Bible in 90 Days
48 モアブについて、イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。
「ネボの町はひどい目に会い、跡形もなく壊される。
キルヤタイムの町は占領され、
それを守る要塞はつぶされる。
2-4 もう、だれもモアブのことを誇りにする者はいない。
そのいのちがつけねらわれているからだ。
すでにヘシュボンでは、
モアブを破壊する手はずが整った。
『さあ、あの国を滅ぼして、地上から抹殺しよう』と、
彼らは言う。
マデメンはひっそり静まり返っている。
一方、ホロナイムには戦いの物音が近づく。
こうしてモアブは全滅し、
その叫び声はツォアルにまで響く。
5 泣きながらルヒテの坂を上る避難民の耳には、
下に見える町からの恐怖の叫びが聞こえる。
6 いのちが助かるために逃げ、荒野に身をひそめよ。
7 おまえたちは自分の腕を頼みとし、
富を誇ったので、滅びる。
おまえたちの神ケモシュは、
祭司や重立った人たちと共に、
遠い国へ連れ去られる。
8 村や町は、高台にあっても谷間にあっても、
すべて滅びる。
わたしがそう言ったからだ。
9 モアブに羽が生えてどこかへ飛んで行けたら、
どんなにいいだろう。
この国の町々には、
いのちある者は一人もいなくなるからだ。
10 モアブの血を流すのをいとい、剣を抜くのをひかえる者は、のろわれよ。わたしが与えた仕事に手をつけない者は、のろわれよ。
11 モアブは建国以来、
外敵から守られ平穏無事に過ごしてきた。
この国は、器から器に移し変えられない
ぶどう酒のようで、香りがよく、
口当たりがなめらかだ。
だが今度は、捕虜として外に注ぎ出される番だ。
12 乱暴者が来て、つぼからつぼへ荒々しく移し変え、しかも、そのつぼを粉々に砕く時がすぐにくる。 13 その時になってはじめて、イスラエルがベテルで子牛の偶像を恥じたように、モアブは自分の偶像ケモシュを恥ずかしく思うようになる。」
14 あなたがたは、「われわれは英雄だ。歴戦の勇士だ」とうぬぼれていたころのことを覚えていますか。
15 しかし今、「モアブは滅ぼされようとしている。
滅ぼす者が近づいている。
えり抜きの若者も殺害される」と、
天の軍勢の主である王が言います。
16 大きな災害が足早にモアブに近づいています。
17 モアブの友人たちよ、
モアブのために大声で泣きなさい。
力と美しさを誇ったこの国は、粉々に砕かれました。
18 ディボンの人たちよ、
栄光の座を降り、ちりの中に座りなさい。
モアブを滅ぼす者はディボンをも荒らし、
すべての塔を倒すからです。
19 アロエルの住民よ、道のそばに立って、
モアブから逃げて来る人たちに、
「いったい何が起こったのですか」と聞いてみなさい。
20 彼らは答えるでしょう。
「モアブは焼け野原になりました。
大声で泣きなさい。
アルノン川の土手で、モアブは滅びたと伝えなさい。」
21 平地にあるすべての町は廃墟になりました。神の刑罰は、これらの町全部に下されたのです。ホロンも、ヤハツ、メファアテも、 22 ディボン、ネボ、ベテ・ディブラタイムも、 23 キルヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオンも、 24 ケリヨテ、ボツラも、モアブの国の遠くや近くにあるすべての町々も、同じ運命に会いました。
25 モアブは角を切り取られ、両腕を折られ、
非常に弱くなりました。
26 酔った者のようにふらつき、倒れるままにしておきなさい。主に背いた罰です。モアブは自分の吐いた物の中で転げ回り、すべての人にさげすまれます。 27 それは、イスラエルをさげすんで強奪し、それが倒れた時、手をたたいて喜んだからです。
28 モアブの人たちよ、町を捨てて逃げ、
岩の裂け目に巣を作る鳩のように、
ほら穴に住みなさい。
29 モアブの思い上がりは並はずれたものだったので、
私たちの耳にまで達しました。
その、他人を見下す横柄な態度、思い上がった心を、
私たちは知っています。
30 「わたしはモアブの思い上がりを知っている」と、主は言います。しかし、そのうぬぼれは根拠のないもので、から威張りにすぎません。 31 私はモアブのために泣き、私の心は、キル・ヘレスの人々のことを思って痛みます。
32 ぶどうのお陰で富んでいる
シブマ(良質のぶどうの産地)の人よ。
私はヤゼルの人以上に、あなたがたのために泣きます。
滅ぼす者が来て、よく伸びたあなたがたのつるを切り、
ぶどうと夏の果物を横取りしたからです。
そのため、あなたがたは丸裸になりました。
33 実り豊かなモアブから、喜びと楽しみの声が消え、
酒ぶねに入れるぶどうもなく、
喜びの声を上げてぶどうを踏む者もいません。
叫び声は聞こえますが、
歓声ではありません。
34 恐怖と苦痛の、身の毛もよだつ叫び声が、ヘシュボンからエルアレとヤハツ、ツォアルからホロナイムとエグラテ・シェリシヤにわたる国中に響きます。ニムリム川沿いの牧草地は、今ではすっかり荒れ地になりました。
