Bible in 90 Days
ダニエルの祈り
9 時が過ぎて、今やアハシュエロスの子ダリヨス王の治世の第一年となりました。ダリヨスはメディヤ人でしたが、カルデヤ
の王となったのです。 2 このダリヨス王の治世の第一年に、私、ダニエルは、預言者エレミヤの書から、エルサレムが七十年の間荒廃した状態に置かれるということを知りました。
3-4 そこで神に、捕囚を終わらせ、祖国に帰してくださいと熱心に願いました。断食をし、荒布を着、灰をかぶり、自分の罪や同胞の罪を告白して祈り求めました。「ああ主よ。あなたは大いなる恐るべき神です。あなたを愛し、そのおきてを守る者には、あわれみによる約束を必ず果たされます。 5 私たちは多くの罪を犯しました。あなたに反逆し、命令を無視しました。 6 また、あなたのしもべである預言者の言うことを聞きませんでした。長年にわたり、何度も何度も預言者を遣わして、王や指導者、またすべての民に語ってくださったのに、私たちは耳を傾けませんでした。 7 ああ主よ。あなたは正しいお方です。それなのに、私たちは相も変わらず罪を犯し、恥ずかしい生き方をしています。ユダの民も、エルサレムの住民も、あなたに対する不真実のために散らされました。近くに、あるいは遠くにいるイスラエル人も、みなそうなのです。 8 ああ主よ。私たちも、私たちの王、指導者、先祖も、そのあらゆる罪のために、いやと言うほど恥ずかしい思いをしています。 9 しかし、私たちの神、主はあわれみに満ちたお方で、反逆した者をもお赦しになります。 10 私たちの神、主よ。私たちは不従順で、主のしもべである預言者を通して与えてくださったすべてのおきてを、鼻であしらいました。 11 イスラエル人はみな、不従順の罪を犯しました。あなたから離れ、御声を聞きませんでした。それで、神のしもべモーセの律法に書かれている恐ろしいのろいが、私たちを押しつぶしてしまったのです。 12 神は警告どおりのことを行われました。エルサレムで私たちや指導者たちに降りかかったこのような惨事は、歴史上、一度も見たことがありません。 13 私たちへののろいは、モーセの律法にあるとおり、みなそのとおりになりました。モーセが予告した災いが、みな現実となったのです。それでもなお、私たちは罪を捨てて正しいことをして、私たちの神、主の期待にこたえようとはしなかったのです。 14 そこで主は、用意しておられた災いを下して、私たちを押しつぶしてしまわれました。主が行われたことはすべて正しいのに、私たちは従おうとしませんでした。 15 私たちの神、主よ。あなたは偉大な力を現して、エジプトからご自分の民を導き出し、御名の限りない栄誉を示されました。主よ、もう一度、同じことをしてください。私たちは多くの罪を犯し、悪を行っています。 16 それでも主よ、真実なあわれみのゆえに、激しい憤りを、ご自身の町、聖なる山エルサレムから取り除いてください。神の町が私たちの罪のゆえに廃墟と化しているのを見て、異邦人があなたをあざけっているからです。 17 ああ、私たちの神よ。しもべの祈りを聞き入れ、その願いに耳を傾けてください。主よ。ご栄光のために、荒廃した神殿の上に御顔を輝かせ、平和と喜びとを満たしてください。 18 神よ、どうか私の願いを聞いてください。御目を開いて、私たちの惨状をごらんください。神の町がどんなに荒れ果ててしまっているか、よくごらんください。この町はあなたのものであることを、だれもが知っているのです。助けていただくに値する者だからお願いしているのではありません。私たちのどうしようもない罪にもかかわらず、あなたはあわれみに満ちたお方なので、お願いしているのです。 19 主よ、お聞きください。どうか赦してください。私の願いをかなえてください。神よ、ご自身のために、それを遅らせないでください。あなたの民とあなたの町とには、御名がつけられているからです。」
四百九十年という期間
20-21 私がまだ祈り、自分と同胞との罪を告白し、神の聖なる山エルサレムのために、私の神、主に一心に願っていた時、初めに見た幻の中に現れたガブリエルが、夕方のいけにえがささげられるころ、私のところへさっと飛んで来ました。 22 そして、こう言いました。「ダニエル。私は神の計画を悟らせるためにやって来た。 23 あなたが祈り始めた時、一つの命令が出たので、それを伝えに来たのだ。それというのも、神があなたを非常に愛しておられるからだ。よく耳を傾けて、あなたが見た幻の意味を悟るようにせよ。
24 主は、エルサレムとあなたの同胞とに、さらに四百九十年に及ぶさばきを言い渡した。そののち、ようやく彼らは罪から離れるようになり、その罪のとがめから解き放たれる。それから、永遠の義の支配が始まり、預言者たちが告げたように、神殿の至聖所が再建される。 25 さあ、よく聞け。エルサレム再建の命令が出てから油を注がれた方が来るまで、四十九年に加えて四百三十四年かかる。それは苦しい時代だが、その間にエルサレムの城壁も町も再建される。 26 この四百三十四年が過ぎると、油を注がれた方は、その王国が実現する前に殺されてしまう。すると、一人の王が起こり、その軍隊がエルサレムの町と神殿とを破壊する。神の民は、まるで洪水に会ったように、一気に押し流されてしまう。その時から終わりの時まで、戦争と荒廃が続く。 27 この王は、神の民と七年の条約を結ぶが、その期限の半ばで約束を破り、ユダヤ人がいけにえとささげ物をささげるのをすべてやめさせる。それから、その恐ろしい行為の絶頂として、この敵である王は神の聖所を徹底的に汚す。だが、神の時と計画に従って、この悪者に断固たるさばきが下される。」
ダニエルの見た幻
10 ペルシヤの王クロスの治世の第三年に、ベルテシャツァルとも呼ばれたダニエルは、もう一つの幻を見ました。それは、いつか必ず起こる出来事について、すなわち、打ち続く戦争や悲惨による激しい苦難の時代のことでした。この時ダニエルは、その幻の意味を悟ることができました。
