Bible in 90 Days
15 こうして彼らをきよめ、わたしにささげてから、彼らに幕屋の仕事をさせなさい。
16 レビ人は、民の中から特別にわたしのものとされたのである。わたしは、イスラエル人の長男の代わりに、レビ人をわたしのものとする。 17 イスラエルでは、人も動物も初めに生まれたものは、わたしのものだからだ。エジプト人の長男をすべて殺したあの夜、わたしはイスラエル人の長男や家畜の初子をきよめてわたしのものとした。 18 だから、イスラエル人の長男の代わりにレビ人をもらうのだ。 19 彼らにアロンとその息子たちの手伝いをさせよう。全イスラエルの民の代わりに、幕屋でわたしに仕えさせよう。いけにえをささげ、人々の罪を償わせるのだ。そうすれば、イスラエル人が過って幕屋に入り、罰せられることもないだろう。」
20 モーセとアロンとイスラエルの民は、主の命令どおり、注意深くレビ人をささげました。 21 レビ人は体と衣服を洗いきよめ、アロンは彼らを主にささげる儀式ときよめの儀式を行いました。 22 それが全部終わって、レビ人はアロンとその子らを助けるために、幕屋の仕事に就いたのです。すべて主がモーセに命じたとおりでした。
23-24 主はまた、モーセに告げました。「レビ人は二十五歳になったら奉仕を始め、五十歳で引退する。 25-26 引退後も幕屋での仕事を手伝うことはできるが、責任ある務めはできない。レビ人の務めについて、以上のように指示しなさい。」
月遅れの過越の祭り
9 イスラエル人がエジプトを出てから二年目の第一の月に、主はシナイの荒野でモーセに告げて言いました。 2-3 「イスラエルの民はみな、過越の祭りを行いなさい。祭りは毎年この月の十四日(太陽暦の三月二十八日)の夕方から始める。すべてわたしの言うとおりに行わなければならない。」
4-5 そこでモーセはその場所で、第一月の十四日の夕方から過越の祭りを始めるように民に言いました。民は、神がモーセに命じたとおりに行いました。
6-7 ところが、問題が起きました。何人かの者が葬式の席で死体にさわり、身を汚していたので、そのままでは過越の祭りを祝うことができなかったのです。彼らはモーセとアロンのところに来て尋ねました。「死体にさわって汚れたので、定められた時にいけにえをささげることができません。いったいどうしたらいいでしょう。」
8 モーセが、「主に伺ってみましょう」と言って祈ると、 9 主は答えました。 10 「今後、だれでも、過越の祭りの期間に死体にさわって体を汚したり、旅行中だったりして祭りが守れない場合は、一か月後に守ればよい。 11 第二月の十四日の夕方に始めるのだ。そのとき、子羊とパン種を入れないパンと苦菜を食べなさい。 12 翌朝まで残しておいてはいけない。子羊の骨は一本も折ってはいけない。すべて決まりどおりに行いなさい。 13 身を汚したわけでもなく、旅行中でもないのに過越の祭りを祝わない者は追放しなさい。 14 もし、在留外国人が祭りを祝いたいと言ったら、やはり決まりどおりにやらせなさい。」
旅を導く雲と火の柱
15 幕屋ができたその日、幕屋はすっぽりと雲に覆われました。夕方になると雲は火のように赤くなり、夜通しあかあかと輝いていました。 16 いつも、昼間は雲、夜間は火のようなものが幕屋を覆いました。 17 雲が上ると人々も移動し、雲がとどまると、そこで野営しました。 18 すべて神の命令によって旅を進めたのです。雲がとどまっている間は、人々もとどまりました。 19 雲が長い間とどまるときは、人々も長くとどまり、二、三日のときは、やはり人々も二、三日とどまるといったぐあいでした。 20-21 時には、真っ赤な雲が夜の間だけとどまり、翌朝には動きだすこともありました。昼であろうが夜であろうが、雲が動くと、人々は急いで天幕(テント)をたたみ、雲について行きました。 22 二日でも、一か月でも、一年でも、雲がとどまっている間は人々もとどまり、雲が動くと人々も移動したのです。 23 野営をするのも旅をするのも、みな主の御心のままでした。人々は、主がモーセに命じたことは何でも、そのとおりにしました。
銀のラッパ
10 1-2 続けて、主はモーセに言いました。「集合と出発の合図用に、銀でラッパを二本作りなさい。 3 二本のラッパが長く鳴ったら、人々が神の幕屋に集まる合図、 4 一本の時は、族長があなたのところに集まる合図としなさい。
5-7 集合と出発の合図は吹き方で区別する。短く鳴ったら、まず幕屋の東側に野営している部族が出発し、次の合図で、南側の部族が出発しなさい。 8 ラッパを吹けるのは祭司だけである。これは代々にわたって守らなければならない。
9 約束の国カナンに着いてから敵と戦う場合、これで非常ラッパを鳴らせば、あなたがたを助けよう。 10 また、毎年行う祭りの時や、焼き尽くすいけにえ、和解のいけにえをささげる月初めの祝いの日にも、ラッパを吹き鳴らしなさい。それを聞いて、あなたがたとの約束を思い出す。わたしはあなたがたの神、主だからだ。」
シナイを発つイスラエル
11 イスラエル人がエジプトを出てから二年目の第二月の二十日に、雲は幕屋を離れて上りました。 12 そこで彼らはシナイの荒野をあとにし、雲に導かれてパランの荒野に向かいました。 13 モーセを通して示された主の命令による、初めての旅でした。
14 先頭はユダ族で、旗を立てアミナダブの子ナフションが率いました。 15 そのあとに続くのは、ツアルの子ネタヌエルが率いるイッサカル族と、 16 ヘロンの子エリアブが率いるゼブルン族です。 17 続いて、レビ族のうちのゲルション族とメラリ族(氏族)が、解体した幕屋をかついで進みました。
18 そのうしろに、旗を先頭にシェデウルの子エリツルが率いるルベン族、 19 ツリシャダイの子シェルミエルが率いるシメオン族、 20 デウエルの子エルヤサフが率いるガド族と続きました。
21 次は、聖所で使う用具を運ぶケハテ族です。こうすれば、彼らが着くまでに幕屋を組み立てておけるのです。 22 そのあとに、アミフデの子エリシャマが率いるエフライム族、 23 ペダツルの子ガムリエルが率いるマナセ族、 24 ギデオニの子アビダンが率いるベニヤミン族が、それぞれの旗を立てて続きました。