35 「わたしは、モアブが偽の神々を拝み、偶像に香をたくのをやめさせた」と、主は言います。 36 私は、モアブとキル・ヘレスのために嘆き悲しみます。彼らの富が消えうせたからです。 37 彼らは苦しみもだえて頭の毛とひげをそり、手に傷をつけ、袋を作る材料の荒布を身にまといます。 38 どのモアブ人の家からも、路上からも、泣き悲しむ声が聞こえます。
「わたしがモアブを、だれも見向きもしない古い器のように割ったからだ」と、主は言います。
39 なぜ壊されたのでしょう。泣き叫ぶ声を聞き、モアブの恥に目を留めなさい。モアブは今、周囲の人たちにとって、恐怖とさげすみのしるしとなっています。
40 「モアブの上空を、不吉の使者のわしが輪を描いて飛んでいる」と、主は言います。
41 町々は攻め取られ、要塞はつぶされます。
偉大な勇士も、産みの苦しみをする女のように、
恐れに取りつかれて弱くなります。
42 モアブは、もはや国ではありません。
主に大きな口をきいたからです。
43 「モアブよ、恐れと罠と裏切りが、
おまえの分け前になる。
44 逃げる者は落とし穴に落ち、
そこからようやくはい上がったかと思うと、
今度は罠に足をはさまれる。
わたしは、おまえがどんなにもがいても
脱出できないように、目を光らせている。
おまえの刑罰の時がきたのだ」と、主は言います。
45 彼らは、やっとの思いでヘシュボンまで
逃げのびますが、それ以上は行けません。
シホンの先祖の土地であるヘシュボンから火が出て、
国の端から端までなめ尽くし、
反逆者たちをみな焼き殺します。
46 ああ、モアブよ。
恐ろしい運命があなたを待ち受けています。
ケモシュの神を拝む人々は滅びました。
あなたの息子と娘は、奴隷として連れ去られます。
47 「だが、後に、わたしはモアブの国を再建する」と、
主は言います。
モアブについての預言は、これで終わりです。
アモンについてのメッセージ
アモン人について――
49 「おまえたちは、ここで何をしているのか。
なぜユダヤ人の町に住んでいるのか。
そこはユダヤ人だけの住みかであり、
彼らがわたしから受け継いだ所ではないか。
それなのに、ミルコムの神を拝むおまえたちが、
なぜガドとその町々を占領したのか。
2 このため、わたしはおまえたちを罰し、
おまえたちの町ラバを破壊する。
そこは人の住まないごみの山となり、
近くの町々も焼き払われる。
そのあとイスラエルが来て、
おまえたちの手から国を取り戻し、
失った物を奪い返す。」
主はこう言います。
3 「ヘシュボンよ、アイが滅びたのだから、
泣きわめくがいい。
ラバの娘よ、喪服を着て垣根に身を隠し、
ぞんぶんに泣け。
おまえの神ミルコムが、重立った人や祭司と共に、
遠い国へ連れて行かれるからだ。
4 おまえは、よく肥えた谷間の地を自慢にしているが、
それはまもなく荒れ地になる。
根性の曲がった娘よ。
おまえは自分の財産を心の拠り所とし、
手出しする者はだれもいないと考えていた。
5 だが、見ているがいい。
わたしはおまえに恐怖を送る。」
天の軍勢の主である神が、こう言います。
「隣人たちはおまえをおまえの国から追い出し、
おまえが捕虜になって連れ去られるのを
横目で見ながら逃げて行く。
6 だが、後に、わたしはアモン人の国を
元どおりに繁栄させる。
エドムについてのメッセージ
エドム人について――
7 天の軍勢の主はこう言います。
「昔いた賢い者たちはどこへ行ったのか。
テマンには、もう知恵のある者は一人もいないのか。
8 デダン(隊商で栄えた、アラビヤ北部の町)の人よ、
荒野の一番奥まで逃げて行け。
わたしはエドムを罰する時に、
おまえたちをも罰するからだ。
9-10 ぶどうを収穫する者は、
貧しい者のことを考えて少しは残しておく。
どろぼうでさえ、
すべてを盗んで行くようなことはしない。
だが、わたしがエドムを丸裸にするので、
隠れる所はどこにもない。
子どもも、兄弟も、隣人も、一人残らず殺され、
おまえ自身も滅びる。
11 だがわたしは、生き残ったみなしごたちを守り、
未亡人たちがわたしを頼りとするようにする。」
12 主はエドムに言います。「罪のない者さえ苦しむとしたら、おまえは、どれほど苦しまなければならないことか。罰を受けずにすむはずはない。どうしても、このさばきの杯を飲まなければならない。 13 ボツラは荒れ果て、のろいとあざけりを受けるようになると、わたしは自分の名にかけて誓ったのだ。その町々は永遠に廃墟となる。」
14 私は主から、次の知らせを聞きました。
神はエドムを滅ぼす同盟軍を起こすため、
国々に呼びかける使者を送り出しました。
15 神は言います。
「わたしはこの国を弱くし、
周囲の国々にさげすまれるようにする。
16 おまえはペトラの山々や岩の裂け目に住み、
自分の名声と思い上がりによって自分を欺いてきた。
だが、わしのように高い峰に住んでいても、
