Bible in 90 Days
20 モーセは答えました。「よくわかった。今言ったとおり武装し、 21 主が敵を追い払うまでヨルダン川の向こう側で戦いに加わるなら、 22 征服を終えしだい戻ってよい。それで主と他の部族に対する責任は果たしたことになる。主はヨルダン川のこちら側の土地を下さるだろう。 23 しかし約束を破ったなら、主に罪を犯すのだから、必ず罰せられる。 24 さあ、言ったとおり町を建て、羊を飼う柵を作りなさい。」
25 「すべて命令どおりにいたします。 26 子ども、妻、羊、牛は、このギルアデの町に残りますが、 27 兵役に就いている者は全員、おっしゃるとおり主のために戦います。」
28 モーセはこれを承知し、エルアザル、ヨシュア、族長たちに言いました。 29 「ガド族とルベン族のうち兵役に就いている者が、いっしょにヨルダン川を渡り、神様のために戦う。だから征服し終えたら、このギルアデの土地を与えてやりなさい。 30 しかし、いっしょに行こうとしなかったら、あなたがたと同じように、ヨルダン川の向こう側のカナンに土地を持たせるのだ。」
31 これに答えるように、ガド族とルベン族の者は、口をそろえて誓いました。「主のご命令どおりにいたします。 32 武装して、カナンの地へまいります。ただ相続する所有地は、ヨルダン川のこちら側の土地を頂きたいのです。」
33 そこでモーセは、エモリ人の王シホンとバシャンの王オグの領土を、ガド族とルベン族、それにヨセフの子マナセの半部族に割り当てました。
34-36 ガド族が建てたのは次の町です。ディボン、アタロテ、アロエル、アテロテ・ショファン、ヤゼル、ヨグボハ、ベテ・ニムラ、ベテ・ハラン。以上はみな、城壁を巡らし、羊を飼う柵のある町です。
37-38 ルベン族が建てた町は次のとおりです。ヘシュボン、エルアレ、キルヤタイム、ネボ、バアル・メオン、シブマ。この中の幾つかは、再建した時に新しい名をつけました。
39 一方、マナセ族のうちのマキル族がギルアデを征服し、エモリ人を追い出したので、 40 モーセはそこを彼らに与えました。 41 また、やはりマナセ族であるヤイル族は、ギルアデの村を幾つも占領し、ハボテ・ヤイルと名前を変えました。 42 さらにノバフという男がケナテと周辺の村を攻め落とし、自分の名にちなんで、その地域をノバフと名づけました。
エジプトを出てからの旅の記録
33 以下は、イスラエルの民が、モーセとアロンに導かれてエジプトを出てからの旅の記録です。 2 モーセは主の命令によって、旅の経過を記しておいたのです。
3-4 過越の祭りの晩の翌日、つまり第一月の十五日に、彼らはエジプトの町ラメセスを出発しました。エジプト人は、前の晩、主に打ち殺された長男たちの埋葬に忙しく、手が出せません。そんな彼らをしり目に、イスラエルの民は大手を振って出発しました。イスラエルの神は、エジプトのすべての神々にさばきを下したのです。
5-7 ラメセスを出てから、スコテ、荒野の端にあるエタム、ミグドル山のふもとのバアル・ツェフォンに近いピ・ハヒロテに野営を続けました。 8 そこから紅海の真ん中を通り、三日間エタムの荒野を進んで、マラに野営しました。
9 マラの次はエリムでした。そこには、泉が十二もあり、なつめやしの木が七十本も茂っていたので、しばらくとどまりました。
10-11 エリムを発ったあと、紅海のほとり、続いてシンの荒野に野営しました。
12-14 次に、ドフカ、アルシュと進んで、レフィディムへ行きましたが、そこには飲み水がありませんでした。
15-37 レフィディムからシナイの荒野に向かい、さらにキブロテ・ハタアワまで行きました。
このあと、ハツェロテ、リテマ、リモン・ペレツ、リブナ、リサ、ケヘラタ、シェフェル山、ハラダ、マクヘロテ、タハテ、テラ、ミテカ、ハシュモナ、モセロテ、ベネ・ヤアカン、ホル・ハギデガデ、ヨテバタ、アブロナ、エツヨン・ゲベル、ツィンの荒野のカデシュ、エドムの国境にそびえるホル山へと旅を続けました。
38-39 そこまで来た時、祭司アロンは主の命令でホル山に登り、山の上で息を引き取りました。ちょうど、エジプトを出てから四十年目の第五月の一日のことでした。百二十三歳でした。
40 この時、カナン人でネゲブに住むアラデの王は、イスラエル人がカナンの国を目指して進んで来ているということを耳にしました。 41-44 王は戦いを挑みましたが、結局はイスラエルが勝ちました。このあとホル山を出発し、ツァルモナ、プノン、オボテ、モアブの国境イエ・ハアバリムと野営を重ね、 45-47 さらにディボン・ガド、アルモン・ディブラタイム、ネボ山に近いアバリムの山地へと進み、 48 ついに、エリコに近いヨルダン川の東に広がるモアブ平原まで来たのです。 49 そこにいる間は、ヨルダン川に沿ってベテ・ハエシモテからアベル・ハシティムまでの、いろいろな場所に野営しました。
偶像礼拝への警告
50-51 その平原で、主はモーセに人々への命令を伝えました。「ヨルダン川を渡ってカナンの地に入ったら、 52 住民をことごとく追い払い、偶像をみな破壊しなければならない。石像も鋳像も、丘の上にある礼拝所もすべてだ。 53 わたしがその地を与えたのだから遠慮はいらない。自分の国にして、どんどん住みつきなさい。 54 土地は部族の大きさに合わせて分ける。広い土地は大きい部族の間で、狭い土地は小さい部族の間でくじ引きするのだ。 55 言うとおりに住民を追い払わないと、あとで問題が起こる。残った者たちが、目に入ったごみや、わき腹にささったとげのように、絶えず悩みの種となる。 56 そればかりでなく、わたしは彼らを滅ぼそうとしたように、今度はあなたがたをそうするだろう。」