2 (ダニエルはのちに、次のように言ったのです。)この幻を見た時、私はまる三週間、喪に服していました。 3 その間ずっと、ぶどう酒も肉も、甘いものさえも口にすることはありませんでした。体を洗ったり、ひげを剃ったり、髪を梳いたりもしませんでした。 4 第一の月の二十四日、私はティグリス川のほとりに立っていました。 5-6 突然、目の前に、亜麻布の衣服をまとい、腰に純金の帯を締め、光り輝く肌をした人が立っているのが見えたのです。その顔からは、いなずまのような、目もくらむばかりの閃光がきらめいています。目は燃える火の池のようであり、腕と足は磨き上げた真鍮のように輝き、その声は大群衆の叫びのようです。 7 この圧倒されるような幻を見たのは、私だけでした。いっしょにいた者たちは何も見なかったのに、突然、異常な恐怖に取りつかれ、逃げて身を隠してしまい、 8 私だけが残ったのです。この恐ろしい幻を見て、私はすっかり力が抜け、恐怖のあまり顔色も青ざめてしまいました。 9 それからその人が語りかけましたが、私は意識を失い、うつぶせに地面に倒れてしまいました。
10 すると、一つの手が、手もひざも震えている私を起こしてくれました。 11 その時、その人の声が聞こえました。「さあ、神に大いに愛されているダニエルよ、立ちなさい。これから語ることを、よく聞くがいい。神が私をあなたのところへお遣わしになったのだ。」そこで私は、まだ恐怖で震えながらも立ち上がりました。 12 その人は続けました。「ダニエル、恐れることはない。あなたが神の前で断食し、幻の意味を悟ることができるように祈り求めた最初の日に、あなたの願いは天において聞かれ、すでに答えられているからだ。その日に、私はあなたに会うため、ここに遣わされていた。 13 ところが二十一日間、ペルシヤを支配する強力な悪の霊が行く手に立ちふさがっていた。その時、天の軍勢の最高指揮官の一人ミカエルが助けに来てくれたので、私はペルシヤのこの悪の霊たちを突破することができたのだ。 14 今、私は、終わりの時にあなたの同胞であるユダヤ人に起こることを知らせるために、ここに来ている。この預言の実現はまだ何年も先のことだ。」
15 このことばを聞いている間、私はずっとうつむいて、ひと言も話すことができませんでした。 16 その時、人のように見える者がくちびるに触れてくれました。すると再び話せるようになり、私は天からの使者に言いました。「あなたの出現に恐れおののき、力も抜けてしまいました。 17 私のような者が、どうしてあなたとお話しできましょう。力が抜けて、息をするのがやっとです。」
18 その時、もう一度その人が私に触れてくれました。すると、元気を取り戻したような気がしたのです。 19 その方は言いました。「神はあなたを非常に愛しておられる。だから、恐れるな。気を落ちつけて、しっかりするのだ。」
このことばを聞くと、急に力がわいてきました。「どうぞ、先を続けてください。あなたが力づけてくださったので、もう大丈夫です。」 20-21 「なぜ私が来たか知っているか。『未来の書』に書かれていることを知らせるために、ここにいるのだ。それから私はここを去り、再びペルシヤの君主と戦うために帰って行く。そのあとで、ギリシヤの君主とも戦う。あなたの同胞イスラエルを守る天使ミカエルしか、私を助けてくれる者はいない。
11 メディヤ人ダリヨスをその治世の第一年に力づけ、助けるために遣わされたのは、この私だった。
二人の王の戦い
2 今、その私が、将来起こることをあなたに示そうとしている。さらに三人のペルシヤ人の王が治め、そのあと、この三人よりはるかに富んだ第四の者が王位を継ぐ。この王は、その富を政治的に利用し、ギリシヤに全面戦争をしかける。 3 その時、ギリシヤに強力な王が起こる。この王は、広大な国を治め、計画したことをすべて実現する。 4 だが、その権力の絶頂で王国は崩壊し、分割されてこれよりも弱い四つの国になる。しかも、それらの国も王の息子たちのものとはならず、ほかの者たちに与えられる。
5 そのうちの一人、エジプトの王は権力を増すが、高官の一人が反逆して王国を乗っ取り、さらに強大な国にする。 6 数年後、シリヤの王とエジプトの王とは同盟を結ぶ。エジプト王の娘が、和睦のしるしとしてシリヤの王に嫁がされる。だが、彼女はやがてシリヤの王に対する影響力を失い、彼女自身の期待だけでなく、父親であるエジプト王をはじめ、大使や、彼女が産んだ子どもの期待をも踏みにじる結果となる。
7 だが、彼女の兄弟がエジプトの王になると、軍隊を率いてシリヤの王と戦い、ついに打ち負かす。 8 エジプトに凱旋する時、彼はシリヤの偶像や高価な金銀の食器類を、戦利品として持ち帰る。そののち何年間か、彼はシリヤの王にかまわない。 9 そうこうするうち、シリヤの王は短期間エジプトを侵略するが、すぐに自分の国へ帰ってしまう。
10-11 ところが、このシリヤ王の息子たちは大軍を集めて、イスラエルからエジプトへ洪水のように押し寄せ、攻め入ろうとする。それを見てエジプトの王は非常に怒り、シリヤの大軍を迎え撃って敗走させる。 12 この大勝利に気をよくした王は、さらに幾千もの敵を打ち殺すが、その勝利は長続きしない。 13 二、三年してシリヤの王は、かつて敗北した時よりもはるかに装備された大軍を率いて、攻め返す。 14 その時は、他の国々もエジプト攻撃に加わる。さらに、あなたの同胞であるユダヤ人の暴徒もそれに加わり、こうして預言を実現させようとするが、失敗に終わる。 15 それから、シリヤの王と同盟国軍が攻め寄せ、エジプトの要塞化された町を包囲し、占領する。エジプトが誇る精兵も打ち負かされる。 16 シリヤの王は抵抗を受けずに攻め進み、だれもそれを食い止めることができない。彼はまた、『栄光の国』イスラエルに踏み込み、そこを略奪する。 17 全エジプトを征服しようとするシリヤの王の策略は、自分もエジプトの王と同盟を結び、娘を政略結婚させ、その国を内部からくつがえそうというものである。だが計画は失敗する。 18 そののち、シリヤの王は沿岸の町々に目を向け、その多くを征服する。だが、一人の将軍がその攻撃を阻み、不面目な退却を余儀なくさせる。 19 王は再び国へ引き返すが、途中で災難に会い、姿を消す。