25 最後に、それぞれの旗を先頭に、アミシャダイの子アヒエゼルが率いるダン族、 26 オクランの子パグイエルが率いるアシェル族、 27 それに、エナンの息子アヒラが率いるナフタリ族が進みました。 28 これが、イスラエルの各部隊の出立の順序でした。
モーセとホバブ
29 ある日モーセは、しゅうとのミデヤン人レウエルの息子で、義理の兄弟に当たるホバブに言いました。「私たちは、いよいよ約束の地へ出発します。どうです、いっしょに来ませんか。主のすばらしい約束があるのですから、何も心配はいりません。」
30 「せっかくだが、国の家族のもとに帰りたい。」
31 「そう言わず、どうかいっしょに来てください。荒野の道にくわしい人がいてくれると、ほんとうに助かるのです。 32 主が私たちに下さるものは何でもお分けしますから。」
33 こうして一行は、シナイ山を出発してから三日間、旅を続けました。その間、主の契約の箱が先頭になって進み、そうして、彼らは休む場所を探しました。 34 彼らが野営地を出発した時、雲が一行の前を進みました。 35 契約の箱がかつぎ上げられる瞬間、モーセは大声で祈りました。「神様、立ち上がってください。敵をみな、さんざん追い散らしてください!」 36 また、休むために箱が下ろされる時、「ああ神様! すべてのイスラエルの民のところにお戻りください」と祈りました。
民の不満
11 まもなく、人々が主に対して激しく不平を言い始めました。主はそれを聞いて非常に怒り、野営地を端から焼き払おうとしました。 2 驚いた彼らが、「た、大変だ! 何とかしてくれ」と叫んだので、モーセが祈ると、火はようやく消えました。 3 その事件があってから、そこはタブエラ(「燃える地」の意)と呼ばれるようになりました。そこで主が、イスラエル人を焼き滅ぼそうとされたからです。
4-5 それが一段落すると、イスラエル人に混じって来たエジプト人が食べ物のことで文句を言い始め、おまけに一部のイスラエル人までが、いっしょになって不満をぶちまけました。「ああ、ひと口でもいいから肉が食べたい。エジプトの魚はうまかったなあ。それに、きゅうり、すいか、にら、玉ねぎ、にんにく。思い出すだけでもよだれが出そうだ。 6 なのに今はどうだ。毎日毎日こんなマナばっかりじゃ、力も出ない。」
7 マナはコエンドロ(コリアンダー。セリ科の一年草で、夏、白い小さな花をつける)の種ぐらいで、白っぽい樹脂のような色をしていました。 8 それを拾い集め、つぶして粉にするか、臼でつくかしてから、蒸してパンを作るのです。味は油で揚げたパンのようでした。 9 マナは夜の間に露といっしょに降りました。
10 人々がそれぞれ自分の天幕の入口に集まって泣き言を言っているのを聞くと、主はまた憤りを覚えました。モーセも同じでした。 11 モーセはとうとう主にぐちをこぼしました。「なぜ、こんなに手のかかる連中の面倒を見させて、私をお苦しめになるのですか。 12 どうして、親子でも何でもないのに、こんな赤ん坊みたいな者たちを、約束の国まで連れて行かなければならないのですか。 13 『肉が欲しい』と泣きつかれても、どこで手に入れたらよいのでしょうか。 14 私ひとりでは手に負えません。荷が重すぎます。 15 これ以上苦しみが続くのでしたら、もうたくさんです。いっそ、今すぐ私を殺してください。」
16 主は答えました。「指導者を七十人選び、幕屋へ連れて来て、あなたといっしょに立たせなさい。 17 わたしはそこであなたと話し、あなたの仕事を手伝えるように、彼らにもあなたと同じ霊の力を与えよう。 18 それから、人々に身をきよめるように言いなさい。明日、肉が食べられると言いなさい。『おまえたちが、エジプトに残してきたものを泣くほど恋しがり、不平を言うのを、主はお聞きになった。望みどおり肉を下さるそうだ。 19-20 それも、一日や二日ではない。五日、十日、二十日、いやそれ以上、毎日だ。まる一か月も食べ続ければ吐き気を催し、もう、うんざりだと言うだろう。主がいっしょにおられるのに見向きもせず、泣いてエジプトを恋しがった罰だ。』」
21 モーセは言いました。「ですが主よ、男だけでも六十万人はおります。その全員に一か月分の肉とは! 22 羊と牛を全部殺しても足りません。海の魚を一匹残らず捕り尽くさないかぎり、とてもそれだけの肉は手に入りません。」
23 「モーセよ。いつからわたしはそんなに弱くなったのか。わたしの言うことがほんとうかどうか、今にわかる。」
24 モーセは幕屋を出て、人々にそのことばを伝えました。それから七十人の長老を集め、幕屋の回りに立たせました。 25 と、どうでしょう。主が雲の中に身を隠して降りて来られ、モーセと話をしているではありませんか。そして主は、モーセに与えた霊の力を長老たちにも与えました。すると、しばらくの間、彼らは預言をしたのです。
26 ところが、エルダデとメダデの二人はその時、野営地内に残っていたのに他の長老たちと同じように預言し始めました。 27 そのことを、一人の若者が走って伝えに来ると、 28 モーセが助手に選んだヌンの子ヨシュアはモーセに、「そんなことはやめさせてください」と抗議しました。
29 「おまえは二人のことをねたんでいるようだ。だが、私は、イスラエル人がみな主の霊を頂き、預言者になってくれたらどんなにいいかと思っているのだ。」 30 こう答えると、モーセは長老たちと共に野営地に帰りました。
31 さて次の日、主が風を起こすと、それに乗って海の向こうからうずらが飛んで来て、野営地の回りに落ちました。どの方向に進んでも、一日の道のりの所にうずらが落ちています。それも九十センチほどの高さに、びっしり敷き詰めたようになっているのです。 32 人々は、その日一日では足りず、夜の間も翌日もずっと、うずらを集めました。一番少ない者でも山ほど集めることができ、それを野営地中に広げて干しました。 33 ところが、その肉を食べ尽くさないうちに主の罰が下り、大ぜいの者が疫病にかかって死にました。 34 それから、この場所は、キブロテ・ハタアワ(「欲望の墓場」の意)と呼ばれるようになりました。人々が肉を欲しがり、エジプトでの生活を恋しがった人々を埋葬したからです。 35 このあと人々はハツェロテまで行き、しばらく滞在しました。