国境線と土地分割の指示
34 1-2 主はまた、人々への命令をモーセに伝えました。「カナンの地に入ったら、イスラエルの国境は次のようになる。
3-4 南はエドムに接するツィンの荒野までで、その国境線は、死海からアクラビム峠を通ってツィンに向かう。最南端はカデシュ・バルネアで、そこからハツァル・アダル、アツモンと進み、 5 エジプト川に沿って地中海に至る。
6 西は地中海の海岸線が国境である。
7-9 北は、地中海から東に向かって延び、ホル山、レボ・ハマテ、ツェダデ、ジフロン、ハツァル・エナンを結ぶ線が国境となる。
10-12 東の国境線は、ハツァル・エナンからシェファムを通って、アインの東方のリブラまで南に下る。そこからは大きく半円を描き、初めは南へ、それから西へ進み、ガリラヤ湖の南端をかすめてヨルダン川を下り、死海に至る。
13 これがイスラエルの全土である。これを九部族と半部族とで、くじを引いて分ける。 14-15 ルベン族とガド族とマナセの半部族は、ヨルダン川の東側、エリコの向かいに当たる土地を所有することに決まっている。」
16-28 さらに主は命じました。「土地を分けるときは、祭司エルアザル、ヌンの子ヨシュア、それに各部族の代表に監督させなさい。代表者は次のとおりである。
ユダ族はエフネの子カレブ、シメオン族はアミフデの子サムエル、ベニヤミン族はキスロンの子エリダデ、ダン族はヨグリの子ブキ、マナセ族はエフォデの子ハニエル、エフライム族はシフタンの子ケムエル、ゼブルン族はパルナクの子エリツァファン、イッサカル族はアザンの子パルティエル、アシェル族はシェロミの子アヒフデ、ナフタリ族はアミフデの子ペダフェル。
29 以上が、各部族に土地を割り当てる際の代表者である。」
レビ族の町
35 次のことばも、ヨルダン川のほとりに広がるモアブ平原に野営している時、主がモーセに伝えたものです。 2 「それぞれの所有地から、幾つかの町と放牧地をレビ族に与えるよう、人々に命じなさい。 3 彼らにも住む場所と、牛や羊など家畜を飼う土地が必要となる。 4 町の城壁から外側に向かって回り四百四十メートルの範囲を放牧地としなさい。 5 そうすれば、町の中心から境界線までの距離は、東西南北とも八百八十メートルということになる。 6 レビ族に与える町は、過って人を殺した者が逃げ込める、避難用の六つの町のほかに四十二だ。 7 全部で四十八の町を、放牧地も含めて与えることになる。 8 町は、大きい部族からは多く、小さい部族からは少しというふうに、全土の各地から選ぶ。」
避難用の町
9-10 次もまた、主からモーセへの命令です。「カナンの地に入ったら、 11 避難用の町を幾つか指定するように言っておきなさい。過って人を殺した者がそこへ逃げ込むためだ。 12 そうすれば、被害者の家族も容易に復讐はできない。裁判で有罪と決まるまでは、たとえ人殺しでも死刑にはできない。 13-14 そのような町をカナンに三つ、ヨルダン川の東側に三つ、全部で六つ選びなさい。 15 イスラエル人だけでなく、外国人や旅行者でも、過って人を殺したときはいつでも、この町に逃げ込んでよい。
16 しかし、鉄の道具で人を打ち殺したときは明らかに殺人罪だから、犯人は死刑だ。 17 大きな石を使った場合も殺人罪で死刑。 18 たとえ木製でも武器を使ったら、やはり殺人罪とみなされる。 19 被害者のために復讐したければ、自分で手を下してもかまわない。犯人に出会ったら殺してもよい。 20 憎しみに燃えて物を投げつけたり、待ち伏せして襲いかかったり、 21 怒りに狂ってなぐりつけたりして人を殺した場合は、明らかに殺人罪だから、犯人を処刑してもかまわない。
22-23 しかし、過失の場合はそうではない。わざと物を投げたのでも、怒って石を投げたのでもなく、投げた本人が人に当てようなどとは夢にも考えず、人を殺そうと思ったわけでもないのに、たまたまそれが当たって人が死んだ場合は、 24 事故かどうかよく調べなさい。その結果によって、加害者を復讐者に引き渡すかどうかを決めるのだ。 25 事故だとはっきりしたら、加害者を保護しなければならない。その時の大祭司が死ぬまで、彼は避難用の町に住むことになる。 26 ただし、彼が勝手に避難用の町を出、 27 町の外で復讐者に殺されたときは別である。それは殺人罪にはならない。 28 大祭司が死ぬまで町の中にいなければならないのに、勝手に町を出たからだ。大祭司が死んだら、いつでも国へ帰れる。 29 このおきては永遠に変わらない。
30 殺人犯はみな死刑だが、証人が二人以上いる場合に限る。一人だけでは死刑にできない。 31 殺人罪には代償はきかない。必ず死刑に処せられる。 32 また、大祭司が死ぬ前に家へ帰りたいと保釈金を積んでも、避難用の町から出ることはできない。 33 こうして、自分たちの土地が汚れるのを防ぐのだ。殺人で流された血は土地を汚す。それをきよめるには、殺人犯を死刑にするしかない。 34 これから行く地は、わたしもいっしょに住むのだから、このようなことで汚したりしないよう、くれぐれも注意しなさい。」
相続人が女性である場合の規定
36 1-2 ヨセフの子の一人、マナセの部族から出たマキル族に、ギルアデという一族がありました。その代表者が、モーセとイスラエルの指導者たちに訴えました。「主は私たちに、領地をくじ引きで分けるようにとお命じになりました。実は、そのことでちょっと気になることがあります。親類のツェロフハデの相続地の件ですが、確か娘たちに土地を分けるようにとのことでしたが、 3 どうしたものでしょうか。もし彼女たちが他の部族の者と結婚したら、土地までその部族のものになり、その分だけギルアデ族の土地は減ってしまいます。 4 そうなったら、負債が免除されるヨベルの年が来ても戻りません。」