20 彼の後継者は、イスラエルに収税官を派遣した王として知られるが、ごく短期間、王座にあるだけで、戦争にも暴動にもよらず、不可解な死に方をする。 21 その跡を継ぐ王は、王家の血筋に関係のない悪者で、国の危機に乗じて、巧言と陰謀で王国を奪い取る。 22 彼の前から、祭司の指導者を含むすべての反対者が一掃される。 23 この王の約束は無意味で、そのやり口は最初から欺きによる。ほんの一にぎりの側近を伴って、彼は強大な権力者となる。 24 彼は不意に、その国の最も肥沃な地域に侵入し、だれもしたことがないことをする。富む者たちの富と財産を取り上げて、民に気前よく与えるのだ。領土内の強力な要塞をうまく包囲し攻略するが、これも短期間のことだ。 25 それから、彼は勇気を奮い起こし、大軍を率いてエジプトを攻める。エジプトも強力な軍隊をもって応戦するが、どうすることもできない。エジプトに対する陰謀が功を奏するからだ。 26 エジプト王の身内の者たちが彼に反逆し、軍隊も持ち場を捨てて、多くの人が殺される。 27 この二人の王は、会談の席でも互いにだまし合い、陰謀を巡らし合う。だが、それで事情が変わるわけではない。神の定めた時がくるまで、どちらも成功することはない。 28 シリヤの王はばく大な富を携えて国へ帰って行くが、真っ先にイスラエルに進撃して、これを滅ぼそうとする。
29 それから、定められた時に、すでに脅しをかけておいたとおり、再び南へ軍隊を進めるが、今度は以前のようにはいかない。 30-31 というのも、ローマの軍艦におびえて退却し、国へ逃げ帰るはめになるからだ。退却を余儀なくされた王は腹を立て、再びエルサレムを襲って聖所を汚し、毎日のささげ物をやめさせ、神殿の中で偶像を礼拝する。エルサレムを去る時、父祖の信仰を捨ててしまった不信仰なユダヤ人を、権力の座につかせる。 32 王は、神を憎む者たちにこびて、自分の側につかせようとする。だが、神を知る人々は勢力を増し、大きなことを行うようになる。 33 その時霊的理解力を備えた人々は、多くの人を教える幅広い働きをする。だが、いつも危険にさらされ、そのうちの多くの者は火や剣で殺され、あるいは獄につながれ、略奪される。 34 やがて、こうした迫害も収まるだろう。だが、不信仰な者たちの中から、援助の手を差し伸べるように見せかけ、実は自分たちに有利に事を運ぼうとする者たちが現れる。 35 その時には、神のことをよく悟っている人々の中からも、つまずき倒れる者が出る。これは、神の定めた試練が終わる時まで、彼らを精錬し純化するためである。
傲慢な王
36 この王は、何でも自分の好きなようにふるまい、どんな神よりも自分は偉いと主張して、まことの神さえも冒瀆し、なお栄えている。それも彼の時が終わるまでだ。神の計画は揺らぐことがないから。 37 彼は先祖の神々も、女たちの慕う神も、その他のどんな神も心にかけない。どの神々よりも自分は偉いと思い上がっている。 38 その代わりに、先祖たちの知らなかった、とりでの神を礼拝し、高価なささげ物を惜しげもなくささげる。 39 この神の助けによると主張して、彼は最強を誇るとりでの攻略に成功する。また、自分によく従う者たちを重用し、彼らに権力を与え、報奨として領土を与える。
40 それから、終わりの時がくると、南の王は北の王に再び攻めかかる。北の王はつむじ風のような力と狂暴さをもって反撃し、その巨大な陸軍と海軍の総力をあげて、南の王を葬り去ろうと攻め寄せる。 41 進撃の途上、麗しい国イスラエルを含む多くの国々を侵略し、その政府を打ち倒す。モアブとエドム、およびアモンの大部分は侵略を免れる。 42 だが、エジプトと他の多くの国々は占領される。 43 彼はエジプトの宝物を戦利品とし、リビヤ人やエチオピヤ人を従わせる。 44 ところが、東と北からの知らせが王を脅かし、激しい怒りに燃えて引き返す時、その行く先々を荒らし回る。 45 彼はエルサレムと海との間に立ち止まり、そこに本営を置く。ところが、そこに滞在する間に、突然、彼の時が終わり、助ける者は一人もいなくなる。
終わりの時
12 その時、あなたの国を守る強力な御使いの君主、ミカエルが立ち上がり、あなたのために天で悪魔の軍勢と戦う。こうして、これまでのユダヤの歴史で経験したどの苦難よりも深刻な、苦しみの時がくる。だが、あなたの同胞のうち、いのちの書に名が記されている者は、みな耐え忍ぶことができる。 2 死んで葬られた者のうち、多くの者が生き返る。ある者は永遠のいのちへ、ある者は永遠の辱めへと。 3 賢い神の民は、太陽のように明るく輝く。多くの人を正しい道に導く者は、いつまでも星のようにきらめく。 4 ところで、ダニエルよ、この預言を人に知らせてはならない。終わりの時がくるまで、だれにも悟られないように、この預言のことばを封じておけ。人々は知識を増そうとあちこち行き巡るだろう。」
5 それから、私が見ていると、川の両岸に一人ずつ、人が立っていました。 6 その一人が、今は川の水の上に立っている、あの亜麻布の衣を着た人に尋ねました。「いつになったら、この恐ろしいことがすべて終わるのですか。」 7 その人は両手を天にあげ、永遠に生きておられる方を指して誓ってこう答えました。「神の民の勢力が打ち砕かれてから三年半が過ぎるまでは、終わりません。」 8 私はその人が言うことを聞いても、その意味を理解できませんでした。そこで、こう尋ねました。「恐れ入りますが、これはどんな結末になるのでしょうか。」 9 その人は言いました。「ダニエルよ、さあ行け。私が言ったことは、終わりの時がくるまで理解されない。 10 多くの者は、激しい試練や迫害によってきよめられる。しかし悪者は悪の中に生き続け、一人として悟る者がない。進んで学ぼうとする者だけが、その意味を知るようになる。 11 毎日のささげ物が取り除かれて、『恐るべきもの』が礼拝されるために据えられてから、千二百九十日ある。 12 なお忍耐して千三百三十五日に至る者は、なんと幸いなことか。 13 あなたは自分の人生を全うし、休息に入るがよい。あなたは生き返り、終わりの時に受けるべき分を完全に受けるようになる。」