わたしはおまえを引きずり降ろす。
17 エドムは非常に恐ろしい目に会う。そこに近づく者はみな、あまりにも悲惨な光景に背筋が凍り、息の止まる思いがする。 18 おまえの町々は、ソドムとゴモラやその近くの町々のように静まり返る。二度とそこに住む者はいない。 19 わたしが彼らのもとに、ヨルダンの密林から出て囲いの中の羊に忍び寄るライオンのような侵略者を送るので、エドムは一瞬のうちに滅びる。そのあとで、わたしの選んだ者をエドム人の上に立てよう。わたしのような者がいるだろうか。だれがわたしを呼びつけて、報告を求めることができるだろう。どの羊飼いが、わたしに反抗できるだろうか。」 20 次のことを心に留めておきなさい。
主は間違いなくエドムとテマンの住民に、
小さな子どもさえ奴隷になって引きずられて行く光景を
見せます。それは、見るに耐えない悲惨なことです。
21 エドムが倒れる音で地は揺れ動きます。
人々の叫び声は紅海にまで聞こえます。
22 襲いかかる者は、わしのように速く飛んで来て、ボツラに向かって翼を広げます。それを見て、大勇士の勇気もくじけ、産みの苦しみをする女のようになります。
ダマスコについてのメッセージ
23 ダマスコについて――
「ハマテとアルパデの町々は、恐れに取りつかれた。
彼らの運命がどうなるかを聞いたからだ。
彼らの心は、嵐の荒れ狂う海のように、
ざわめき立っている。
24 ダマスコはすっかりおじけづき、住民はみな逃げた。
恐れと苦しみと悲しみが、産婦に取りつくように、
ダマスコに取りついた。
25 ああ、名の知れた町、喜びの町よ。
どうしておまえは、今になって見捨てられたのか。
26 若者たちは、路上に死体となって横たわっている。
おまえの軍隊は、ただの一日で蹴散らされてしまう。」
そう天の軍勢の主は言います。
27 「わたしはダマスコの城壁に火をつける。
その火で、ベン・ハダデの宮殿は焼け落ちる。」
ケダルとハツォルについてのメッセージ
28 次の預言は、ケダルとハツォル(どちらも、パレスチナ東方の荒野に住むアラブ遊牧民)の王国についてです。これらの王国は、主の命令を受けたバビロンのネブカデネザル王によって、まもなく滅ぼされようとしています。 29 神は言います。
「彼らの羊の群れもテントも、
家庭用品ともども奪い取られる。
らくだも連れ去られ、
『われわれは包囲された。いよいよ最期だ』という
恐怖にひきつった叫び声が、あちこちから聞こえる。
30 いのちが助かるために逃げなさい。
ハツォルの人たちは荒野の奥に隠れるのだ。
バビロンのネブカデネザル王が陰謀を巡らし、
おまえたちを根絶やしにしようと
手はずを整えているからだ。」
31 主はネブカデネザル王に、こう言いました。
「さあ、のん気に荒野で孤立して住んでいる
金持ちのベドウィン族に襲いかかるのだ。
彼らは、だれの力も借りずにやっていけるとうぬぼれ、
城壁も門もいらないと大口をたたいている。
32 彼らのらくだと家畜は、みなおまえのものになる。
わたしはこのアラブ人を風で吹き散らし、
四方八方から災難を呼び寄せる。」
33 ハツォルは荒野の野獣の住みかになります。
人の住まない、永遠の荒れ地となるのです。
エラムについてのメッセージ
34 ユダのゼデキヤ王の治世の初めに、エラムについてのことばが、エレミヤにありました。
35 「天の軍勢の主はこう言います。
『わたしはエラムの軍隊を破る。
36 また、四方からの風でエラムの住民を吹き散らす。
そのため、彼らは世界中の国々に流れ着く。
37 わたしは激しく怒ってエラムに大きな災いを下し、
敵がこの地の住民を一掃するように仕向ける。
38 わたしはわたしの王座をエラムに置き、
王と重立った者たちを滅ぼす。
39 だが後に、わたしはエラム人を呼び戻す。
バビロンについてのメッセージ
50 次は、主が預言者エレミヤを通して、カルデヤ人の国バビロンについて語ったことばです。
2 「全世界の人に、バビロンは滅びると告げなさい。
その国の神であるメロダクは恥をかく。
3 北から一つの国が攻め上り、この地を二度と人が住めないほど徹底的に荒らすからだ。人も家畜も逃げる。 4 その時、イスラエルとユダの民は泣きながら、彼らの神であるわたしを尋ね求める。 5 シオン(エルサレム)に通じる道を尋ね、故国をめざして帰る。『二度と破られない永遠の誓いを立て、主にしっかり結びつこう』と、彼らは言う。 6 わたしの民は迷った羊だ。羊飼いたちはとんでもない方向に彼らを連れて行き、山の中に置き去りにした。彼らは道に迷い、どうすれば元の場所へ帰れるかと途方にくれた。 7 彼らを見つけた者は彼らをさんざん食い物にし、『彼らを好きなように料理しよう。彼らは、正義の神であり、彼らの先祖の望みであった主に罪を犯したのだから』と言った。
8 しかし今度は、
カルデヤ人の国バビロンから逃げ出すのだ。
わたしの民を故国に連れ帰りなさい。
9 わたしは北方の強い国々の軍隊を奮い立たせ、
バビロンに敵対させるからだ。