ミリヤムとアロンの反抗
12 ある日、ミリヤムとアロンは、モーセの妻がクシュ人だということで彼を非難しました。 2 「主のことばを伝えるのはモーセだけじゃない。私たちだって、ちゃんと話ができるのではないか。」
3-4 このことを聞いた主は、さっそくモーセとアロンとミリヤムを幕屋に呼びました。「三人ともここに来なさい。」
言われるままに彼らは、主の前に出ました。モーセはだれよりも謙遜な人でした。
5 それから、主は雲に身を隠して降りて来て、幕屋の入口に立って命じました。「アロンとミリヤム、前に出なさい。」二人は言われたとおりにしました。 6 「わたしは預言者には幻や夢の中で話をするが、 7-8 モーセはそうではない。彼はいつでもわたしと会って、直接話ができる。わたしの姿も見ることができる。それなのになぜ、恐れもなく彼を非難するのか。」
9 主は激しく二人をしかり、立ち去りました。 10 そして、雲が幕屋を離れると、そのとたんミリヤムはツァラアトにかかり、見る見る肌が白くなっていきました。 11 それを見たアロンは必死で叫びました。「ああ、モーセ。赦してくれ! あんな愚かなことを言って悪かった。 12 ミリヤムを、肉が腐りかかった死産の子のようにしないでくれ。」
13 モーセは祈りました。「神様! どうか姉を治してやってください。」
14 しかし、主は答えました。「父親が娘の顔につばをしてさえ、娘は七日間汚れるではないか。ミリヤムを野営地の外に出しなさい。七日たったら連れ戻してもよい。」
15 それでミリヤムは宿営の外に締め出され、一週間、イスラエル人は彼女が戻るまで旅に出ませんでした。 16 そのあと彼らはハツェロテを去り、パランの荒野に野営することになりました。
カナンへの偵察隊
13 主はモーセに告げて言いました。 2 「いずれはあなたがたのものになるカナンの国に、まず偵察隊を送り込みなさい。各部族から一名ずつ選ぶのだ。」
3-15 この時、一行はパランの荒野に野営していました。モーセは主が命じたとおり、十二人の偵察者を選びました。
ルベン族からザクルの子シャムア、シメオン族からホリの子シャファテ、ユダ族からエフネの子カレブ、イッサカル族からヨセフの子イグアル、エフライム族からヌンの子ホセア(ヨシュア)、ベニヤミン族からラフの子パルティ、ゼブルン族からソディの子ガディエル、ヨセフ族〔実際はマナセ族〕からスシの子ガディ、ダン族からゲマリの子アミエル、アシェル族からミカエルの子セトル、ナフタリ族からボフシの子ナフビ、ガド族からマキの子ゲウエル。
16 モーセがヌンの子ホセアの名をヨシュアと変えたのは、この時です。
17 彼らを送り出す時、モーセはこう命じました。「北へ進み、ネゲブの山地に入り、 18 カナンがどんな国か探って来なさい。住民は強いか弱いか、多いか少ないか、 19 土地は肥えているかどうか、どんな町があるか、ただの村か、それとも城壁のある町なのか、 20 繁栄しているか、貧しいか、木は多いかなどを探って来るのだ。恐れてはいけない。試しに、その土地のくだものを取って来なさい。」ちょうど、ぶどうの初物が熟す季節だったからです。
21 彼らは、南はツィンの荒野から北はハマテに近いレホブまで探りました。 22 北へ進み、まずネゲブを通り、ヘブロンに着きました。そこには、アナクの子孫のアヒマン族、シェシャイ族、タルマイ族が住んでいました。ヘブロンは、エジプトのタニスより七年も前に建てられた、非常に古い町です。 23 それから、のちにエシュコルの谷と呼ばれるようになった地に来て、ぶどうが一房ついた枝を切り取りました。とても大きく、棒に通して二人でかつがなければならないほどでした。ざくろやいちじくの実もいくらか取りました。 24 その時から、イスラエル人は、そこをエシュコル〔「一房のぶどう」の意〕の谷と呼ぶようになりました。
25 彼らは四十日の間カナンの国を探り、 26 パランの荒野のカデシュに戻ると、モーセ、アロンはじめイスラエルの民全体にさっそく報告し、持ち帰ったくだものを見せました。
27 彼らの報告は次のとおりです。「ただいま戻りました。カナンは実にすばらしい国です。まさに、乳とみつが流れる国でした。その証拠に、持ち帰ったくだものをごらんください。 28 しかし残念なことに、住民は強く、町々は非常に大きく、城壁を巡らしてあります。そのうえ、アナクの子孫の巨人族がいるのです。 29 南にはアマレク人、山地にはヘテ人、エブス人、エモリ人、地中海沿岸とヨルダン川流域には、カナン人が住んでいます。」
30 この報告に、人々はざわつきました。しかし、カレブはモーセの前でみなを静めると、きっぱり言いました。「われわれは、すぐ攻め上ってカナンを占領しよう。大丈夫、やれば必ずできる。」
31 「むちゃなことを言うな。あんな強い相手では、かなうわけがない。とても歯が立つものか。」偵察に行ったほかの者は大反対です。
32 結局、ほとんどの者はあまり乗り気ではなかったので、彼らは人々に言いました。「国中に兵士がおり、住民はたくましい体格をしている。 33 昔の巨人の子孫アナク人もいるし、彼らと比べたら、私たちなど虫けら同然に見える。」
民の不信仰
14 それを聞いた人々は、絶望的な声を上げて、夜通し泣き続けました。 2-3 やがて嘆き声は、モーセとアロンへの痛烈な非難の声に変わりました。「なんてことだ。こんなことならエジプトで死んだほうがよかった。そんな国に行くくらいなら、この荒野で死んだほうがまだましだ。神様はおれたちを殺すつもりなんだ。そうなったら、妻や子は奴隷にされてしまう。さっさと引き返して、エジプトへ帰ろう。」
4 この声は野営地中に広まり、「エジプトに連れ戻してくれる指導者を立てよう」と、人々は叫ぶのでした。