1 ユダ(南王国)の四人の王、ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの治世、そしてイスラエル(北王国)の王の一人、ヨアシュの子ヤロブアムの治世に、ベエリの子ホセアに主からのお告げがありました。
ホセアの妻と子どもたち
2 最初に告げられたのはこうです。「遊女と結婚せよ。その女から生まれる子どものうちには、ほかの男が父親である子もいる。そのことは、わたしの民がわたしに対して不誠実であることを表している。彼らは他の神々を礼拝し、わたしを無視して、堂々と姦淫をしている。」 3 こうしてホセアは、ディブライムの娘ゴメルと結婚しました。彼女はみごもり、男の子を産みました。 4-5 すると、主は言いました。「その子をイズレエルと名づけよ。わたしはイズレエルの谷で、エフーが犯した殺人(Ⅱ列王10・11参照)に報復するため、エフー王家を罰しようとしている。そうだ、わたしはイズレエルの谷で、イスラエルの独立を失わせ、その国の力を打ち破ろう。」
6 まもなくゴメルは、もう一人の子を産みました。今度は女の子です。そして神はホセアに言いました。「その子をロ・ルハマ(『もうあわれみをかけない』の意)と名づけよ。わたしは二度とイスラエルにあわれみをかけず、イスラエルを赦そうとは思わないからだ。 7 だが、ユダ部族にはあわれみをかける。ユダ王国の軍隊や武器の力によらず、わたし自身の力で、ユダを敵の手から救い出して自由にする。」
8 ロ・ルハマが乳離れすると、ゴメルはまたもみごもり、今度は男の子を産みました。 9 そして神は言いました。「その子をロ・アミ(『わたしのものではない』の意)と名づけよ。イスラエルはわたしのものではなく、わたしも彼らの神ではないからだ。
10 それでも、イスラエルが栄え、大きな民となる時がくる。その日には、彼らは海辺の砂のように数えきれないほどの数となる。その時わたしは彼らに、『あなたたちはわたしの民ではない』と言わずに、『あなたたちはわたしの息子、生ける神の子どもだ』と言おう。 11 それから、ユダとイスラエルの民は統一され、一人の指導者が立てられる。人々は捕囚の地からいっしょに帰って来る。それが実現する日は、なんとすばらしいことか。その日、わたしはわたしの民を、彼らの土地である肥沃な土壌に、再び植えつける。」
2 「イズレエルよ、あなたの弟と妹の名を改めよ。
弟をアミ(『今、あなたはわたしのもの』の意)、
妹をルハマ(『あわれみを受けた』の意)と呼ぶのだ。
神があわれみをかけようとしておられるからだ。
イスラエルへの罰と回復
2 あなたたちの母親を責めよ。
彼女はほかの男の妻になったからだ。
わたしはもう彼女の夫ではない。
姦淫をやめ、ほかの男たちに身を任せないよう、
彼女に懇願するがいい。
3 もしやめなければ、わたしは彼女の着物をはいで
生まれた日のように裸にし、
ききんや日照りで地割れした土地にいるように、
渇きでやせ衰えて死ぬようにさせる。
4 わたしは彼女の子どもたちを、
わが子を愛するようには愛さない。
わたしの子ではなく、ほかの男の子どもだからだ。
5 それというのも、その母親が姦淫したからだ。
彼女は『ほかの男たちを追いかけよう。
食べ物、飲み物、着物のために身を売ろう』
と言って、恥ずかしいことをした。
6 わたしは、いばらの茂みで彼女を囲み、
道をふさいで迷わせる。
7 そのため、彼女が愛人たちを追いかけても、
追いつくことができない。
捜し回っても見つけることができない。
そこで、『夫のもとに戻ろうか。
今よりも、あの人といっしょの時のほうがよかった』
と考えるようになる。
8 彼女は、持っているものはすべて、
わたしが与えたものであることに気づかない。
彼女の神バアルを拝むために使った金や銀も、
全部わたしが与えたものだ。
9 だからわたしは、今からは、
わたしが欠かさず与えたぶどう酒と穀物を取り戻そう。
彼女の裸を覆うために与えた着物も取り戻そう。
もう、季節ごとの豊かな収穫を約束せず、
ぶどうの収穫の時にもぶどう酒を与えない。
10 さあ、彼女の裸を人前にさらして、
愛人たちに見せつけよう。
だれもわたしの手から彼女を救い出すことはできない。
11 彼女のすべての喜び、宴、休日、祭りをやめさせる。
12 彼女が愛人たちに報酬として要求した
ぶどう畑と果樹園を荒らし、
雑木林のようにする。
野獣がその実を食う。
13 彼女が自分の偶像バアルのために香をたき、
耳輪や宝石を身につけ、
わたしを捨てて、恋人たちを探し求めて行ったこと、
こうしたすべてのことのために、
わたしは彼女に仕返しをする。」
主がこう言うのです。
14 「だが、わたしは再び彼女をくどいて
荒野に連れて行き、やさしく語りかけよう。
15 そこで彼女のぶどう畑を返し、
アコル(『苦しみ』の意)の谷を、望みの門に変えよう。
彼女はそこでわたしに答え、
喜びにあふれて歌うようになる。
まだ彼女が若かったころ、
わたしが彼女をエジプトの奴隷から
解放した時のように。
16 主はこう言います。
「来ようとしているその日には、彼女はわたしを
『私の主人(バアル)』とは呼ばず、『私の夫』と呼ぶようになる。
17 ああ、イスラエルよ。
わたしはあなたの偶像を忘れさせよう。
その名さえ口にすることがなくなるように。
18 その時わたしは、もうこれ以上、
互いに恐れることがないように、
あなたと野獣や鳥や蛇との間に契約を結ぼう。
すべての武器を滅ぼすので、戦争はすべて終わる。
あなたたちは、何の心配もなく休むことができる。
19 正義と公平、愛とあわれみの鎖で、
永遠にあなたをわたしにつなぎとめる。
20 真実と愛をもって、あなたと婚約する。
その時、以前とは全く違って、
ほんとうにわたしがわかるようになる。
21-22 その日、雨を降らせてほしいという
天の叫びに答えて、わたしは雨雲を呼ぼう。
すると地は、穀物やぶどうやオリーブの木の
求めに応じて、水分と露を供給する。
全地から、
『神が種をまいてくださる』(イズレエル)
という大合唱が起こる。
神がすべてを与えるのだ。
23 その時わたしはイスラエル人という種をまき、
自分自身のためにそれを育てる。