バビロンは滅びる。
敵の矢は的をめがけて飛んで来て、一本もはずれない。
10 バビロンは丸裸になる。
11 わたしの民から身ぐるみはぎ取ったカルデヤ人よ。
おまえたちは喜び、
みずみずしい草の茂る放牧地の牛のように肥え太り、
種馬のようにいなないても、
12 おまえたちの母は恥をかいて顔を伏せる。
おまえたちは一番弱い国となり、
荒野となり、乾ききった砂漠となるからだ。
13 わたしの怒りによって、
バビロンはさびれた荒れ地となる。
そこを通り過ぎる者は血の気を失い、
そのすべての傷を見てあざける。
14 周りを囲むすべての国々よ、
バビロンと戦う準備をしなさい。
弓を引く者は、バビロンをめがけて矢を放て。
彼は神に逆らって罪を犯したのだから、矢を惜しまず、
容赦なく射かけるのだ。
15 四方から、いっせいにときの声を上げなさい。
城壁はくずれ、バビロンは降伏する。
わたしはとうとう復讐した。
バビロンがしたとおりのことを、やり返しなさい。
16 畑で働く外国人は、みな逃げなさい。
敵の軍勢が攻めて来るから、
自分の国に走って帰りなさい。
17 イスラエル人はライオンに追われる羊のようだ。初めはアッシリヤの王がその肉を食い、次にはバビロンのネブカデネザル王が、骨まで食いつくした。」 18 そこで、イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「わたしは今度は、アッシリヤを罰したように、バビロンの王とその国に罰を加える。 19 わたしはイスラエル人を故国に連れ戻す。彼らはカルメルとバシャンで草を食べ、もう一度、エフライムとギルアデの山々で幸せに暮らすようになる。 20 その日には、イスラエルにもユダにも、罪は一つも見当たらなくなる。わたしは残った者たちを赦すからだ。
21 わたしの勇士たちよ。
メラタイム(南部バビロニヤ)と
ペコデ(東部バビロニヤ)に攻め上りなさい。
わたしがさばこうとしている反逆の国バビロンに、
威勢よく進撃しなさい。
命令しておいたとおり、彼らを根絶やしするのだ。
22 国中に戦いの雄たけび、
大きな破滅の叫びが上がるように。
23 地上のすべての国々を打った強力な金槌は、
粉々になった。
バビロンは国々の中で、荒れ果てた地となった。
24 バビロンよ。
わたしがおまえに罠をしかけ、おまえを捕まえた。
おまえがわたしに戦いをいどんだからだ。
25 わたしは兵器庫を開き、
敵に怒りを表そうと武器を取り出した。
バビロンに降りかかった恐怖は、
天の軍勢の主であるわたしが指図したものだ。
26 遠くから来てバビロンに攻めかかりなさい。
穀物倉に押し入り、城壁と家々を壊して高く積み上げ、
とことん荒らすのだ。
めぼしいものは何一つ残してはならない。
27 家畜にまで、のろいが下るように。
それを一頭残らず殺すのだ。
バビロンの荒廃の時がきたのだから。
28 だが、わたしの民は逃げ出す。
彼らは故国に逃れ、
彼らの神であるわたしが怒りに燃え、
神殿を壊した者たちに仕返ししたと報告する。
29 弓を引く者をバビロンに呼び集めなさい。
この都を包囲し、
蟻一匹はい出るすきもないようにするのだ。
バビロンがほかの国々にしたとおりに報いなさい。
彼らはイスラエルのきよい神であるわたしに
大言壮語し、公然と反抗したからだ。
30 若者は路上に倒れて死に、勇士は皆殺しになる。
31 思い上がっている者たちよ。
わたしはおまえたちの敵になる。
おまえたちのさばきの日が、ついにきたのだ。
32 高ぶる国よ。
おまえはつまずいて倒れるが、だれも起こしてくれない。
わたしが町々に火をつけ、何もかも灰にするからだ。」
33 天の軍勢の主はこう言います。「捕虜になったイスラエルとユダの民は虐待されている。主人たちは彼らを釈放しようとしない。 34 だが、彼らを救い出す者は強く、その名は天の軍勢の主だ。わたしは彼らの訴えを聞き、彼らが自由の身となり、再びイスラエルの地で平穏に暮らせるように取り計らう。だが、バビロンの住民に安息はない。
35 破滅の剣がカルデヤ人に切りかかる。
その剣はバビロンの住民を、
重立った者も知恵のある者も区別なしに切りまくる。
36 賢い助言者も愚かになり、
何ものをも恐れない勇士もあわてふためく。
37 戦いが起こって、馬も戦車ものみ尽くす。
同盟を結んだほかの国々の者たちは、
女のように弱くなり、財宝はみな略奪される。
38 そればかりか、水の補給さえなくなる。
どうして、このようになるのだろうか。
国中に神々の像が立ち、
民が熱心に偶像を慕っているからだ。
39 バビロンの都は、だちょうや山犬、荒野の野獣の住みかとなり、人は二度と住みつかない。永久に荒れ果てた地となる。 40 わたしは、ソドムとゴモラとその近くの町々を滅ぼしたように、バビロンを滅ぼす。これらの町々に人が住まなくなったように、バビロンにも人が寄りつかなくなる。」