5 そこでモーセは、この問題をはっきりさせるため、主の指示を伝えました。「ギルアデ一族の訴えはもっともだ。 6 だから、ツェロフハデの娘の件はこうしなさい。彼女たちは同族の者と結婚すること。 7 それなら、土地が他の部族に移ることもない。相続地はいつまでも、最初にくじで決めたとおりのままにしておかなければならない。 8 どの部族でも、娘が相続人となる場合は、必ず同族の者と結婚しなさい。 9 こうすれば、相続地が他の部族のものになる心配はない。」
10 ツェロフハデの娘たちは、主の命じたとおりにしました。 11-12 マフラ、ティルツァ、ホグラ、ミルカ、ノアの五人は、ヨセフの子マナセの部族の者と結婚したので、相続地はそのまま残りました。
13 以上が、エリコに近いヨルダン川の対岸にあるモアブ平原で、イスラエルの人々が宿営していた時、主がモーセを間に立て、人々に伝えた命令とおきてです。
序文
1 1-5 この書は、モーセがヨルダン川の東、モアブ平原のアラバ渓谷でイスラエルの人々に向けて語った時の記録です。当時、イスラエルの人々はそこに宿営していましたが、付近にはスフ、パラン、トフェル、ラバン、ハツェロテ、ディ・ザハブなどの町がありました。この時、ホレブ山(シナイ山)を出発してから四十年目の第十一月の一日(太陽暦二月十五日)でした。ホレブ山のふもとからカデシュ・バルネア〔約束の地パレスチナの南端〕までは、セイルの山地を通れば、普通なら歩いても十一日ほどで来られます。それはともかく、ヘシュボンでエモリ人の王シホンを、エデレイに近いアシュタロテでバシャンの王オグを打ち破ったあとのことでした。ここにたどり着くまでの間、主はいろいろな律法(教えと定め)をモーセを通して伝えましたが、それを全部まとめて、もう一度、モーセが説明し直したのです。
ホレブ山出発の命令
6 「皆さん、今からちょうど四十年前、主がホレブ山でこう言われたのを覚えていますか。『もうこれ以上、ここにいる必要はない。 7 向きを変えて出発しなさい。エモリ人の山地、アラバ渓谷、ネゲブ、カナンとレバノンの全土、つまり地中海からユーフラテス川までの全地域を占領するのだ。 8 わたしが与えると言うのだから、大胆に入って行きなさい。そこは、昔あなたがたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブおよびその子孫に必ず与えると約束した地だからだ。』
指導者たちの任命
9 あの時、私はあなたがたにこう訴えました。『私一人では、これから先、とても全員の面倒を見きれない。どうしても助け手がいる。 10 主があなたがたを、星の数ほどに増やしてくださったからだ。 11 それどころか、お約束どおり今の千倍にもしてくださる。 12 こんなに大ぜいでは、もめごとや問題もたくさん起こるだろう。とても一人ではさばききれない。 13 そこで頼みたいのだが、各部族から、人生経験が豊かで知恵もあり、物事のよくわかる者を選んでくれないか。その者たちを指導者に任命しよう。』
14 みんなが賛成してくれたので、 15 私は彼らを助け手として任命しました。一番上に千人の者を指導する長を置き、その下にそれぞれ百人、五十人、十人の者の世話をする長を置いたのです。彼らはめいめい、自分の管理のもとにある人々のもめごとを解決したり、必要な世話をしたりすることになりました。 16 当然ですが、いつでも、だれに対しても、たとえ外国人でも決して差別をせず、あくまで正しくふるまうように言いました。 17 『決定を下すとき、金持ちの肩をもってはいけない。身分の高い者も低い者も同じように正しく扱いなさい。神様の代わりにさばくのだから、人の不平不満を恐れることはない。手に負えない事件は、私のところに持ってくれば処理しよう。』
18 あの時、私はほかにもいろいろと指示しました。
民の不信仰
19-21 それからホレブ山を発って、恐ろしく果てしない荒野を旅し、主の守りのもとにエモリ人の山地に着きました。そしてついに、約束の地との境にあるカデシュ・バルネアまで行ったのです。あそこで私はあなたがたに、『主がこの国を下さったのだから、ご命令どおり前進して占領しなさい。恐れたり疑ったりしてはいけない』と告げました。 22 これに対してあなたがたは、『まず偵察隊を送り込もう。一番攻めやすい町から占領したほうがいい』と提案したのです。 23 もっともなので、各部族から一名ずつ、全部で十二名を選びました。 24-25 彼らは山地に潜入し、エシュコルの谷まで行くと、その地のくだものを持ち帰りました。それを見て、主の下さる地が実に良い地であることがはっきりわかりました。 26 ところが、あなたがたは神様の命令に逆らい、前進したくないと言いだしたのです。 27 そして、天幕(テント)の中でぶつぶつ不平を言いました。『主はきっと、私たちがお嫌いなんだ。だから、わざわざエジプトから連れ出し、エモリ人の手にかけて殺そうとしておられるのだ。 28 どうしよう。偵察隊の報告では、彼らは背が高く、力もあり、町の城壁は恐ろしく高いというではないか。そのうえ、アナク人の子孫の巨人を見たとも言っていた。考えるだけでもぞっとする。』 29 そこで私は反論しました。『恐れることはない。 30 私たちの神、主が先頭に立って戦ってくださる。主は、エジプトでは奇跡を行い、 31 その後も父親のように気を配り、荒野の旅を安全に守ってくださったことを忘れたのか。』
32-33 しかし、何を言ってもむだでした。それまでいつも共にいて、野営するのに最適の場所を選び、夜は火の柱、昼は雲の柱の中にいて進む道を教えてくださった主を、あなたがたは信じようとしなかったのです。