『あわれみをかけられなかった』者たちをあわれみ、
『わたしの民ではない』者たちに、
『今、おまえたちはわたしの民だ』と言おう。
すると彼らは、『あなたこそ私たちの神です』
と答える。」
ホセア、妻を連れ戻す
3 それから、主は私にこう言いました。「さあ、もう一度、妻を連れ戻せ。たとえ姦通を愛する女であっても、彼女を愛せ。イスラエルが他の神々に心を向けて、高価な贈り物をささげても、主はなおもイスラエルを愛しているからだ。」 2 そこで私は、銀十五シェケル(百七十一グラム)と大麦一ホメル半(三百三十リットル)で、奴隷であった妻を買い戻し、 3 こう言い渡しました。「当分、ひとりで暮らすのだ。ほかの男たちと出かけたり、遊女になることはやめろ。私は待っているから。」 4 これは、イスラエルが今後ずっと、王も君主もなく、祭壇も神殿も祭司も、また偶像もなく過ごすことを示しています。 5 のちに彼らは、彼らの神、主と、彼らの王であるメシヤのもとに帰って来るでしょう。終わりの日に、彼らは震えおののきながら、うやうやしく主とその祝福に近づいて来るのです。
イスラエルに対する訴え
4 イスラエルの民よ、主のことばを聞きなさい。
主は次のようにあなたがたを訴えています。
「あなたたちの地には、誠実もなく、親切もなく、
神を知ることもない。
2 ののしり、うそをつき、殺し、盗み、
姦淫にふけっている。
至る所に暴力があり、殺人は後を断たない。
3 それで、この地には産物がなく、悲しみだけが満ちる。
すべての生き物は病んで倒れ、
動物も鳥も、そして魚までもが姿を消す。
4 だれかを指さして、責めるようなことをするな。
そら、祭司よ。
わたしの指はあなたをさしている。
5 その罪のため、おまえたち祭司は
真昼でも夜と同じようにつまずく。
あなたたちの偽預言者も同じだ。
わたしは、あなたたちの母であるイスラエルを滅ぼす。
6 わたしの民は、わたしを知らないために滅ぼされる。
それもみな、あなたたち祭司のせいだ。
あなたたちがわたしを知ろうとしなかったからだ。
だからわたしも、
あなたたちをわたしの祭司とは認めない。
あなたたちがわたしのおきてを忘れてしまったので、
わたしもあなたの子どもたちを祝福することを忘れよう。
7 わたしの民は数を増せば増すほど、
わたしに罪を犯した。
神の栄光を偶像の恥に変えたのだ。
8 祭司は民の罪を喜び、それをむさぼり食い、
もっと欲しいと舌なめずりする。
9 だから『祭司も民も変わらない』と言われる。
祭司が悪いから、民も悪くなるのだ。
だから、祭司も民も、その邪悪な行いに応じて罰する。
10 彼らはいくら食べても腹がへる。
いくら姦淫しても、望む子どもは生まれない。
わたしを見捨てて、他の神々へ心を向けたからだ。
11 酒と女と歌は、
わたしの民から判断力を奪ってしまった。
12 驚いたことに、彼らは木片に向かって、
自分はどうしたらよいかと尋ねている。
神の真理を占いによって知るというのだ。
偶像を恋い慕ううちに、彼らは愚か者になってしまった。
遊女のようにふるまって他の神々に仕え、
わたしを捨ててしまった。
13 山の頂で偶像にいけにえをささげ、丘に登って、
樫やポプラやテレビンの木の心地よい木陰で香をたく。
あなたたちの娘はそこでみだらな行為に走り、
あなたたちの嫁はそこで姦淫をする。
14 だが、どうしてわたしが彼女らを罰するだろうか。
男のあなたたちも同じことをし、
遊女や神殿娼婦と共に罪を犯しているのだから。
愚か者め。いっこうに理解しようとしないので、
あなたたちの運命は定まっている。
15 イスラエルが売春婦のようであっても、どうかユダは
そのような生活から遠ざかっていてくれるように。
ユダよ、彼らの仲間になるな。
彼らはギルガルやベテルで、
心にもなくわたしを礼拝している。
その礼拝は見せかけにすぎない。
16 イスラエルは若い雌牛のように扱いにくく、
主が草の生い茂る牧場へ連れて行こうとしても、
少しも言うことを聞かない。
ユダよ、そのようになるな。
17 イスラエルは偶像崇拝から離れない。
そのような者から遠ざかれ。
18 イスラエルの男たちは酒を飲みあかし、
それが終わると売春婦をあさる。
名誉よりも恥を愛している。
19 だから、強い風が彼らを吹き飛ばす。
偶像にいけにえをささげたので、
恥さらしな死に方をするのだ。
イスラエルへのさばき
5 祭司とイスラエルの指導者よ、よく聞け。
王家の者たちよ、聞け。
あなたたちはもう終わりだ。
あなたたちはミツパとタボルで、
民をたぶらかして偶像に走らせた。
2 心の曲がった者は、
深い穴を掘って彼らをその中に落とし込んだ。
しかし、決して忘れるな。
わたしは必ずあなたたちを懲らしめる。
3 あなたたちの邪悪な行いはすべて見た。
イスラエルよ。
売春婦が夫を置き去りにするように、
あなたたちはわたしを捨てた。
全身汚れきっている。
4 その行いにとどまる彼らは
神のもとへ帰ろうとは考えない。
姦淫の霊が心の奥深くにあって、
主を知ることができないからだ。
5 イスラエルの鼻持ちならない思い上がりは、
わたしの法廷で不利な証言となる。
イスラエルは罪の重荷によろめき、ユダも倒れる。
6 それからやっと、羊や牛の群れを引いて、
神にいけにえをささげにやって来る。
だが、もう遅い。
もう神を見つけることはできない。
神は彼らから離れて行き、彼らだけが取り残される。
7 彼らは主の子でない子どもを産んで、
主の顔に泥を塗ったからだ。
あっという間に、彼らも彼らの富も消えうせる。
8 警告を発せよ。ギブアとラマで、
ベテ・アベンまでもラッパを吹き鳴らして警告せよ。
ベニヤミンの地も震えおののけ。
9 イスラエルよ、この知らせを聞け。
刑罰の日がくれば、おまえたちは瓦礫の山となるのだ。
10 ユダの指導者たちは、最もたちの悪い盗人となる。
だから、私の怒りを彼らの上に、
滝のように注ぎかける。
11 エフライム(イスラエル)は
偶像に従う決心をしたので、
わたしの宣告によって押しつぶされる。
12 しみ(小さな虫)が羊毛を食い尽くすように、
わたしはエフライムを滅ぼす。