5 モーセとアロンはみなの前で顔を地につけ、ひれ伏しました。 6 偵察に加わったヌンの子ヨシュアとエフネの子カレブは、人々のあまりのふがいない姿に着物を引き裂き、 7 こう訴えました。「私たちの目の前にあるのはすばらしい国だ。 8 それに主が味方なのだ。主は私たちを安全に導き、必ずその国を下さる。乳とみつの流れるすばらしい国を下さるのだ。 9 主に背くのはやめよう。人間など恐れなくていい。主がいっしょにおられる。だれも神様にはかなわないのだから、恐れることはない!」
10-11 ところが人々は、二人の言うことを聞こうともせず、かえって石で打ち殺そうとしました。その時、神の栄光が現れ、声が響きました。「モーセよ、この者たちはいつまでわたしを軽んじるのか。あれだけの奇跡を見ても、まだわたしを信じないのか。 12 こうなったら、彼らを疫病で滅ぼしてしまおう。代わりにあなたから、もっと強く、もっと偉大な国民を起こそう。」
13 しかしモーセは、必死になって主に願いました。「ですが、そのようなことをエジプト人が聞いたら、彼らは何と言うでしょう。私たちがエジプトから助け出された時、彼らはあなたの力をいやというほど思い知ったはずです。 14 そのことはすでにこの地の住民にも知れ渡り、彼らは、あなたが私たちと共にいて、親しくかかわってくださっていることを知っているのです。昼も夜も私たちを導き守る雲の柱、火の柱が彼らにも見えないはずはありません。 15 今、イスラエルの民を一人残らず滅ぼしでもされたなら、どうなるでしょう。あなたのすばらしさを耳にしていた人々は、これ幸いに、 16 『なんだ、あの神は。荒野でイスラエル人どもを養うこともできず、結局は殺してしまった。約束の地へ連れて行く力など、初めからなかったのだ』と、ばかにするに違いありません。 17-18 お願いです。どうか力をお示しください。どうか忍耐してください。以前と変わらず私たちを愛し、罪を赦してください。確かにあなたは、『罪は必ず罰する。父親の罪を三、四代にわたるまで罰する』と言われました。 19 しかし、あえてお願いします。私たちをお赦しください。エジプトを出てから今日まで、いつも赦してくださったように、今も変わらず私たちを愛してください。」
20-23 「あなたがそれほど言うなら赦そう。だが、これだけは言っておく。エジプトでもこの荒野でも、すばらしい奇跡を見ながら十度も強情を張り、わたしを信ぜず、従おうともしなかった者たちは、決して約束の国を見ることはできない。栄光が全地に満ちている神であるわたしがこう言う以上、それは絶対だ。 24 ただ、カレブは違う。彼はいつもわたしを信じ、従い通した。彼はカナンに入り、子孫たちにその地を残す。 25 しかし、あなたがたは今、アマレク人や渓谷地帯に住むカナン人を恐れているので、ひとまず引き返すのだ。そして、明日から向きを変えて紅海に向かいなさい。」
26-27 このあと神は、モーセとアロンだけに語りました。「このひねくれた民は、いつになったら不平を言わなくなるのだろう。もう十分だ。 28 彼らに言いなさい。『主はあなたがたが何よりも恐れていることをされる。 29-30 あなたがたはみな、この荒野で死ぬのだ。二十歳以上の者で主に不平を言った者は、エフネの子カレブとヌンの子ヨシュアのほかは一人も約束の国に入れない。 31 あなたがたは子どもが奴隷にされると言ったが、神は彼らを守り、あなたがたがさんざん文句を言ったカナンの国を彼らに与える。 32 あなたがたの死体は、この荒野に捨てられる。 33 最後の一人が死ぬまで、あなたがたの子らはあてもなく四十年もさまよい歩く。それもみな、主を信じなかったからだ。 34-35 偵察隊が四十日間カナンの国にいたように、彼らの一日を一年と数えて四十年間、荒野にいて罪を償わなければならない。神に背けばどうなるか、よく思い知るだろう。それらの者は一人残らずこの荒野で死ぬと、主が言われたのだ。』」
36-38 このことがあってから、人々を不安にして主に背くようにそそのかした十人の偵察者たちが、疫病にかかって死にました。生き残ったのはヨシュアとカレブの二人だけでした。 39 モーセが神の言われたことを人々に告げると、野営地中が深い悲しみに覆われました。
40 翌朝早く、人々は約束の地を目指し、山地の方角に向かって出発しようとしました。「私たちが悪かった。これからは主の約束を信じて進もう。」
41 するとモーセが言いました。「もう遅い。荒野へ行けと言われる主の命令に背くつもりか。 42 勝手に進んだら、敵にやられるだけだ。主はもういっしょにはおられないのだぞ。 43 そこにはアマレク人やカナン人がいるのを忘れたのか。おまえたちが主を見捨てたから、今度は主がおまえたちをお見捨てになるのだ。」
モーセが止めるのも聞かず、 44 彼らはどんどん山地に向かって進みました。しかし契約の箱もモーセも、野営地にとどまっていました。 45 案の定、山地に住んでいたアマレク人やカナン人が彼らに襲いかかり、彼らはやっとの思いでホルマまで逃げました。
ささげ物についての追加規定
15 1-2 主はモーセに命じて、人々にこう言わせました。「あなたがたの子が、ついにわたしの与える地に住み、 3-5 わたしを喜ばせるために、焼き尽くすいけにえをはじめ、火で焼くいけにえをささげる場合には、次のようにしなさい。いけにえは羊かやぎ、あるいは牛にし、普通のものも、誓願を果たすためのものも、自分から進んでささげるものも、年ごとの祭りのときにささげるものも、それぞれ穀物の供え物、飲み物の供え物といっしょにささげなさい。子羊をささげるときは、〇・九五リットルの油で混ぜた上等の小麦粉二・三リットルを、〇・九五リットルのぶどう酒といっしょにささげなさい。
6 雄羊の時は、一・三リットルの油で混ぜた上等の小麦粉四・六リットル、 7 さらに、わたしへのなだめの香りとして、ぶどう酒一・三リットルをささげなさい。
8-10 若い牛のときは、一・九リットルの油で混ぜた上等の小麦粉六・九リットルとぶどう酒一・九リットル。これを火で焼くと、とても良い香りがする。