34-35 これには主もお怒りになりました。そのため、当時すでに大人だった者は一人も約束の地に入れなくなりました。 36 ただ、エフネの息子カレブは別です。主に従い通したほうびに、自らが偵察して潜入した地の一部を相続地として与えられることになったのです。
37 不信仰な者たちのために私でさえ主の怒りを買い、こう言い渡されました。『あなたは約束の地には入れない。 38 代わりに、あなたに仕えているヌンの子ヨシュアが指導者となる。その準備ができるように彼を励ましてやりなさい。 39 約束の地は、荒野で死ぬ者の子どもたちに与えよう。 40 決してあなたがたのものにはならない。だから、向きを変えて荒野の道を紅海の方へ戻りなさい。』
41 するとあなたがたは、今度はあわてて罪を告白し始めたのです。『お赦しください。私たちが悪かったのです。ご命令どおり、その国に攻め入ります。』そう言うと、簡単に全地を征服できるとでも思ったのか、あたふたと武装し始めました。 42 しかし主は、私にはっきり言われました。『やめさせなさい。わたしがいっしょにいないのに無謀なことをしたら、ひどい目に会うだけだ。』 43 ところが、その警告は聞き入れられず、あなたがたはまたもや主の命令に背いて、山地に攻め入ったのです。 44 案の定、結果はさんざんでした。エモリ人の返り討ちに会い、逆にセイルからホルマのあたりまで激しく追撃されてしまったのです。 45 逃げ帰ったあなたがたは主に泣きつきましたが、主は耳を傾けようとはなさいませんでした。 46 こうして、長い間カデシュにとどまることになったのです。
北へ
2 そのあと私たちは、主の告げられたとおり荒野を通って、紅海の方に戻りました。それから、長らくセイル山のあたりをさまよったあげく、 2 ようやく主のおことばを頂いたのです。 3 『ここにはもう、とどまらなくてよい。北へ行きなさい。 4 これからエドム人の国を通る、とみなに知らせなさい。エドム人は、ヤコブの兄でセイルに住みついたエサウの子孫に当たり、あなたたちとは同族だが、ひどく神経をとがらせているから、くれぐれも注意が必要だ。 5 間違っても戦いをしかけてはいけない。セイルの山地はみな、わたしが永遠の領地として彼らに与えたからだ。ほんの一部でもあなたがたに与えるつもりはない。 6 食糧や水が必要なときは、金を払って買いなさい。 7 この四十年間、わたしが守り、祝福していたからこそ、あなたがたは果てしもない荒野をさまよいながらも、不自由なく過ごせたのだ。』
8 そこで私たちは、同族のエドム人が住むセイルをあとにし、南のエラテ、エツヨン・ゲベルに至るアラバ街道を横切って北へ向かい、モアブの荒野へと旅を続けました。 9 すると主は、『モアブも攻撃してはいけない。そこはロトの子孫のものだ。あなたがたに与えるつもりはない』と警告されたのです。 10 ――モアブには以前、アナクの巨人と同じように背の高いエミム人が大ぜい住んでいました。 11 エミム人もアナク人と同じようにレファイム人だと考えられていたのですが、モアブ人は彼らをエミム人と呼んだのです。 12 それより以前、セイル地方にはホリ人が住んでいましたが、追い出され、エサウの子孫のエドム人が代わって住みつきました。ちょうど、イスラエル人がカナン人を追い出し、その地に住みついたようにです。―― 13 『さあ、ゼレデ川を渡りなさい』と主に命じられ、私たちは従いました。 14-15 こうしてみると、カデシュに着いてからゼレデ川を渡るまで、実に三十八年もかかったことになります。それというのも三十八年前、すでに成人し、戦いに出られるようになっていた者が死に絶えるまでそうはならないと、主が誓われたからです。そのおことばどおり彼らは全員、罪の報いを受けました。
16-17 そして、待ちに待った主のおことばがありました。 18 『今日、モアブの領土、アルを通って、 19 アモン人の国へ入りなさい。ただし、そこはロトの子孫のもので、そこをあなたがたに与えるつもりはないから、戦いをしかけてはいけない。』 20 ――その地にも以前、アモン人がザムズミム人と呼んだレファイム人が住んでいました。 21 アナク人のように背が高く強大な民でしたが、アモン人に侵略されたのです。主が彼らを滅ぼされたので、アモン人が替わって住みつきました。 22 同じように主は、今セイル山に住むエサウの子孫のために、先に住んでいたホリ人を滅ぼされました。 23 ガザにまで及ぶ地方の村々に散在していたアビム人をカフトル人が侵略し、滅ぼした時も同じです。――
ヘシュボンの王シホンとの戦い
24 続けて、主はお語りになりました。『アルノン川を渡り、ヘシュボンの王、エモリ人シホンの国を攻め取りなさい。 25 今日から、天下のあらゆる民はあなたがたを恐れ、あなたがたが来ると聞いただけで震え上がるだろう。わたしが彼らを怖がらせるからだ。』
26 そこでまず、ケデモテの荒野からヘシュボンの王シホンに使者を送り、和平を申し入れました。 27 『あなたの国を通らせてください。わき道にそれたり畑に入ったりはせず、ただ街道をまっすぐ進みます。 28 途中で食糧を盗んだりもしません。食糧や水を分けてもらったら、代金をきちんとお払いします。ただ通らせていただくだけです。 29 セイルのエドム人や、アルを首都としているモアブ人は、彼らの国を通らせてくれました。私たちはヨルダン川を渡り、私たちの神、主が下さると言われた国へ行く途中なのです。』
30 ところが、ヘシュボンの王シホンはこれを断りました。今日見るとおり、王をあなたがたの手で滅ぼそうと、主が強情を張らせたのです。 31 そのあと、主は私に、『さあ、シホン王の国を与えよう。遠慮なく占領するがいい。そこは永遠にイスラエルのものだ』と約束なさいました。