木材が腐るように、ユダの力を取り去る。
13 エフライムとユダが自分たちの病状を知ると、
エフライムはアッシリヤの大王に頼ろうとする。
だが、大王は助けることも、治すこともできない。
14 ライオンが獲物を引き裂くように、
わたしはエフライムとユダとを引き裂き、連れ去る。
彼らを助けようとする者たちを追い散らす。
15 非を認めて、再びわたしに助けを求めるまで、
彼らを放置し、家に戻っていよう。
苦しい目に会うと、たちまち彼らはわたしを捜し求め、
次のように言うからだ。
悔い改めないイスラエル
6 『さあ、主に帰ろう。
私たちを引き裂いたのは主だ。
その方が治してくださる。
主は傷つけたが、手当てしてくださる。
2 ほんの二日で、いや、せいぜい三日で、
私たちを立ち上がらせて
再び愛のうちに生かしてくださる。
3 ああ、主を知りたい。
さらに主を求めよう。
そうすれば、必ず夜明けが訪れ、
早春の雨期がくるように、必ず答えてくださる。』
4 エフライムとユダよ。
あなたたちをどうしたらいいのか。
あなたたちの愛は、朝もやのように消えうせ、
露のように消え去る。
5 わたしは預言者たちを遣わして、
あなたたちに迫る滅びを警告した。
『あなたがたを滅ぼす』と脅すことばによって、
あなたたちを切り殺した。
前ぶれもなく突然に、
ちょうど昼のあとに夜がくるように、
わたしのさばきがあなたたちを打ち倒す。
6 いけにえはいらない。
わたしを愛してほしいのだ。
ささげ物もいらない。
わたしを知ってほしいのだ。
7 ところが、あなたたちはアダムのように契約を破り、
わたしの愛をはねつけた。
8 ギルアデは罪人たちの町で、血の足跡がついている。
9 強盗が犠牲者を待ち伏せるように、
祭司は徒党を組み、シェケムへ通じる道で人を殺し、
ありとあらゆる犯罪を重ねている。
10 まさに、わたしは
イスラエルの中に恐ろしいことを見た。
エフライムは他の神々を追い求め、
イスラエルはとことんまで身を汚している。
11 ユダよ。あなたたちにも、
重い刑罰を刈り入れる時がやってくるる。
わたしはあなたたちを、
どれほど祝福したかったことか。
7 わたしはイスラエルを赦したかったが、
イスラエルの罪はあまりにもひどかった。
うそつきやどろぼうや追いはぎにならなければ、
だれもサマリヤに住めないほどだ。
2 イスラエルの民は、
わたしが見ていることなど気にもかけない。
その罪深い行いが、
あらゆる面から彼らの正体をあばいている。
わたしはそれをすべて見ている。
3 王は彼らの悪事を喜び、
君主たちは彼らのうそに笑い転げる。
4 彼らはみな姦通者だ。
パンを焼く者が小麦粉をこね、
それがふくらむのを待つ間を除いて、
パン焼きがまがいつも燃えているように、
この民はいつも欲望を燃やしている。
5 王の誕生日に、君主たちは王を酔わせる。
王は自分を笑い者にし、
自分をあざける者たちと酒を飲む。
6 彼らの心は陰謀で炉のように燃えさかる。
その計略は夜通しくすぶり、
朝になると、めらめらと燃え上がる。
7 彼らは次から次へと王を殺す。だが、誰ひとり、
わたしに助けを呼び求めようとしない。
8 わたしの民は異教徒とつき合い、
その悪に染まっている。
こうして生焼けの菓子のように、
何の役にも立たなくなる。
9 外国の神々を礼拝することで、
彼らの力は奪われてしまった。
だが、それに気づいていない。
エフライムは白髪になっているのに、
自分が老い衰えたことを知らない。
10 ほかの神々を自慢することで、
公然と自分を罪に定めている。
それでも自分の神のもとには帰らず、
神を見つけようともしないのだ。
11 エフライムは愚かで、思慮の欠けた鳩だ。
エジプトに呼びかけ、アッシリヤに飛んで行く。
12 だが、わたしは飛んでいるイスラエルに網を投げ、
空から落ちる鳥のように引き落とす。
わたしは、そのすべての悪行に報いる。
13 わたしを捨てたわたしの民は災いだ。
わたしに罪を犯したのだから滅びうせよ。
わたしは救い出したかったが、
彼らは強情で、真理を受け入れようとしなかった。
14 彼らは心配のあまり眠れない。
それでも、わたしに助けを求めない。
それどころか異教の神々を拝み、
それらに収穫と繁栄を願い求めている。
15 わたしは彼らを助け、また強くした。
それなのに今、彼らはわたしに背を向けている。
16 彼らはあたり一帯を見回すが、
いと高き神がいる天には目を向けない。
まるで、いつも的をはずす、曲がった弓のようだ。
指導者たちは、わたしへの傲慢な態度のために
敵の剣に倒れる。
こうして全エジプトが彼らをあざ笑うようになる。
つむじ風を刈り取るイスラエル
8 警告を発せよ。
敵が来る。
はげたかのように、神の民を襲って来る。
彼らがわたしとの契約を破り、
わたしのおきてに背いたからだ。
2 今になってイスラエルは、
『神よ、助けてください』と泣きつく。
3 だが、もう遅い。
イスラエルはまたとない機会を軽蔑して投げ捨てた。
だから今、敵に追いかけられることになる。
4 イスラエルはわたしの同意なしに、王や君主を立てた。
金や銀で偶像を作り、それを拝んで、
わたしの助けをはねのけた。
5 サマリヤよ。
わたしはあの子牛など認めない。
あれはあなたたちが作った偶像だ。
あなたたちには全く腹が立つ。
いつになったら、あなたたちの中に正直者を
たった一人でも見つけることができるのだろう。
6 いつになったら、自分たちが拝んでいる子牛を、
人間の手で作られたものだと認めるのだろう。
そんなものは神ではない。
だから粉々に砕いてしまわなければならない。
7 彼らは風を蒔いて、つむじ風を刈り取る。
麦には穂が出ず、茎だけが立っている。
そのうち枯れて病気になり、実を結ばない。
たとえ実を結んでも、外国人に食べられてしまう。
8 イスラエルは滅ぼされ、壊れた壺のようになって、
国々の間に横たわる。
9 ひとりぼっちでさまよう野生のろばのようだ。
友と言えば、自分が雇った者たちだけで、
アッシリヤもその一人だ。
10 たとえ多くの国から『友』を雇っても、
わたしはイスラエルをさばき、国から追い出す。