41 北から大軍が押し寄せて来ます。神が多くの国から呼び集めた王たちが、この軍隊を指揮しています。 42 彼らは完全武装していて、残忍で容赦しません。その雄たけびは、海辺に打ち寄せる波のように響き渡ります。バビロンよ。彼らは戦いのしたくを整え、馬に乗って攻めかかります。 43 バビロンの王は、敵が来たという報告を受けると、肩を落としました。産みの苦しみをしている女のように、恐怖の苦痛に取りつかれたからです。 44 「ヨルダンの密林から出て、草を食べている羊に飛びかかるライオンのような侵略者が、彼らに突然襲いかかるようにする。彼らを守る者たちを追い払い、わたしの気に入った指導者を立てる。わたしのような者がいるだろうか。わたしの決めたことに反抗する支配者が、どこにいるだろうか。だれがわたしを呼びつけて、説明を求めることができようか。 45 カルデヤ人の国バビロンへの、わたしの計画を聞きなさい。
小さな子どもたちでさえ、奴隷になって引かれて行く。
身の毛もよだつほど恐ろしいことではないか。
46 バビロンの倒れる地響きで、全地は揺れ動く。
その断末魔の叫びは、世界の隅々に届く。」
51 神はこう言います。
「わたしは、カルデヤ人の住むバビロンを
隅々まで滅ぼす者たちを、勇気づける。
2 ふるい分ける者たちが来て、
バビロンをふるいにかけ、風を起こして吹き飛ばす。
彼らは、災いの日に四方八方から来て、攻め立てる。
3 敵の矢はバビロンの射手を倒し、勇士のよろいを貫く。
生き延びる者は一人もいない。
若者も老人もみな、いのちを落とす。
4 カルデヤ人の地に倒れ、
めった切りにされて路上で息絶える。
5 わたしは、イスラエルとユダを見捨てたわけではなく、
依然として彼らの神である。
だがカルデヤ人の地は、
イスラエルのきよい神に対する罪で満ちている。」
6 バビロンから逃げ出し、自分のいのちを救いなさい。
罠にかかってはいけません。
そのまま残ったら、神がバビロンのすべての罪に
報復する時、巻き添えを食います。
7 バビロンは、主の御手にある金の杯のようでした。
すべての国々はこれから飲んで、酔いつぶれました。
8 ところが今度は、突然、そのバビロンが倒れたのです。
この国のために泣きなさい。薬を与えなさい。
もしかしたら、元どおりになるかもしれません。
9 できることなら助けたいのです。
しかし今となっては、どんな手を打っても救えません。
この国を見捨てて、故国へ帰りなさい。
主がこの国に天罰を下したからです。
10 主は私たちの顔を立ててくださいました。
さあ、エルサレムで、
神のなさったすべてのことを言い広めましょう。
11 矢じりを研ぎ、盾を高く掲げなさい。
主はメディヤ人の王たちを勇気づけて
バビロンに乗り込ませ、
これを滅ぼすことに決めたからです。
これが、神の民を虐待し、
神殿を汚した者たちへの報復です。
12 バビロンよ、守備を固め、城壁に見張りを大ぜい立て、
伏兵を隠しておきなさい。
神は宣言したことをみな実行するからです。
13 商業の中心地である繁栄した港よ。
いのちの糸が切られる最期の時がきました。
14 天の軍勢の主はご自分の名にかけて、こう誓いました。
おまえの町々は、無数のばったが群がる畑のように、
敵兵であふれ返る。
彼らは、天にも届けとばかり、勝ちどきを上げる。
15 神は力と知恵をもって地をお造りになりました。
すぐれた知性をもって天を張り広げました。
16 神が口を開くと大空に雷がとどろき渡ります。
神は大地から水蒸気を上らせ、ご自分の倉から、
雨と風を伴ういなずまを取り出します。
17 神に比べたら、人間は愚かな獣で、
一かけらの知恵もありません。
金細工人は偶像を作るたびに、
ますます良心が鈍くなります。
偶像には、いのちのしるしである息がないのに、
それを作るたびに神ができたと言って、
うそをつくからです。
18 偶像は、むなしいものです。
神が来てそれをみな滅ぼす時が近づいています。
19 イスラエルの神は偶像ではありません。
この神があらゆるものを造り、
イスラエルをご自分の民としました。
その名は天の軍勢の主です。
20 バビロンは神のための戦いの斧であり、また剣です。
主は言います。
「わたしは国々を木端微塵に砕き、
多くの王国を滅ぼすためにおまえを用いる。
21 おまえを使って軍勢を蹴散らし、馬と乗り手を倒し、
戦車とそれに乗っている者を打ち砕く。
22 おまえを使って、年老いた者も若者も、
若い男も若い女も、
23 羊飼いも羊の群れも、農夫も牛も、
指揮官も総督も倒す。
24 わたしはイスラエルの目の前で、
バビロンとカルデヤ人に報いる。
彼らがわたしの民に加えたすべての悪に
仕返しするのだ。
25 全世界を破壊する大きな山、バビロンよ。
わたしはおまえを攻める。
おまえにこぶしを振り上げ、高い所から突き落とし、
おまえを焼けただれた山にする。
26 おまえは永久に荒れ地となり、
おまえの石さえも、建築用として再生されることはない。
おまえは地上から完全に一掃されるのだ。」
27 多くの国々に合図して、