11-12 以上が牛、雄羊、子羊、子やぎのいけにえといっしょにささげる物についての決まりである。 13-14 火で焼くささげ物をしてわたしを喜ばせようと思う者は、イスラエル人でも、在留外国人でも、みなこの決められたことを守らなければならない。 15-16 おきてはだれに対しても同じであり、このことは代々にわたって変わらない。わたしの前では、すべての人が平等だから、すべての人が同じおきてを守らなければならない。」
17-18 主はさらにモーセに告げて言いました。「人々にこう教えなさい。『約束の国に着いたら、 19-21 毎年、収穫の一部を主にささげなさい。ささげるときはこうする。小麦の初物の粗びき粉でドーナツ型のパンを焼き、それを祭壇の前で前後に揺り動かしてささげる。これが小麦粉のささげ方で、代々このように行わなければならない。
22 うっかりして、わたしが教えた指示を守らなかったり、 23-24 命じられた日から、命令を一つでも守らなかった場合、失敗を素直に認め、民が無知ゆえに守らなかったのなら、焼き尽くすいけにえとして若い雄牛を一頭ささげなさい。わたしはその香りを受け入れる。また、いつもの穀物の供え物、飲み物の供え物といっしょに、罪の赦しのためのいけにえとして、雄のやぎを一頭ささげなさい。
25 それから、祭司が民全体の罪を償う儀式をすれば、彼らは赦される。この場合は、間違って罪を犯したのだから、神に、火で焼くいけにえと罪の赦しのためのいけにえをささげることによって償うことができる。 26 民全体の罪は、在留外国人も含めて、このようにして赦される。
27 また個人が過って罪を犯した場合は、一歳の雌やぎを一頭、罪の赦しのためのいけにえとしてささげなさい。 28 祭司はその者が赦されるように、罪を償う儀式をする。 29 在留外国人の場合も同じである。
30 しかし、イスラエル人でも在留外国人でも、故意に罪を犯した者は神を冒瀆する者で、殺されなければならない。 31 主のことばを軽んじ、わざとその命令を破った罰だ。』」
安息日の違反
32 人々が荒野にいたある日のことです。安息日にたきぎを集めているのが見つかって、 33 一人の男が捕らえられました。男は、モーセとアロン、他の指導者たちの前に連れて来られましたが、 34 どう裁いてよいかわからず、ひとまず監禁しておくことになりました。
35 やがて、主はモーセに言いました。「あの男を死刑にしなさい。宿営の外で、全員が石を投げつけて殺さなければならない。」
36 そこで人々は、男を宿営の外へ引いて行き、命じられたとおりに処刑しました。
37-38 主はまた、モーセに命じました。「人々にこう言いなさい。『着物のすその四隅に青いひもで房をつけなさい。これから代々そうするのだ。 39 その房を見るたびに、わたしの命令を思い出すためだ。もう以前のように、自分勝手にやりたいことをやったり、他の神々に仕えたりしてはいけない。主のおきてをしっかり守りなさい。 40 その房は、イスラエルの神だけに従っていかなければならないことを思い出させてくれるだろう。 41 あなたがたをエジプトから助け出したのはわたしである。わたしがあなたがたの神なのだ。』」
コラの反逆
16 ある日のこと、レビのひ孫で、ケハテの孫に当たるイツハルの子コラは、ルベン族のエリアブの子ダタンとアビラム、それにペレテの子オンとともに、 2 人々をそそのかしてモーセに逆らわせました。その支持者には、名の知れた二百五十人の指導者たちもいたのです。
3 彼らは徒党を組み、モーセとアロンのところに来て、二人に盾突きました。「分を越えるのもいいかげんにしてほしい。二人の説教はもうたくさんだ、大した人物でもないくせに。われわれだって主に選ばれた者ではないか。主はわれわれみなの主だ。二人だけが特別に偉いのだろうか。そんなに威張る権利がどこにあるんだ。」
4 これを聞くとモーセは、地にひれ伏しました。 5 それから、コラとその仲間に言いました。「明日の朝、主は、だれが主の選んだ正しい指導者か、だれがきよく、だれが祭司かをはっきりさせてくださる。 6-7 あした香炉を持って来て、主にささげる香をたきなさい。そうすれば、主がだれをお選びになったかわかるはずだ。レビの子たちよ、あなたがたこそ分を越えている。」
8-9 さらに、モーセはコラに言いました。「イスラエルの神があなたを選び、おそばで幕屋の仕事をさせ、人々の前で奉仕させてくださるだけでは不足なのか。 10 この仕事ができるのはレビ族だけだというのに、それでも不満なのか。だから、祭司の職を求めるのか。 11 祭司になりたいばかりに、あなたは主に背いているのだ。アロンに不平ばかり並べたてるが、いったい彼が何をしたというのか。」
12 モーセは続けて、エリアブの子ダタンとアビラムを呼びつけましたが、二人は来ようともしません。 13 そのうえ、モーセの口まねをして言い返したのです。「あんたこそ、美しいエジプトからわれわれを連れ出して、こんなひどい荒野でのたれ死にさせるだけでは不足なんですか。それだけでは不満で、王様にでもなろうというのですか。とんでもないことだ。 14 あんたは約束の国とかいうけっこうな地に、ちっとも連れて行ってくれないではないか。畑やぶどう畑をくれるって? もうだまされないぞ。ついて来いと言ったって行くものか!」
15 モーセは激しく怒り、主に願いました。「あの者たちのいけにえを受け入れないでください。これまで私は、彼らのろば一頭さえ取り上げたこともなく、彼らを傷つけたこともないのに、あんな言いがかりをつけてくるのです。」
16 それからコラに言いました。「明日、あなたもあなたの仲間全員も、アロンとともに主の前に出なさい。 17 香を入れた香炉を忘れてはいけない。一人一つずつ二百五十個を用意し、あなたもアロンも自分のものを持って来なさい。」