そうすればしばらくの間は、
イスラエルは自分たちのすばらしい王の重荷から
解放されることになる。
11 エフライムは多くの祭壇を築いたが、
わたしを礼拝するためのものではない。
それは罪のための祭壇だ。
12 たとえわたしが一万のおきてを授けても、
彼らはそれを自分のものではないと言い、
遠くにいるだれかのものにするだろう。
13 この民は、いけにえの儀式を好むが、
わたしにとっては無意味なものだ。
わたしは彼らの罪の清算を要求し、罪を罰する。
彼らはエジプトに戻る。
14 イスラエルは大きな宮殿を多く建て、
ユダは町々の防備を固めた。
しかし、自分たちを造った方を忘れてしまった。
だから、わたしはそれらの宮殿に火を送り、
それらの要塞を燃やしてしまう。
イスラエルへの罰
9 イスラエルよ、ほかの国々のように喜ぶな。
あなたは自分の神を捨て去り、すべての麦打ち場で、
ほかの神々にいけにえをささげたからだ。
2 それゆえ、収穫は乏しく、ぶどうの木も枯れてしまう。
3 あなたはこの神の地にこれ以上とどまることができず、
エジプトやアッシリヤに連れ去られる。
そこで残飯を食べて暮らすようになる。
4 祖国を遠く離れたその地では、神へのささげ物として
ぶどう酒を注ぐことは許されない。
その地でささげられるいけにえは、
どれも神を喜ばせることができないからだ。
それは、葬式の食物のように汚れている。
そのようないけにえを食べる者は汚れる。
自分のためにそれを食べるのはかまわないが、
神にささげることは許されない。
5-6 それでは、
アッシリヤに奴隷として連れて行かれる時、
聖なる日や主の祭りの日に、何をしようとするのか。
あとに残された財産は、だれが相続するのか。
エジプトだ。
エジプトはあなたたちの死体を集め、
メンピスが埋葬する。
その廃墟には、いばらとあざみが生える。
7 イスラエルの刑罰の日がきた。
報復の日がほぼきており、まもなくイスラエルは、
そのことをいやというほど思い知らされる。
『預言者たちは頭がおかしい。』
『霊感を受けた人たちは狂っている。』
こう言って人々はあざ笑う。
それは、この国が罪の重りをつけられ、
神を愛する者たちに憎しみしか示さないからだ。
8 わたしは自分の民を守ろうと預言者を任命した。
だが、民はことあるごとに預言者たちを妨害し、
公の場で憎しみを露骨に示し、
主の神殿でも同じようにふるまった。
9 今わたしの民がしていることは、
昔、彼らがギブアでしたこと(士師19・14以下参照)と
同じように堕落している。
主はそれを忘れず、必ず罰を下す。
10 ああ、イスラエルよ。
荒野であなたたちを導いた、あのころ、
わたしはあなたたちを
荒野で見つけたぶどうのように、
夏の初物のいちじくのように、
大切にした。
ところがあなたたちは、
バアル・ペオル(イスラエル人が偶像礼拝をした山)で
わたしを捨て、ほかの神々に身をゆだね、
やがて、それらの神々と同じように汚れてしまった。
11 イスラエルの栄光は鳥のように飛び去る。
あなたたちの子どもは出産と同時に死に、
あるいは胎内で消えうせ、
あるいははらまれることもなくなる。
12 たとえ子どもが育っても、わたしは彼らを取り去る。
すべてが滅びに定められている。
わたしがあなたたちから離れ、
あなたたちを放り出す時は、悲しみの日となる。」
13 わたしはイスラエルの息子たちを
滅びに定めた。
父親は、虐殺が行われる場所まで
息子たちを連れて行かなければならない。
14 主よ、あなたの民のために、
何を願ったらよいのでしょう。
子を産まない胎を、
乳を出して養うことをできない乳房を、私は求めます。
15 「彼らのすべての悪事はギルガルで始まった。
わたしも、その地で彼らを憎み始めた。
その偶像礼拝のゆえに、
わたしは彼らをわたしの地から追い出す。
もう彼らを愛さない。
彼らの指導者はみな反逆者だからだ。
16 エフライムは滅びに定められている。
イスラエルの根は干からび、もう実を結ばなくなる。
たとえ子を産んでも、わたしはそのいとし子を殺す。」
17 私の神は、イスラエルの民が聞くことも
従うこともしないので、彼らを滅ぼします。
彼らは諸国の民の間で、祖国のない、
さすらいの民となるのです。
10 「イスラエルの繁栄ぶりの、なんとすばらしいことか。
まるで実を豊かに結んだぶどうの木のようだ。
ところが、わたしが富を増やせば増やすほど、
異教の神々の祭壇に多くの物が供えられる。
収穫を豊かにすればするほど、
それだけ多くの美しい彫像や偶像が立てられる。
2 イスラエルの民の心は神への偽りで満ちている。
彼らには罪があり、刑罰を受けなければならない。
神は彼らの作った異教の偶像を砕き、
その祭壇を打ち壊す。」
3 その時、彼らは言います。
「私たちが主を捨てたので、
主は王を取り去ってしまった。
でも、だからどうだというのだ。
王などいらない。」
4 彼らは守る気もないのに約束をします。
そのため、畑のうねの間に生える毒草のように、
さばきが彼らの間に生え出るのです。
5 サマリヤの住民は、
ベテ・アベンの子牛像が傷つけられないだろうかと
震えおののきます。
祭司と民も、
打ち砕かれた神々の失われた名誉のために嘆きます。
6 この子牛の神の像は、
彼らがアッシリヤに奴隷となって行く時、
そこの大王への贈り物としていっしょに運ばれます。
こんな偶像に信頼していたのかと
エフライムはあざけられ、イスラエルは恥をかきます。
7 サマリヤの王は、
大海の波間にただよう木切れのように消えうせます。
8 イスラエルが罪を犯した、
ベテルにあるアベンの祭壇はくずれ落ち、
いばらやあざみがその回りに生い茂ります。
人々は山や丘に、
「私たちの上に落ちかかり、押しつぶせ」と叫ぶのです。
9 「ああ、イスラエルよ。
ギブアでのあの恐怖の夜以来、
ただ罪、罪、罪の連続だ。
あなたたちには全く進歩が見られない。
ギブアの者たちに戦いが襲いかかったのは当然のことだと思わないのか。
10 わたしはあなたたちの不従順に立ち向かう。
山のように積み上げられた罪を罰するために、
諸国の軍隊を集めてあなたたちを攻めさせる。