バビロンを攻める兵士を集めなさい。
雄たけびをあたりに響かせなさい。
アララテ、ミニ、アシュケナズの軍隊を呼びなさい。
指揮官を決め、長蛇の列をなして馬を進めなさい。
28 バビロンめざして、メディヤ人の王たちと将軍たち、
その支配下の国々の軍隊を攻め上らせなさい。
29 バビロンは震え、苦痛で身もだえします。
主がこの国について計画したことはみな、
少しも変更されないからです。
バビロンは、だれも住まない荒れ地となります。
30 大勇士でも、戦う気力を失い、
仮小屋に引きこもります。
力が尽きて、女のようになるのです。
侵略者たちは家々を焼き、町の門を壊しました。
31 伝令が四方八方から王のもとへ駆けつけ、
何もかも失われたと報告します。
32 退路はすべて断たれ、とりでは焼き払われ、
兵士たちは大混乱に陥っています。
33 イスラエルの神である天の軍勢の主が、
こう言ったからです。
「バビロンは打ち場に積まれた麦のようだ。
もうすぐ、からざおで打たれる。」
34-35 バビロンのユダヤ人たちは訴えます。
「バビロンのネブカデネザル王は、私たちを食い物にし、
踏みつけ、骨なしにしました。
怪物のように私たちをのみ込み、
私たちの財宝で腹を満たし、
私たちをイスラエルから追放しました。
バビロンに、このすべての悪事の報いを刈り取らせ、
その手で流した私たちの血を完全に償わせてください。」
36 それに対して、主はこうお答えになります。
「わたしはおまえたちを弁護する者となり、
おまえたちのために報復する。
バビロンの川を干上がらせ、水の補給を断つ。
37 こうしてバビロンは、石くれの山となり、
山犬が住みつき、だれもいない見るも恐ろしい地となる。
38 バビロニヤ人は宴会を開いて、
ライオンのようにほえる。
39 彼らがありったけのぶどう酒を飲んで
気持ちが大きくなっている時、
わたしは彼らのために別の宴会を設け、
彼らが意識を失って倒れ、
永遠の眠りにつくまで飲ませる。
40 彼らを子羊のように、また雄羊や雄やぎのように、
ほふり場に引いて行く。
41 全世界の人のあこがれの的だった、
あの偉大なバビロンは、なぜ倒れたのか。
世界は、バビロンが倒れるのを見て、目を疑う。
42 海がせり上がってバビロンを包むと、
それは波に覆われた。
43 町々は廃墟となった。
バビロンは、誰ひとり住まず、旅人さえ寄りつかない、
乾ききった荒れ地となる。
44 わたしはバビロンの神であるベルを罰し、
その口から、彼がのみ込んだ物を取り出す。
諸国の民は二度と彼を拝まない。
バビロンの城壁は倒れてしまった。
45 わたしの民よ、バビロンを脱出し、
わたしの激しい怒りから自分を救いなさい。
46 外国の軍隊が近づいて来るといううわさを聞いても、うろたえてはならない。うわさは、いつになっても絶えないものだ。だが、この国に内戦が起こり、各州の総督が互いに戦う時がくる。 47 わたしがこの大都市とこの国のすべての偶像を罰する時が、きっとくる。そうなれば、町中に死人が転がるようになる。 48 バビロンを攻める強力な軍勢が北から来るので、天も地も喜ぶ。」そう主は言います。 49 かつてイスラエルの民を殺したように、今度はバビロンが殺される番です。 50 剣から逃れた者は、立ち止まって、あたりの様子を見ていてはいけません。力の限り逃げなさい。主を思い出して、はるかかなたのエルサレムへ帰って行きなさい。 51 「バビロンから来た外国人たちの手で神殿が汚されたので、私たちはとても恥ずかしい思いをしました。」
52 「そのとおりだ」と、主は言います。しかし、バビロンの偶像が壊される時が近づいています。国中に、傷ついた人のうめき声が聞こえます。 53 「たとえ、バビロンが天のように高くなり、その力が信じられないほど増し加わったとしても、必ず死ぬ」と、主は言います。 54 カルデヤ人の支配する地、バビロンに上がる大きな破壊の叫びを聞きなさい。 55 主はバビロンの息の根を止めます。その大きな声も、やがては大波にのまれて消えます。 56 すべてのものを破壊する軍勢が攻めて来て、勇士たちを滅ぼします。武器という武器はどれも、まるで役に立ちません。神がバビロンに与えるものは、当然の刑罰だけです。 57 「わたしは、この国の重立った者、知恵のある者、支配者、指揮官、それに勇士たちを酔いつぶす。彼らは深い眠りに落ち、二度と目を覚まさない。」こう天の軍勢の主である王が言います。
58 バビロンの厚い城壁はくずれて平らになり、
高い城門も無残に焼け落ちます。
多くの国から呼び集められた建築士は、
造った物が火で焼かれるため、
むだ骨を折ったことに気づきます。