32 シホン王は宣戦を布告し、ヤハツに軍隊を集めました。 33-34 しかし主の助けで、私たちは彼を負かしました。町という町はすべて占領し、男も女も赤ん坊さえも打ち滅ぼし、 35-36 家畜以外、生き残ったものはありませんでした。家畜は分捕り物とし、ほかにも戦利品を奪い取って引き揚げました。アルノン渓谷のアロエルやその他の町々をはじめ、ギルアデまでの全地を占領したのです。主が下さった町々ですから、向かうところ敵なしでした。 37 ただし、アモン人の国、ヤボク川、山地の町々など、主のお許しがない所には近づきませんでした。
バシャンの王オグとの戦い
3 1-2 次に行ったのは、バシャンの王オグの国です。ここでもまた、王は直ちに軍隊を出し、エデレイで戦いをしかけて来ました。しかし、少しも恐れることはありませんでした。主が、『この国も民も、あなたがたのものだ。ヘシュボンのエモリ人の王シホンと同じ目に会わせるがいい』と励ましてくださったからです。 3 そのとおり、私たちは彼らを全滅させ、 4 バシャンのアルゴブ地域にある六十の町を占領しました。 5 どの町も、高い城壁とがっちりした門で守りを固めてありました。ほかに城壁のない町も奪いました。 6 ヘシュボンの王シホンの国と同じようにバシャンの国を全滅させ、男も女も子どもも、一人残らず打ったのです。 7 ただし、家畜と戦利品は分捕り物としました。
8 こうして、エモリ人の二人の王を滅ぼし、ヨルダン川の東側に広がる、アルノン渓谷からヘルモン山までの全地域を占領したのです。 9 ――なお、ヘルモン山のことをシドン人はシルヨンと呼び、エモリ人はセニルと呼んでいました。―― 10 高原にあるすべての町、ギルアデの全土、サルカからエデレイまでのバシャンの町々は、私たちのものになりました。 11 ――バシャンの王オグは、巨人レファイムの最後の生き残りでした。彼が使ったベッドがアモン人の町ラバの博物館に保存されていますが、鉄製で、長さがなんと四メートル半、幅は一・八メートルもあります。――
ヨルダン川東地区の分配
12 さて、征服したバシャンの国は、ルベン族、ガド族、マナセの半部族に与えました。ルベン族とガド族には、アルノン川のアロエルのほかギルアデの山地の半分と町々を、 13 マナセの半部族には、ギルアデの山地の残り半分とオグ王の国のアルゴブ地域全部です。――バシャンはレファイムの国と呼ばれることもあります。―― 14 マナセ族から出たヤイル族は、ゲシュル人とマアカ人の国境までのアルゴブ地域全体を取り、彼らの名にちなんで、現在のようにハボテ・ヤイル〔「ヤイルの村」の意〕と変えました。 15 ギルアデはマキルのものになりました。 16 ルベン族とガド族に与えられたのは、ギルアデからアルノン渓谷の中ほどまで、北はアモン人との国境ヤボク川までの地域、 17 それにアラバ〔荒れ地〕です。つまり、西の境をヨルダン川に接し、キネレテの海からピスガ山、塩の海〔別名アラバの海〕までの地域です。
約束の国を占領せよ
18 その時、私は、これらの三部族に注意しました。主は確かにその土地を下さるが、兵士たちはみな武装し、ほかの部族の先頭に立ってヨルダン川を渡り、約束の国を占領するまで、そこに住みつくことはできない、と。 19-20 『ただし、女と子どもはここに住んでもよい。家畜の世話をしながら、戦いに出た者の帰りを待つのだ。ヨルダン川の向こう側にある約束の地を征服し、ほかの部族の土地を確保したら、自分たちの所へ帰ってよい。』
21 私はヨシュアに、命じました。『よいか、あなたは主があの二人の王になさったことをよく見ただろう。同じことを、ヨルダン川の向こう側のすべての国にもするのだ。 22 あなたがたの神、主が戦ってくださるから、敵を恐れるな。』
モーセの懇願
23-25 そして、主に必死でお願いしました。『ああ主よ、お願いでございます。どうか、ヨルダン川の向こうに広がる約束の地に入らせてください。あのなだらかな山地、豊かな土地、そして美しいレバノン山脈を見せてください。これまであなたの偉大なみわざを見せていただいてきましたが、最後にその結実を見たいのです。そのようなすばらしいことのできるお方は、あなたのほかにはいません。』
26 しかし主は、どうしてもそれをお聞き入れくださいませんでした。私がこのような怒りをこうむったのも、あなたがたのためです。主は言われました。『もう、そのことは言ってはならない。 27 ただ、ピスガ山の頂上から四方を見渡せるので、登って行って約束の地を眺めるがいい。けれどもヨルダン川を越えることは、断じて許さない。 28 あなたに代わってヨシュアを任命する。人々を率いて約束の地に入るのは彼だから、彼を励ましてやりなさい。』
29 こうして私たちは、ベテ・ペオルの近くの谷間にとどまっていました。
従順の勧告
4 ところで皆さん、生きて約束の地に入り、自分のものにしようと思うなら、これから教えるおきてと定め(律法)を注意深く聞き、そのとおり守りなさい。 2 ほかのものを加えたり、勝手に削ったりしてはいけない。神の教えなのだから、何も言わず、忠実に従いなさい。 3 主が偶像バアル・ペオルになさったことを見たでしょう。そんな偽りの神を拝んだ者はみな、罰せられて死んでしまいました。 4 しかし、主に忠実だった者たちは、今もまだ元気です。 5 いいですか、これから住もうとしている地へ行ったら、このおきてと定めをきちんと守りなさい。これは主からじきじきに示されたもので、あなたがたに伝えるようにと言われたのです。 6 これを守れば、知恵のある賢明な国民だと評判になるでしょう。回りの国々がこれを知ったら、『イスラエル人ほど賢明な国民はいない』と驚くに違いありません。