18 彼らはそのとおりにしました。香炉を持ち、火をつけ、モーセとアロンといっしょに幕屋の入口に立ちました。 19 事の成り行きを見ようと、民がみな集まって来ました。コラは人々をけしかけ、モーセとアロンに逆らわせようとしました。と、その時、さっとあたりが明るくなり、 20 神の声がとどろきました。 21 「モーセとアロン、この者たちから離れなさい。わたしは今すぐこの者たちを滅ぼす。」
22 しかし、モーセとアロンは主の前にひれ伏して願いました。「ああ、神様。世界にただおひとりの神様。たった一人の罪のために、すべての人を罰するのですか。」
23-24 すると主は、モーセに答えました。「わかった。それなら、人々にコラとダタンとアビラムの天幕から離れるように言いなさい。」
25 モーセは長老たちを従え、ダタンとアビラムの天幕(テント)の方に走って行き、 26 叫びました。「急いでその天幕を離れなさい。彼らの持ち物にさわるな。さもないと、仲間ということで殺されてしまうぞ。」
27 驚いた人々は、コラとダタンとアビラムの天幕から離れました。ダタンとアビラムは、妻や子どもたちを連れて天幕を出て入口に立ちました。 28 モーセは宣言しました。「これから起こることを見れば、主が私を遣わされたことが、はっきりわかるだろう。私はこれまで、自分の考えでやってきたのではない。 29 いいか、もしこの者たちがよくある事故や病気で死んだのなら、うそをついたのは私のほうだ。 30 しかし、主が奇跡を起こして地面を裂き、地が彼らを天幕もろとものみ込み、生きたまま地獄に落とされたなら、主を冒瀆したのは彼らのほうだ。」
31 こう言い終わるか終わらないうちに、なんと、コラたちの足もとの地面がぱっくりと裂け、 32 いっしょにいた家族、友人を、天幕もろとものみ込みました。 33 彼らは一人残らず生きたまま地獄に落ち、地の底に閉じ込められたのです。 34 彼らの回りにいた人々はみな、彼らの絶叫を聞いて、自分たちものみ込まれると思って、逃げ惑いました。 35 その時、天から火が下り、香をささげていた二百五十人を焼き殺しました。
36-37 主はモーセに命じました。「祭司アロンの子エルアザルに、香炉を火の中から取り出させなさい。その香炉はわたしにささげられた神聖なものだからだ。 38 また、罪を犯して死んだ者たちの香炉から、火のついた香を取り出してまき散らすように言いなさい。次に、香炉を打ち延ばして一枚の板にし、それで祭壇を覆いなさい。この香炉は、わたしの前で使ったから神聖なものだ。こうしておけば、祭壇の覆いを見るたびにこの出来事を思い出すだろう。」
39 祭司エルアザルは、命じられたとおり二百五十個の青銅の香炉を板金にし、祭壇に覆いをかけました。 40 アロンの子孫でない者はだれも、神の前で香をたいてはならないこと、これを破ればコラと同じ目に会うことを思い出させるためでした。すべて主がモーセに命じたとおりです。
41 ところが翌朝になると、人々はモーセとアロンを批判し始めたのです。「あなたたちは主の民を殺してしまったのだ。」
42 批判のうずはたちまち広がり、険悪な雰囲気になっていきました。と、突然、雲がわき起こり、人々が振り返って幕屋を見ると、目もくらむばかりに輝いていました。 43-44 モーセとアロンが幕屋の入口に立つと、主はモーセに命じました。 45 「人々から離れなさい。今すぐ彼らを滅ぼす。」それを聞いて、モーセとアロンは主の前にひれ伏しました。
46 モーセはアロンに言いました。「急いで香炉を持って来て、祭壇の火で香をたき、すぐ人々のところへ行って主の赦しを願ってくれ。早くしないと手遅れになる。見なさい、もう神罰が下って病気で倒れた者もいる。」
47 アロンは言われたとおり、人々のところへ走って行きました。すでに疫病がはやりだしていたので、急いで香をたき、主の赦しを願いました。 48 アロンが死者と生きている者の間に立っていると、ようやく疫病は収まりましたが、前日のコラの事件で死んだ者とは別に、 49 死者はすでに一万四、七〇〇人にも達していたのです。 50 疫病が収まると、アロンは幕屋の入口にいたモーセのところへ戻りました。
アロンの杖
17 1-3 それから、主はモーセに命じました。「族長たちに、自分の名を彫った杖を持って来させなさい。アロンの名はレビ族の杖に彫る。 4 十二本の杖を幕屋の契約の箱の前、わたしがあなたと会う場所に置きなさい。 5 この杖で、わたしがだれを選ぶかを決めよう。わたしの選んだ者の杖は芽を出すのだ。これだけはっきりさせれば、彼らも不平は言わなくなるだろう。」
6 十二人の族長は、それぞれモーセのところに杖を持って来ました。アロンの杖も入っています。 7 モーセは、幕屋の奥の主の前にそれを置きました。
8 翌日そこへ行ってみると、レビ族を代表するアロンの杖が芽を出し、花が咲き、アーモンドの実がなっているではありませんか。 9 それを持って来て見せると、人々はあっけにとられ、ただ見つめるばかりです。それでも族長たちは気を取り直し、自分の杖を引き取りました。
10 「アロンの杖を、この事件の苦い思い出として、いつまでも契約の箱のそばに置きなさい。アロンの権威を疑う者がまた出たら、それを見せてやりなさい。そうすれば、民が不平を言っていろいろな災難を被らずにすむだろう。」主がそう命じたので、 11 モーセはそのとおりにしました。
12-13 しかし人々は、それでもこりずに不平を言うのでした。「これでは、みんな死んだも同然だ。幕屋に近づくだけで死ぬのなら、だれも助かるわけないではないか。」
祭司とレビ人
18 主は、今度はアロンに言いました。「あなたとあなたの一族は、どんな事情であっても、聖所が汚されたら責任を負わなければならない。祭司の仕事で失敗したときも同じだ。 2-3 あなたと同族のレビ人にも手伝わせるが、幕屋での神聖な務めは、あなたの一族しかできない。他のレビ族の者が祭壇の神聖な用具にさわらないように注意しなさい。気をつけないと、あなたもあなたの一族も、罰せられて死ぬことになる。 4 レビ族でない者には絶対に手伝わせてはいけない。 5 聖所や祭壇で奉仕するのは祭司だけである。このとおりにすれば、わたしのおきてを破って、そのためにわたしが人々に罰を下すこともなくなる。 6 くり返すが、同族のレビ族に幕屋での仕事を手伝わせよう。 7 しかし、祭壇や聖所の垂れ幕の内側での仕事や神聖な務めはすべて、祭司であるあなたとあなたの息子たちが行わなければならない。あなたがただけが祭司として選ばれたからだ。他の者で不要な手出しをする者は、必ず死ななければならない。」