59 ゼデキヤ王の治世の第四年に、エレミヤを通して、次のことばがマフセヤの子のネリヤの子セラヤにありました。それは、宿営長セラヤがユダのゼデキヤ王と共に捕まり、バビロンへ流される、というものでした。 60 エレミヤは、先に書いたような、神がバビロンに下そうとしているすべての災害を巻物に書き留め、 61-62 その巻物をセラヤに渡して言いました。「バビロンに着いたら、私の書いたことを読み、次のように言いなさい。『主よ。あなたはバビロンを滅ぼし、そこを猫の子一匹いない、永遠に見捨てられた所にする、と語りました。』 63-64 読み終えたら、石を結びつけてユーフラテス川に投げ込み、こう言いなさい。『このように、バビロンは沈み、二度と浮かび上がらない。わたしがこの国に災いを招くからだ。』」
これで、エレミヤのことばは終わります。
エルサレムの陥落
(以下は、三十九章の記事の補足です。)
52 ゼデキヤは二十一歳で王となり、十一年間エルサレムで王座につきました。彼の母はリブナ出身のエレミヤの娘で、名をハムタルといいました。 2 ところが彼は、先代のエホヤキムのように悪名の高い王でした。 3 悪事の限りを尽くす王に、神はとうとう怒りを燃やし、バビロン王に反逆するよう仕向けたのです。こうして王とイスラエルの民は、神の前から追放され、エルサレムとユダをあとにして、遠くバビロンへ捕虜として連れ去られました。
4 ゼデキヤが即位して九年目の、十二月二十五日(ユダヤ暦では十月十日)に、バビロンのネブカデネザル王は全軍を率いてエルサレムを攻め、周囲にとりでを築き、 5 二年間この町を包囲しました。 6 六月二十四日(ユダヤ暦では四月九日)になって、町ではききんがひどくなり、ついに最後の食糧も底をついたので、 7 住民は城壁に穴をあけ、また兵士たちもみな夜の闇にまぎれ、王の庭園の近くにある二重の城壁の間にある門を通って、町の外へ逃げました。町はカルデヤ人にすっかり囲まれていたからです。人々は野原を横切り、アラバめざして急ぎました。 8 しかし、カルデヤ兵はあとを追い、エリコに近い野原で、護衛兵に逃げられて孤立しているゼデキヤ王を捕まえました。 9 兵士たちは、ハマテのリブラという町にいるバビロン王のところへ彼を引き立てて行き、そこで軍事裁判にかけました。 10 ゼデキヤは、目の前で、息子をはじめユダの重立った人たちが虐殺されるのを見せつけられたあと、 11 両眼をえぐり出され、鎖につながれてバビロンへ引いて行かれ、死ぬまで牢に閉じ込められていました。
12 バビロンのネブカデネザル王が即位して十九年目の七月二十五日(ユダヤ暦では五月十日)に、親衛隊長ネブザルアダンがエルサレムに乗り込んで、 13 神殿と王宮、それにすべての邸宅を焼き、 14 兵士たちに、町の城壁をいっせいに取り壊すように命じました。 15 それから、貧しい人々の一部、町が壊された時に生き残っていた者、ゼデキヤを見限ってバビロン軍に投降した者、それにまだ残っていた交易商人を、捕虜としてバビロンへ連れて行きました。 16 しかし貧しい人々の一部は残して、ぶどう園の手入れをさせたり、畑を耕させたりしました。
17 バビロニヤ人は、神殿の入口に立つ二本の大きな青銅の柱と、牛の形をした青銅の台と、その上にすえてある青銅の洗盤を取りはずして、バビロンへ運びました。 18 また、すべての青銅のつぼと湯わかし、祭壇で使う十能、芯切りばさみ、そのほか神殿で使ういっさいの器具を差し押さえました。 19 さらに、火皿、純金と純銀の燭台、茶わん、鉢も奪いました。 20 途方もなく大きな二本の柱、洗盤、それに十二の青銅の牛の重さは、大変なものでした。とても量りようがありません。みな、ソロモン王の時代に作られたものです。 21 柱はそれぞれ高さ九メートル、周囲六メートル、厚さ八センチで、中は空洞でした。 22 柱の頭の部分二・五メートルは、青銅のざくろを彫刻した網目模様になっていました。 23 回りには九十六のざくろがあり、周囲の網細工には、さらに百のざくろがありました。 24-25 親衛隊長はまた、祭司長セラヤと次席祭司ゼパニヤ、三人の神殿警備隊長、軍の参謀、町の中で見つかった王の特別補佐官七人を捕まえました。さらに、ユダヤ軍の徴兵指揮官と、隠れていた六十人の高官も捕まえました。 26 そのあと、彼らを、リブラにいるバビロン王のところへ連れて行ったのです。 27 彼らは王の命令によって、一人残らず死刑になりました。こうしてユダの民は、捕虜となって故国をあとにすることになったのです。
28 ネブカデネザルが即位して七年目に、捕虜としてバビロンへ連れ去られた人々の数は、三千二十三人でした。 29 それから十一年後には、八百三十二人が加わりました。 30 さらに五年後、王の命令を受けた親衛隊長ネブザルアダンは、七百四十五人を連れて来ました。結局、合計で四千六百人です。
エホヤキン、解放される
31 ユダ王国のエホヤキン王が、バビロンの牢に入って三十七年目の三月十日(ユダヤ暦では十二月二十五日)に、その年バビロン王となったエビル・メロダクは、エホヤキンに親切にし、彼を牢から出しました。 32 しかも、親しみを込めて彼に話しかけ、バビロンのどの総督よりも高い位を与え、 33 新しい衣服をあてがい、生涯、いつも王の料理係の作る物を食べさせました。 34 エホヤキンは死ぬ日まで、生活費を王から支給されました。