7 呼べば必ずそばにいてくださる、私たちの主のような神を信じている国はほかにはありません。 8 どんなに偉大な国でも、今日私が教えるような正しいおきてと定めをもつ国はありません。
9 気をつけなさい。神様がしてくださったことを忘れてはいけません。これから先もずっと、神のなさったみわざを思い出しなさい。子どもにも孫にも、すばらしいみわざについて話してやりなさい。 10 特に、ホレブ山(シナイ山)で主の前に立った日のことは大事です。その時、主は私にこう言われました。『人々を集めなさい。わたしを大切にし、わたしのことばを子どもたちに教えられるように、まずわたしが、彼らに聞かせよう。』 11 あなたがたはふもとに立っていましたが、山には黒雲が垂れ込めて真っ暗で、赤々と火に包まれ、炎は天を焦がしていました。 12 その時、炎の中から主の声が聞こえたのです。お姿は全く見えません。 13 そこで主は、行うべきこととして十戒をお示しになり、それを二枚の石板に記されました。 14 そして、それをあなたがたに与えるよう私に命じられたのです。約束の地へ行ったら、そのとおり守らなければなりません。
偶像礼拝の禁止
15 気をつけなさい。その日ホレブ山で、神が炎の中からお語りになった時、その姿は見なかったのです。 16-17 ですから、神の像を造ってはいけません。そんなことをしたら、正しい信仰をなくしてしまいます。どんな像も造ってはいけません。男だろうが女だろうが、あるいは動物、鳥、 18 地をはう小さな動物、魚だろうが、絶対にいけません。 19 また、太陽、月、星などを拝むのもいけません。外国人は大目に見られても、あなたがたはそうはいきません。 20 あの牢獄のようなエジプトから救い出し、ご自分の民として宝物のように大切に守ってくださったのは主だからです。 21-22 しかし、よくないこともありました。あなたがたのことで私は主の怒りを買い、ヨルダン川を渡って約束の地へ行けなくなったのです。あなたがたは、あのすばらしい地を与えられますが、私はヨルダン川を渡れずに死ななければなりません。 23 神である主が結んでくださった契約をあなたがたのほうから破らないよう、くれぐれも注意しなさい。偶像を造ることは重大な契約違反です。 24 主はご自身に背く者を激しく憎み、焼き尽くす火のように徹底的に罰するお方です。
25 この先、あの地に定住し、子や孫が生まれてから悪を行い、正しい信仰を捨てて偶像を造りでもしたら、主はお怒りになり、 26 あなたがたはすぐさま滅ぼされるでしょう。もうすぐヨルダン川を渡り、あの地を征服しますが、もしそんなことがあれば、どれほども住まないうちに、あなたがたは滅びうせます。 27 生き残るのはほんの一握りで、その者たちも国々に散らされます。 28 あなたがたは、やがてその国々で、見ることも、聞くことも、食べることも、においをかぐこともできない、木や石の偶像を拝むようになるのです。
29 しかし、あなたがたがもう一度、主を慕い求めるなら、必ず主を見いだせるでしょう。 30 苦しい時を過ごしたあと、ついに主のもとへ立ち返り、その教えに従うようになります。 31 主は思いやりのあるお方ですから、あなたがたを見捨てたり、滅ぼしたりはなさいません。先祖たちへの約束は必ず果たしてくださいます。
32 神が地上に人間をお造りになって以来、このようなことがあったかどうか調べてみなさい。 33 全国民が、おそれ多くも炎の中から語られる神の声を聞き、なお生き長らえている民がほかにいるでしょうか。 34 あるいは、恐ろしい疫病や目をみはるような奇跡を起こし、激しい戦いに勝って国々を恐れさせ、奴隷となった国民を救い出した神がほかにいますか。私たちの神は、まさにそのとおりのことをエジプトで、あなたがたの目の前でなさったのです。 35 ご自分こそほんとうの神であり、ほかに神はいないことをわからせるためです。 36 天からの声、地に燃え上がる巨大な火の柱、炎の中から語られる神の声、何もかも驚くことばかりでした。
37 神はあなたがたの先祖に目をかけ、その子孫を祝福しようとお決めになりました。だからこそ、あのような大いなる力をもって、あなたがたをエジプトから救い出されたのです。 38 そればかりでなく、あなたがたよりはるかに強い民を追い出し、現在のように、その国々の領土をあなたがたのものとしてくださいました。 39 だから、これだけは忘れないようにしなさい。天にも地にも、この主のほかに神はいないことを。 40 主が下さる地で子々孫々幸せに暮らしたいなら、今日、私が告げる律法を守りなさい。」
避難用の町
41 このあとモーセは、ヨルダン川の東にある三つの町を特別に選んでおくように命じました。 42 過って人を殺した者が逃げ込むための町です。 43 町は、ルベン族の領地からは荒野の高地にあるベツェル、ガド族の領地からはギルアデにあるラモテ、マナセ族の領地からはバシャンにあるゴランが選ばれました。
律法の前置き
44-46 次に記すのは、イスラエルの人々がエジプトを出て、ヨルダン川の東、ベテ・ペオルの町の近くに宿営していた時、モーセが彼らに語った律法です。そこは以前エモリ人の領地で、首都をヘシュボンに置き、シホン王が治めていましたが、モーセとイスラエルに滅ぼされたのです。 47 イスラエルはさらに、ヨルダン川の東側に勢力を張る、もう一人のエモリ人の王オグを滅ぼし、バシャンを征服しました。 48 こうして、アルノン渓谷沿いの町アロエルからシーオン山、またの名をヘルモン山に至る全地域、 49 つまり、ヨルダン川の東側全域とその南に広がるアラバの全域、ピスガ山の傾斜地のふもとにある塩の海までを征服したのでした。