11 エフライムは麦打ち場で麦を踏むことに親しみ、
その楽な仕事を好む。
わたしはこれまで、
エフライムに重いくびきをかけたことはなかった。
そのか弱い首をいたわったのだ。
だが今、くびきをかけて馬鍬を引かせ、畑を耕させる。
気楽に過ごす時代は終わった。
12 正義という種をまけ。
そうすれば、わたしの愛という実を刈り取る。
堅くなった心を耕せ。
今は主を求める時だ。
主は来て、救いを雨のように注いでくださる。
13 ところが、あなたたちは悪を耕し、
はびこる罪という実を育ててきた。
巨大な軍事力があれば国は安全だと信じたので、
そのような偽りに信頼した報いを、十分に受けたのだ。
14 それで、戦争の恐怖が民の中に起こり、
シャレマンがベテ・アレベルを破壊したように、
あなたたちの要塞はみなくずされる。
母親も子どもも、その場で一気に殺される。
15 イスラエルの民よ。
それもみな、
あなたたちの罪悪があまりにもひどいからだ。
ある朝、イスラエルの王は滅ぼされる。
イスラエルへの神の愛
11 イスラエルが子どものころ、
わたしは彼を息子のように愛し、
エジプトから連れ出した。
2 それなのに、呼べば呼ぶほど彼はますます反逆し、
バアルにいけにえをささげ、偶像に香をたいた。
3 わたしは、彼が赤ん坊の時から面倒を見、
歩くことを教え、腕に抱いた。
だが彼は、彼を育てたのはこのわたしであることを、
知りもしなければ心にかけようともしない。
4 人が大切な牛を引いて歩くように、
わたしはイスラエルを愛の綱で導いた。
食べる時には、くつわをゆるめ、
わたし自身が身をかがめて食べさせてやった。
5 しかし、わたしの民は
エジプトやアッシリヤに帰る。
わたしのところへ帰りたくないからだ。
6 イスラエルの町々は戦争のうずに巻き込まれ、
敵は門を突き破り、彼らを要塞に閉じ込める。
7 わたしの民が、わたしを離れると決心したからだ。
わたしは彼らが奴隷となると宣告した。
解放してくれる者はだれもいない。
8 ああ、わたしのエフライム。
どうして、あなたを捨て去ることができよう。
どうして見放せよう。
どうして、アデマやツェボイム
(ソドム、ゴモラと共に滅びた町)のように
見捨てることができよう。
わたしの心は叫んでいる。
何としても、あなたたちを助けたい。
9 燃えるような怒りがあなたたちを罰するよう命じるが、
わたしは罰しない。
エフライムを滅ぼすのは、これが最後だ。
わたしは神であって、人ではないからだ。
わたしはあなたたちのうちに住む聖なる者であって、
滅ぼすために来たのではない。
10 人々は、主のあとについて歩くようになる。
わたしはイスラエルの敵に向かって
ライオンのようにほえ、
わたしの民は西方から震えおののきながら帰って来る。
11 鳥の群れのようにエジプトから、
鳩のようにアッシリヤからやって来る。
こうしてわたしは、彼らを再び家に住まわせる。
これは主からの約束である。」
イスラエルの罪
12 イスラエルは偽りと欺きで私を取り囲みますが、
ユダはまだ主に信頼し、聖なる方に忠実です。
12 イスラエルは風を追い、
つむじ風の番をしています。
全く危険な遊びです。
エジプトやアッシリヤに贈り物をし、援助を求めますが、そのお返しは価値のない約束です。
2 けれども、主はユダを告訴しようとしています。
ヤコブはその行いのゆえに、公正に罰せられます。
3 ヤコブは生まれる時に兄弟と争い、
大人になってからは神とさえ戦ったのです。
4 まさに、御使いと格闘して勝ちました。
彼は御使いに、祝福してくれるようにと
泣いて頼みました。
ベテルでは、
神と顔と顔を合わせるようにして出会い、
神は彼に語りかけました。
5 まことに、主は天の軍勢の神であり、
主と呼ばれるにふさわしい方です。
6 さあ、神に立ち返り、
愛と公正の原理に立ちなさい。
いつも、あなたの神に期待しなさい。
7 ところが私の同胞は、不正なはかりで物を売る、
ずる賢い商人のようです。
だますことが好きなのです。
8 エフライムは自慢しています。
「私はこんなに金持ちになった。
すべて自分でもうけたのだ。」
しかし、富に罪を償うことはできません。
9 「わたしは、あなたをエジプトの奴隷生活から
救い出した主、同じ神だ。
わたしは、毎年の仮庵の祭りの時のように、
あなたを再び天幕(テント)に住まわせる。
10 わたしは預言者を遣わし、
多くの幻やたとえや夢で警告した。」
11 それなのに、ギルガルの罪は相も変わらず、
公然と行われています。
畑のうねのように何列も祭壇が築かれ、
偶像へのいけにえのために使われています。
ギルアデも、偶像を拝む愚か者であふれています。
12 ヤコブはアラム(シリヤ)へ逃げ、
羊の番をして妻をめとりました。
13 それから主はその民をエジプトから連れ出すために
一人の預言者を立て、
彼らを導き、守るようにさせました。
14 それなのに、エフライムは主をひどく怒らせました。
その罪の支払いとして、主は死の宣告を下すのです。
イスラエルに対する神の怒り
13 かつてはイスラエルが何か言うと、
国々は恐れのあまり震え上がったものです。
イスラエルが強力な君主だったからです。
ところが、イスラエルはバアルを拝んで、
滅びを決定的なものにしました。
2 今や民はますます不従順になっています。
銀を溶かして鋳型に入れ、
人の手で巧みに偶像を作っています。
「これにいけにえをささげろ」と言い、
子牛の像に口づけしているのです。
3 彼らは朝もやのように、すぐ乾いてしまう露のように、
風で吹き散らされるもみがらのように、
煙のように、消え去ります。
4 「わたしだけが神であり、あなたの主だ。
そのことは、エジプトからあなたを連れ出した時から、
ずっと変わらない。
わたしのほかに神はいない。
わたしのほかに救い主はいない。
5 あの乾いて一滴の水もない荒野で、
わたしはあなたの面倒を見た。
6 だが、あなたは食べて満足すると、高慢になり、
わたしを忘れてしまった。
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