8 主は続けてアロンに命じました。「わたしにささげられた物はみな、祭司に与える。イスラエル人のすべての聖なるささげ物はみな、あなたとあなたの子らのものとなる。これはいつまでも変わらぬ定めである。 9 穀物の供え物、罪の赦しのためのいけにえ、それに罪過を償ういけにえも、祭壇で焼いてわたしにささげる一部を除いては、全部あなたがたのものだ。これは最も神聖なものだから、 10 最も神聖な場所で食べなければならない。しかも、食べることができるのは男だけだ。 11 イスラエル人の奉納物はみな、あなたと家族全員に与えよう。男でも女でもおきてどおり身をきよく保っているなら、だれでも食べられる。
12 初物としてささげられる、最良のオリーブ油、ぶどう酒、穀物、 13 他の収穫物もみな、あなたがたのものだ。おきてどおり身をきよく保っているなら、家族はそれを食べてよい。 14-15 わたしへの奉納物はみな、あなたがたのものだからだ。イスラエル人の長男も、家畜の初子もみな、あなたがたのものだ。 16 しかし、長男や食べてはいけない家畜の初子の場合は、代金で受け取りなさい。一人あるいは一匹につき銀五シェケル(一シェケルは十一・四グラム)を、生後一か月過ぎたら持って来させるのだ。
17 ただし、牛、羊、やぎの初子は、いけにえとしてささげなさい。その血を祭壇に振りかけ、脂肪を火で焼くささげ物とする。わたしはそれを受け入れよう。 18 肉はあなたがたの分としてかまわない。祭壇で揺り動かしてささげる胸や右のももの肉もそうだ。 19 人々が持って来る奉納物はみな、あなたに与える。それを家族全員の食物としなさい。これは、わたしがあなたとあなたの子孫に対して結ぶ、永遠の契約である。
20 祭司は相続地もなく、他の収入もない。必要な物はみな、わたしが与える。 21 同族のレビ族には、幕屋での仕事の報酬として、イスラエル中からささげられる中から十分の一のささげ物を与えよう。 22 もうこれからは、祭司とレビ人以外の者は、だれも聖所に入ってはならない。もし入ったなら罪を犯した罰として死ぬ。 23 聖所で働けるのはレビ人だけだ。その彼らも、間違ったことをすれば罰せられる。これは永遠の定めである。彼らには相続地が与えられない。 24 その代わり、イスラエルの奉納物である十分の一のささげ物を与える。彼らが相続する財産はそれだけで、ほかに相続地を持つことはできない。」
25-26 主はまた、モーセに告げて言いました。「レビ人に、人々から受け取る物の十分の一を、わたしに奉納物としてささげるよう命じなさい。 27 それをレビ人の財産の十分の一とみなし、穀物の初物やぶどう酒の代わりに受け取ろう。 28-29 その場合、人々から受け取る十分の一のささげ物の中でも、最も良い物を選び、祭司アロンに与える。 30 それは穀物の粉やぶどう酒の代わりである。 31 アロンとその家族は、ささげた物の残りを、家でもどこででも食べてかまわない。幕屋で仕事をした報酬だからだ。 32 レビ人は、受け取った物の十分の一、それも最も良い物を祭司にささげるなら、その残りのささげ物を食べても罪にはならない。しかし、それは人々の神聖なささげ物だから、大事に扱いなさい。注意しないと、罰せられて死ぬことになるからだ。」
きよめの水
19 1-3 主はモーセとアロンに告げて言いました。「さらに、わたしが定めた規定は次のことである。人々に、傷のない、一度も仕事をしたことのない赤い雌牛を一頭引いて来させなさい。それを祭司エルアザルに渡し、宿営の外に引いて行き、彼の目の前でほふりなさい。 4 エルアザルは牛の血を指で取り、幕屋の正面に七度まく。 5 そのあと、彼の目の前でその雌牛を焼きなさい。皮も肉も血も糞もである。 6 その火の中へ、エルアザルが杉の木とヒソプの枝と赤い糸とを投げ込む。
7 それがすんだら、着物と体を洗いきよめる。これでもう宿営に戻れるが、祭司は夕方まで汚れる。 8 雌牛を焼いた者も着物と体を洗いきよめるが、同じように夕方まで汚れる。 9 それから、汚れていない者が灰を集め、宿営の外のきよめられた場所に置いて保存する。その灰で、人々の汚れをきよめる儀式に使う水を作る。 10 灰を集めた者も着物と体を洗いきよめるが、夕方までは、やはり汚れる。イスラエルの人々も、いっしょに住んでいる外国人もみな、永遠にこのおきてを守らなければならない。
11 人の死体にさわったら、だれでも七日間は汚れる。 12 三日目と七日目に、赤い雌牛の灰を入れた水で体を洗えばきよめられるが、三日目にこの儀式をしないと、七日たっても、まだ汚れたままである。 13 死体にさわったのに、決まりどおり体を洗いきよめないのは、幕屋を汚すのと同じことだ。そんな不届き者は追放しなさい。きよめの水をかけなかったので、まだ汚れたままだからだ。
14 天幕の中で人が死んだ場合は、次のようになる。その天幕に入る者も、その時、中にいた者もみな七日間は汚れる。 15 人だけでなく、中にあるふたのない入れ物も汚れる。
16 また、戦争その他の理由で死んだ者の死体に野外で触れた者、骨や墓にさわった者も、七日間汚れる。 17 それをきよめるには、まず汚れをきよめる赤い雌牛の灰を器に入れ、わき水を加える。 18 それから、汚れていない者がヒソプの枝をその水に浸し、天幕と中にある水さしや皿、中にいて汚れた者などに振りかける。また骨や、殺されるかその他の理由で死んだ者の死体や、墓にさわった者にも振りかける。 19 三日目と七日目に、このようにする。それから、本人が着物と体を洗いきよめる。そうすれば、七日目の夕方には汚れからきよめられる。