十戒
5 モーセはイスラエル人を呼び集めて言いました。「さあ、私の語る律法をよく聞きなさい。それを正しく理解し、きちんと守るのです。 2-3 いいですか、私たちの神、主はホレブ山(シナイ山)で、あなたがたと契約を結ばれました。私たちの先祖とではなく、今ここにいる一人一人とです。 4 その時、主は炎の中からじきじきにお語りになりました。 5 あまりのことにあなたがたは震え上がり、だれ一人、山に登って主のもとへ行こうとしなかったので、私が行って主のおことばを聞き、それをあなたがたに伝えたのです。そのおことばはこうでした。
6 『わたしは、エジプトでの奴隷生活からあなたを救い出した、あなたの神、主である。
7 わたしのほかは、どんなものも神として拝んではならない。
8 決して偶像を造ってはならない。鳥でも動物でも魚でも、どんな像も造ってはならない。 9-10 それらを拝んでもならない。どのような方法で礼拝してもならない。あなたがたの神は、このわたしだけだ。わたしはねたみ深いから、わたしとほかの神を同時に愛することは許さない。わたしの罰は、わたしを憎む者の子ども、孫、ひ孫までも及ぶ。しかし、わたしを愛し、わたしの命令を守る者には、千代に至るまでも恵みを与えよう。
11 実行するつもりもないのに、むやみにわたしの名を使って誓ってはならない。そのようなことをしたら必ず罰せられる。
12 主の定めた安息日を特別の日として守りなさい。 13 すべての仕事は六日のうちにすませなさい。 14 七日目はあなたの神、主の安息の日だから、その日は一日、人も家畜も仕事をしてはならない。外国人も、ここでいっしょに住んでいる限り、この戒めを守る義務がある。すべての人が休むのだ。 15 安息日を守るのは、エジプトで奴隷にされていたあなたを、主であるわたしが力強い手を差し伸べて救い出したことを忘れないためである。
16 あなたの両親を尊敬しなさい。そうすれば、主であるわたしが与える国で、長く幸せな一生を送ることができる。
17 人を殺してはならない。
18 姦淫してはならない。
19 盗んではならない。
20 うそをついてはならない。
21 隣人の家をうらやんではならない。隣人の妻に情欲を燃やしたり、家、土地、使用人、牛、ろば、そのほか何でも、隣人の持ち物を欲しがったり、持ち主をねたんだりしてはならない。』
22 暗雲の垂れ込めるシナイ山でこれらのことばを、主は炎の中からあなたがた一人一人に告げられました。主はそれを二枚の石板に記して私に下さいました。 23 ところが、あなたがたはどうしたでしょう。暗闇にとどろく主の声を聞き、山頂に燃え上がる無気味な火を見ると、恐ろしさのあまり震え上がったではありませんか。族長たちは私のところへ駆けつけ、 24 必死に訴えました。『私たちの神、主がどんなにすばらしいお方か、よくわかりました。何しろ、炎の中からお語りになったのですから。しかも、その声を聞いても、私たちはこうして生きています。 25 ですが、もう一度こんなことがあったら、その時はきっと助からず、恐ろしい火で焼き殺されてしまうでしょう。 26-27 炎の中から語られる神の声を聞いたら、ただではすみませんから。お願いですから、あなたが代表で聞きに行ってください。どんなことを言われても、そのとおりにします。』
28 主はそれを聞き、こう言われました。『みなの気持ちはわかった。願いどおりにしよう。 29 わたしの命じるとおりにすると言うが、いつもそのような心がけでいてくれたらどんなにうれしいだろう。そうすれば彼らばかりか、子々孫々に至るまで、何の心配もなく幸せに生きられる。 30 さあ、帰って、めいめいの天幕へ戻るように言いなさい。 31 そのあとでもう一度、わたしのところへ来て命令を聞き、人々に伝えなさい。わたしが与える国で、それをみな守るのだ。』」
32 そこでモーセは人々に命じました。「主の戒めをすべて守りなさい。どんな細かな点もきちんと守りなさい。何もかも、主が定められたとおりに行うのです。 33 そうして初めて、約束の地に入ってから末長く幸せに暮らせるのです。
神を愛せよ
6 もうすぐ約束の地へ入りますが、そこに住みついたら、すべての戒めを守りなさい。主がそう命じておられるのです。 2 あなたがたには、子々孫々に至るまで主を大切にし、生涯その教えを忠実に守ってほしいからです。そうすれば、いつまでも幸せに生きられます。 3 だから、少しも聞きもらさないよう気をつけ、一つ一つの戒めを注意深く守りなさい。そうすれば、神が先祖たちに約束されたとおり、乳とみつの流れる地で大きな民になるでしょう。
4 いいですか、私たちの神は主おひとりです。 5 だから、心を尽くし、たましいを尽くし、力を尽くして主を愛しなさい。 6 今日与えるこれらのことばを、一時も忘れてはいけません。 7 子どもたちにも、しっかり覚えさせなさい。家にいるとき、外を歩いているとき、寝る前、朝起きたとき、いつでもまず第一に暗唱させるのです。 8 忘れないように手に結び、額につけ、 9 家の門柱に記しなさい。
10-12 あなたがたの神、主が先祖アブラハム、イサク、ヤコブに約束された地を下さった日には、そこにある良い物はみな、あなたがたのものになります。町、井戸、ぶどう園、オリーブ畑が、自分で作ったわけでもないのに与えられるのです。しかし、いくら豊かになり、何不自由なく食べられるようになっても、主を忘れてはいけません。あのエジプトでのみじめな奴隷生活から救い出してくださったのは主です。 13 満ち足りたときにこそ、主を大切にし、心からお仕えしなさい。また、その方以外のどんな名にかけても誓わないようにしなさい。
