
深海の底を歩いたことがあるか。
17-18 死の門のありかを突き止めたことがあるか。
地の広さを見きわめたことがあるか。
知っているなら言ってみるがいい。
19 光はどこから来るか。
どうしたらそこへ行き着けるか。
暗闇についてはどうか。それはどこから来るか。
20 その境を見つけ、その源まで行くことができるか。
21 おまえがこれらのものが造られる前に生まれ、
じゅうぶんな経験を積んでいるというのなら、
そんなことは、すべて知っているはずだ。
22-23 おまえは、雪の倉に行ってみたことがあるか。
雹が造られ蓄えられる場所を見たことがあるか。
わたしはそれを、戦いの時に使おうと保管している。
24 光の分岐点に通じる道はどこにあるか。
東風の故郷はどこか。
25-27 大雨の水路として谷を掘ったのはだれか。
だれがいなずまの道を造り、砂漠に雨を降らせ、
乾ききった不毛の大地に水をじゅうぶん吸わせ、
やわらかい草を生えさせるのか。
28 雨には父親があるか。露はどこから来るか。
29 氷と霜の母親はだれか。
30 水は姿を変え、石のように固い氷になるではないか。
31 おまえは星を取り抑え、
オリオン座やスバル座を引き止めることができるか。
32 四季の順序を正しく決め、
牡牛座のすべての星を
正しい軌道に導くことができるか。
33 宇宙の法則に通じ、
天がどのような影響を地に及ぼすかを知っているか。
34 おまえの叫び声を雲にまで届かせ、
そこから雨を降らすことができるか。
35 いなずまを呼び寄せ、
意のままに雷を落とすことができるか。
36 人に直観や本能を授けたのはだれか。
37-38 雲を全部数えられるほど知恵のある者がいるか。
土地が乾ききって固まり、
ほこりだらけになるとき、
だれが天の水がめを傾けることができるか。
39-40 子どものライオンがほら穴に伏し、
またジャングルの中に寝そべって食べ物を待つとき、
おまえは母親のライオンのように、
獲物に忍び寄ってしとめることができるか。
41 からすの子がひもじさを訴えて巣の中で背伸びし、
神に鳴き叫ぶとき、親がらすに餌を与えるのはだれか。

39 おまえは、野やぎがどのようにして子を産むのか
知っているか。その光景を見たことがあるか。
2-3 それが身をかがめて子を産み落とし、
体内の重荷から解放されるまでに、
何か月みごもっているのか知っているか。
野やぎの子らが野原で成長すると、
親のもとを離れ、二度と帰って来ない。
だれが野ろばを野生にしたか。
このわたしが、それを荒れ地に放ち、
住みかとして不毛の地を与えたのだ。
野ろばはにぎやかな町を嫌い、
追い手の叫び声を聞くことをいやがる。
山や丘が彼らの牧場だ。
彼らはそこで、ありとあらゆる緑の草を探す。
野牛はおまえに素直に仕えるだろうか。
飼い葉おけのそばに寄って来るだろうか。
10 おまえは野牛を使って畑を耕せるか。
野牛は馬鍬を引いてくれるだろうか。
11 野牛は力が強いからといって、
おまえは頼りにするだろうか。
野牛に、どこで働くかを自由に決めさせるだろうか。
12 野牛を使いに出したら、
打ち場から穀物を運んで来てくれるだろうか。
13 だちょうは誇らし気にはばたくが、
母親の愛は持ち合わせていない。
14 地面の上に産んだ卵を、砂に温めさせるだけだ。
15 だれかに踏まれたり、
野獣につぶされたりするのを忘れている。
16 まるで自分の子ではないかのように冷淡にあしらい、
死んでもいっこうに気にしない。
17 わたしが知恵を奪ったからだ。
18 ところが、だちょうはいったん跳びはねて走りだすと、
どんなに速い馬をも追い越す。
19 おまえが馬に力を与えたのか。
風になびくたてがみを、その首につけたのか。
20 馬をいなごのように跳びはねさせることができるか。
そのすさまじいいななきは、なかなかのものだ。
21-23 馬は地面を前足でかき、自分の力を誇る。
いったん戦場に出ると何ものをも恐れず、
矢が雨あられと降って来ようと、
光る槍と投げ槍が飛んで来ようと逃げ出さない。
24 戦闘ラッパが鳴り渡ると、前足で激しく地面をかき、
疾風のように敵陣へと駆けて行く。
25 ラッパの鳴るたびにヒヒーンといななき、
遠くから戦いの匂いを嗅ぎつける。
ときの声と、命令を伝える指揮官の怒号を聞くと喜ぶ。
26 おまえは、鷹がどのようにして高く舞い上がり、
南方をさして翼を広げるかを知っているか。
27 鷲が崖の上に高くのぼって巣を作るのは、
おまえの指図によるのか。
28 鷲は崖の上に住み、自然の要害を住みかとする。
29 そこから、はるか遠くにいる獲物をうかがう。
30 鷲は死んだ動物を見つけて運び、
ひなはその血を吸う。」