エルサレムの荒廃と悲しみ
1 かつて人々でにぎわっていたエルサレムの通りが、
今はひっそり静まり返っています。
諸国の女王だった町は今では奴隷のようで、
悲しみに沈む未亡人のように座り込んで嘆いています。
2 夜通し泣いて、涙が彼女の頬を伝います。
恋人たち(エジプトや他の同盟国)は、
誰ひとり声をかけてもくれません。
今ではみな、敵となっているからです。
3 ユダは労役で苦しんだ果てに、
捕囚となって遠い国へ引いて行かれたのです。
今は征服者の手に落ち、
外国で不安な毎日を過ごしています。
4 シオン(エルサレム)への道は、
神殿で例祭を祝うにぎやかな参拝客の列も途絶え、
すっかりさびれて、憂いに沈んでいます。
都の城門はさびつき、祭司たちはうめき、
おとめたちは悲しみに打ちひしがれています。
シオンは泣き伏しています。
5 敵がわがもの顔に振る舞っています。
エルサレムの多くの罪のために、
主が罰を加えたからです。
幼い子どもたちは捕らえられ、
奴隷として遠くへ連れ去られました。
6 シオンの美しさも威厳も、すっかりなくなりました。
指導者たちは、
あてもなく牧草地をさまよう飢えた鹿のようで、
敵に出会っても逃げる力さえありません。
7 エルサレムは悲しみのどん底で、
過ぎ去った楽しい日々を思い浮かべます。
今はもう、
援助の手を伸ばしてくれる者もなく、
屈した敵の前で、あざけりの的となっています。
8 エルサレムは罪に罪を重ねたので、
汚いぼろきれのように捨てられました。
丸裸にされ、人前にさらされ、
かつては尊敬の眼で見た人たちも、
今では軽蔑のまなざしを向けるだけです。
彼女はあまりの恥ずかしさにうめき、顔を隠します。
9 この都は不品行の罪にうつつを抜かし、
確実に罰が下るという事実に
顔を背けていました。
落ちぶれてしまった今、
だれも助けてくれないので、彼女は叫びます。
「ああ主よ、私の不幸に目を留めてください。
敵はあんなに勝ち誇っています。」
10 敵は貴重品をすべて取り上げ、
彼女を無一物にしました。
そればかりか、神聖な神殿を荒らし回りました。
そこに入ることさえ神が禁じた外国人によって。
11 民はうめき、必死にパンを探し求めます。
持ち物を全部売り払い、少しでも体力を回復しようと、
食べ物をあさります。
「主よ、ごらんください。
私がどんなにさげすまれているかを
知ってください」とエルサレムは祈ります。
12 道行く人よ、何とも思わないのですか。
主が燃える怒りの日に、
こんなにも私を悩ませたのです。
これ以上の悲しみを見たことがあるでしょうか。
13 主が天から送った火は、
私の骨の中で燃え続けています。
主は行く道に落とし穴を置き、私を追い返しました。
私を病気にしたまま置き去りにし、
つらい思いをさせました。
14 主は私の罪を編んで綱とし、
それで私を引いて、奴隷のくびきに結びつけました。
私を骨抜きにして、敵の手に渡しました。
私は敵のなすがままになっています。
15 主は味方の勇士をみな踏みつけました。
主の命令によって強力な軍隊が押し寄せて来て、
すぐれた若者たちを倒しました。
主は愛する都を、
酒ぶねのぶどうのように踏みつぶしました。
16 このことで、私は泣いています。
私を助けられるのは主だけだというのに、
主は私を慰めもせず、遠く離れて立っています。
子どもたちに未来はありません。
私たちは征服された民です。
17 エルサレムは助けを求めて哀願しますが、
だれも慰めてくれません。
主がこう語ったからです。
「隣人が敵となれ。
この都は悪臭を放つぼろきれのように、
投げ捨てられてしまうがいい。」
18 主がこう言うのも、もっともなことです。
私たちは神に反逆したからです。
しかし、すべての国々の民よ、
私の苦悩と絶望に目を留めてください。
息子も、娘も、
奴隷として遠い国へ引いて行かれました。
19 私は同盟国の助けを求めましたが、
彼らは少しも役に立たず、がっかりするばかりでした。
祭司も、長老も、同じことでした。
彼らは、残飯をあさってうろつきながら、
道ばたで飢え死にしたのです。
20 主よ、私の苦しみに目を留めてください。
私の心は傷つき、たましいは絶望にあえいでいます。
私がひどく背いたからです。
外に出ると、剣が待ち伏せし、
家にいても、病気と死が私を捕らえて放しません。
21 私のうめきを聞いてください。
助けてくれる者はどこにもいません。
敵は私が苦しんでいるのを聞きました。
彼らは、主が私に罰を加えたと知って、
喜んでいます。
しかし主よ。お約束どおり、
彼らも私と同じ目に会う時が来るはずです。
22 主よ、彼らの罪にも目を留め、
あなたが私に下したのと同じ罰を
彼らにも下してください。
私はため息をくり返し、
私の心はしおれきっているのです。
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