14 外国の神々を拝んではいけません。 15 あなたがたとともにおられる主はそれをお赦しになりません。怒りをもって、あなたがたを一人残らず滅ぼしてしまうかもしれません。
16 マサであなたがたは不平を言って、主の怒りを買いましたが、何とか赦していただくことができました。もう二度と主を試みてはなりません。 17 主の命令には、どんなことでも進んで従いなさい。 18 でなければ、決して「よし」とは言ってくださいません。事がうまくいき、約束の地を占領できるかどうかは、心から主にお従いするかどうかにかかっているのです。 19 主の助けさえあれば、敵を追い出すことぐらい、わけはありません。
20 いつか息子たちが、『どうして神様は、このような教え(律法)を私たちに与えたのですか』と尋ねたら、 21-22 こう答えてあげなさい。『私たちイスラエル人は昔、エジプトで王の奴隷だった。その私たちを、主はとても考えられないような奇跡を起こして、そこから助け出してくださったのだ。その大いなるわざに、王をはじめエジプト中の人々が驚き、震え上がるのを、私たちはこの目ではっきり見た。 23 そんなにまでしてエジプトから助け出したのも、先祖への約束どおり、この地を私たちに与えるためだった。 24 だからこそ主は、これらの律法を守り、主を大切にするようにお命じになったのだ。そうすれば、これから先もずっと神様のお守りがある。 25 神様の律法に従っているならば、私たちはすべてがうまくいくのだよ。』
滅ぼすべき国々
7 まもなく約束の地に入りますが、主が共におられるので心配はありません。あなたがたよりずっと強大な国も、主の相手ではありません。ヘテ人の国をはじめ、ギルガシ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の国々は、七つとも滅ぼされます。 2 主がそうなさるのだから、徹底的に戦いなさい。こざかしい取り引きをしたり、あわれみをかけたりせず、敵を一掃するのです。 3 ましてや、彼らとの結婚などもってのほかです。息子や娘たちとも結婚させてはいけません。 4 外国人と結婚させたら、外国の神々を拝むようになるかもしれないからです。そうなれば取り返しがつきません。主の怒りを買って、あなたがたまで滅ぼされてしまいます。 5 異教の祭壇や石の神殿や柱は取り壊し、神々の偶像も切り倒して焼き払いなさい。 6 あなたがたは、主にささげられた聖なる国民だからです。地上のあらゆる国々の民の中から選ばれ、主のものとされたのです。
7 主がこんなに目をかけられたのはなぜでしょう。あなたがたが、ほかのどの国よりも大きな民だったからでしょうか。そうではありません。それどころか、世界中で最も小さな民です。 8 にもかかわらず、主はあなたがたを愛し、先祖への約束を果たされるのです。ただそのためにこそ、驚くべきみわざを行い、エジプトの奴隷だったあなたがたを助け出してくださったのです。
9 このように主は誠実なお方なので、約束されたことは千代のちまでも守り、主を愛し、命令を守る者に最善のことをしてくださいます。 10 しかし、主を憎む者にはそうではありません。みなの見ている前で一人一人罰せられ、打ち滅ぼされます。 11 だから、今日命じることをみな守りなさい。
12 素直に従えば主も、私たちの先祖と結んだ恵みあふれる契約を守ってくださいます。 13 あなたがたを愛し祝福して、大きな民にしてくださるのです。約束の地で、あなたがたは裕福になります。家畜はどんどん増え、土地も肥えているので、小麦、ぶどう、オリーブが豊かに実ります。 14 世界中のどの国よりも祝福されることは確かです。一人として子どもに恵まれない者はなく、家畜も次々と子を産みます。 15 すべての病気はなくなり、エジプトでよく悩まされた疫病もなくなります。反対に、敵が疫病に苦しめられることでしょう。
16 念を押しますが、主が滅ぼせと言われた国は、みな滅ぼし尽くさなければなりません。決してあわれみをかけてはいけません。その国の神々を拝んではいけません。それは悲惨な結果を招くだけです。 17 『自分たちより強い国を征服できるだろうか』と心配になるかもしれません。 18 しかし、恐れることはありません。そんな時は、主がエジプトの王と国になさったことを思い出しなさい。 19 あの、エジプト中を巻き込んだ恐怖、すばらしい奇跡、とても考えられないような不思議な出来事を忘れてはいないでしょう。あれだけのことをしてあなたがたをエジプトから助け出された方に、できないことは何もありません。あなたがたの親は自分の目でそれを見ました。だとしたら、今あなたがたが恐れている国に対しても、主は同じようになさいます。 20 そればかりか、あなたがたの目を逃れた者へもくまばち(神への恐れ)を送り、追い払われるのです。
21 偉大な、恐るべき力を持った主が共におられるので、恐れることはありません。 22 主は敵を一度に全部ではなく、少しずつ、徐々に追い払われます。さもないと、急に野の獣が増えて危険だからです。 23 あせらず、しかも着実に攻め取りなさい。 24 主がその国の王を負かしてくださるのです。彼の名が二度と思い出されないように完全に滅ぼしなさい。だれ一人、あなたがたに刃向かえる者はありません。
25 偶像を焼き払いなさい。それにかぶせてある金や銀に心を奪われてはいけません。あなたの神、主は偶像をとても憎まれるので、そんなものを分捕ったら、自分が罠にかかるだけです。 26 さらに、偶像を家に持ち込んだりすれば、そんなことをしたが最後、死をもって罰せられます。のろわれた偶像は心底から憎みなさい。
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