40 主はさらに続けました。

「おまえはまだ全能者と口論したいか。
それとも降参するか。
神を批判する者よ、答えてみよ。」

ヨブは主に答えました。

「私は何の値打ちもない者です。
どうして答えることができましょう。
口に手をあてて黙り込むだけです。
私は語りすぎました。」

主は再びつむじ風の中から、ヨブに語りかけました。

「さあ、男らしく立ち上がり、
戦いに備えて身を引き締めなさい。
そして、わたしの質問に答えるのだ。
おまえは自分の正しさを主張しようとして、
わたしのさばきを信用せず、
わたしを罪人呼ばわりするのか。
おまえは神のように強く、
神のような大声で雷鳴をとどろかせることができるか。
10 そうだとしたら、
おまえの尊厳と威光を身にまとえばよい。
11 おまえの怒りを吐き出し、
思い上がった者の上にまき散らすのだ。
12 横柄な者をひと目でへりくだらせ、
悪者をその場で踏みにじれ。
13 彼らをちりの中に沈め、死者の牢獄につなげ。
14 それができたら、自分の力で自分を救えると
おまえが言っていることを正しいと認めよう。
15 河馬を見よ。
わたしはおまえを造ったように、河馬も造った。
河馬は牛のように草を食べる。
16 がっしりした腰と腹の筋肉を見よ。
17 尾は杉のようにたれ、
ももの筋はしっかり編み合わせてある。
18 背骨は真鍮の管のようにまっすぐ伸び、
肋骨は鉄の棒のようだ。
19 河馬は、わたしが造ったものの中でも
飛びきり凶暴だ。
河馬を手なずけたいと思ったら、鋭い剣が必要だ。
20 山々は最高の食べ物をそれに差し出す。
河馬は山々の野獣を餌として食べる。
21 河馬は葦の茂みに隠れた蓮の下に横たわる。
22 蓮がこれを覆い、川のほとりの柳がこれを囲む。
23 河馬は川が荒れ狂っても騒がず、
水嵩の増したヨルダン川が押しかぶさっても動じない。
24 だれも、不意に襲って捕まえることができない。
鼻に輪をつけ、引きずることもできない。

41 おまえは糸とつり針で巨獣をつり上げたり、
舌に輪縄をかけたりすることができるか。
鼻に綱を通して、つなぎ止めたり、
あごを大釘で刺し通したりできるか。
巨獣は、やめてくれと哀願したり、
おまえの機嫌をとろうとしたりするだろうか。
いつまでもおまえの奴隷になることを
承知するだろうか。
小鳥のように飼いならしたり、
幼い娘の遊び相手として与えたりできようか。
漁師仲間はそれを魚屋に売るだろうか。
その皮を投げ槍で傷つけたり、
頭にもりを打ち込んだりできようか。
頭に手を乗せようものなら、
そのあとに起きる恐ろしい格闘のことが
いつまでも頭にこびりつき、
もう二度と手出ししなくなる。
生け捕りにすることなど、もってのほかで、
考えただけでぞっとする。
10 それを怒らせるほど勇気のある者はいない。
まして、それを征服するなど大それた話だ。
誰ひとりその前に立ちはだかることができない。
だとしたら、だれがわたしの前に立てようか。
11 わたしはだれにも借りがない。
天の下にあるものはみな、わたしのものだからだ。
12 また巨獣には、
手足や巨大な体全体にみなぎる、途方もない力がある。
13 だれがその厚い皮をはいだり、
上顎と下顎の間に入ったりできるだろうか。
14 その鋭い歯は見るからに恐ろしい。
15-17 巨獣が誇りとする、
びっしり重なり合ったうろこは、空気も通さず、
どんな物でも刺し通すことができない。
18 それがくしゃみをすると、
陽の光は霧の中で、いなずまのように光り、
その目は火花のように輝く。
19 口は火を吐き、
20 鼻の穴からは煙が出る。
乾いた藺草を燃やして煮えたぎらせた
釜から立ち上る水蒸気のように。
21 その息は炭火を起こし、口からは炎がほとばしる。
22 首には途方もない力があり、
行く先々で混乱を巻き起こす。
23 肉はやわらかな脂肪ではなく、肉は固くしまっている。
24 心臓は岩のように堅く、まるでひき臼のようだ。
25 それが体を起こすと、勇者もおじけづき、
恐怖に取りつかれる。
26 剣も、槍や投げ槍も、先のとがったもりも、
その行く手をさえぎることができない。
27-28 巨獣にとっては、鉄もわらと変わらず、
真鍮も腐った木のようなものだ。
矢もそれを追い払えず、
投石器もわら同様に効き目がない。
29 棍棒も歯が立たない。
巨獣は飛んで来る投げ槍をもあざ笑う。
30 腹は瀬戸物のかけらのように鋭いうろこで覆われ、
体を引きずって歩けば、地面は削り取られる。
31-32 それが興奮すると水を沸き立たせ、
深い淵をかき混ぜる。
それが通ったあとには光るあわの筋が残るので、
人は海は霜からできていると思うだろう。
33 これほど恐れを知らぬものは地上にいない。
34 それは、獣の帝王で、獣の中で最も威厳がある。」

Japanese Living Bible (JLB)

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