20 身が汚れたのにきよめようとしない者は、神の聖所を汚したのだから追放される。彼はきよめの水を体にかけなかったので、汚れたままである。 21 このおきては永遠に変わらない。水を注ぎかける者も、あとで着物を洗いきよめる。水に触れた者はだれでも、その日の夕方まで汚れる。 22 また、汚れた者がさわるものもみな、夕方まで汚れる。」
メリバの水
20 さて、イスラエルの民は第一の月にツィンの荒野に着き、カデシュで野営することになりました。その間にミリヤムが死に、そこで葬られました。
2 そこには飲み水が十分ありませんでした。またまた不満が爆発し、モーセとアロンをつるし上げようと人々がぞくぞくと集まって、 3 抗議の集会を開きました。「あの時、主に殺された者たちといっしょに死んでしまえばよかったのだ。 4 あんたたちの魂胆はわかっている。わざと、この荒野にわれわれを連れ出し、家畜もろとも皆殺しにしようというんだろう。 5 何の恨みがあって、おれたちをエジプトからこんなひどい所に連れて来たのだ。すばらしい土地があるとか言っていたが、いったいどこだ。いちじくやぶどうやざくろが山ほど採れるって? 笑わせるなよ、飲み水もないじゃないか!」
6 モーセとアロンは幕屋の入口に引き返し、主の前にひれ伏しました。すると、主の栄光が輝きわたりました。 7 主はモーセに命じました。 8 「アロンの杖を取り、二人で人々を集めなさい。みんなの目の前で、向こうにある岩に『水を出せ』と命じるのだ。その水を、みんなにも家畜にも欲しいだけ飲ませなさい。」
9 そこでモーセは命じられたとおりに、聖所の奥の主の前に置いてあった杖を取り、 10 アロンと二人で岩の前に人々を集めました。そして、「さあ、わからず屋ども。この岩から水を出してやるから、ありがたく思いなさい」と言うと、 11 モーセは杖を振り上げて岩を二回たたきました。と、どうでしょう。水がどんどんわき出て来るではありませんか。人も家畜も、大喜びでその水を飲みました。 12 ところが主は、モーセとアロンをしかりました。「あなたがたはわたしを信じなかった。岩に命じなさいと言ったのに、杖でたたくとは何事だ。わたしを信じきらず、わたしが聖なる者であることを民に示さなかったのだから、あなたがたは約束の地に入ることができない。」
13 それでこの場所は、メリバ〔「反逆の水」の意〕と名づけられました。イスラエルの民が主に背いて争ったからです。この事件によっても、主はご自分の聖なることを示しました。
エドムの王への申し入れ
14-15 カデシュにいる間に、モーセはエドムの王のもとへ使いを出しました。「王様、私たちはあなたの身内も同然です。私たちの先祖ヤコブは、あなたのご先祖エサウ様の弟でした。ご存じのように、私どもはずいぶん悲しい思いをしてきました。事情があってエジプトへ行きましたが、長く住んでいるうちに奴隷にされてしまったのです。 16 あまりの苦しさに主に助けを求めると、主はひとりの御使いを遣わし、私たちをエジプトから連れ出してくださったのです。今、私たちはあなたの国との境にあるカデシュに野営しております。 17 どうぞ、あなたの領土を通らせてください。畑やぶどう園を荒らさないように十分気をつけます。井戸の水も飲みません。あなたの領土を通過するまで、ただまっすぐ街道を進み、決してわき道にそれたりはしません。」
18 しかしエドムの王は、すげなくそれを突っぱねました。「だめだ、許可できない。一歩でも踏み込んだら、軍を差し向けるぞ。」
19 「そうおっしゃらず、お許し願えないでしょうか。街道からは絶対にそれませんし、水も飲みません。どうしても飲ませていただかなければならないときは、きちんと代金をお払いします。ただ、通らせていただければよいのです。」
20 「だめと言ったらだめだ!」王はあくまでも聞き入れません。そして警告どおり、大軍をくり出して国境の守りを固めました。 21-22 これではどうにもなりません。イスラエル人は迂回することにし、カデシュからホル山へ移りました。
アロンの死
23 エドムとの国境で、主はモーセとアロンに告げました。 24 「アロンはもうすぐ先祖のもとに行く。約束の地に入ることはできない。あなたがた二人がメリバの水のことで、わたしの命令に逆らったからだ。 25 さあモーセは、アロンとその子エルアザルを連れてホル山に登りなさい。 26 そこでアロンの祭司の服を脱がせ、子エルアザルに着せるのだ。アロンはそこで死に、先祖の民に加えられる。」
27 モーセは主の言うとおりにしました。人々に見送られ、三人はホル山へ登って行きました。 28 頂上に来ると、モーセはアロンの服を脱がせ、息子エルアザルに着せました。アロンはそのままそこで死に、モーセとエルアザルは山を下りました。 29 アロンが死んだことを聞くと、イスラエルのすべての民は、三十日の間、泣いて悲しみました。
アラデを滅ぼす
21 人々は、先の偵察隊の一行と同じ道を通り、アラデの近くに来ました。それを知ったカナン人アラデの王はイスラエル人を攻撃し、何人かを捕虜にしました。 2 そこでイスラエルの民は、「アラデの国を征服させてください。国中の町を必ず全滅させます」と主に誓願しました。 3 願いは聞かれ、彼らはカナン人と彼らの町を滅ぼしました。そこをホルマ〔「全滅」の意〕と呼ぶようになったのは、この時からです。
青銅の蛇
4 このあと彼らはホル山に帰り、そこから南へ行き、エドムの国をぐるりと回って、紅海へ通じる道に出ました。ところが、途中で我慢できなくなり、 5 また文句を言い始めたのです。不平不満はモーセに集中しました。「何の恨みがあって、われわれをエジプトから連れ出し、こんな荒野で飢え死にさせるのか。食べ物も飲み物もないではないか。あんなまずいマナは、もうたくさんだ。」
6 これに主は怒り、彼らを毒蛇にかませたので、多くの者が死にました。 7 人々は困り果ててモーセに泣きつきました。「赦してください。私たちが間違っていました。主とあなたのおっしゃるとおりにしていればよかったのです。お願いですから、毒蛇がいなくなるように主に祈ってください。」モーセは民のために祈りました。
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