テモテへの手紙Ⅰ 1-4
Japanese Living Bible
1 私たちの救い主である神と、唯一の希望である主イエス・キリストによって遣わされた使徒パウロから、 2 テモテへ。あなたは信仰の面から言えば、私の息子のようなものです。どうか、父なる神と主イエス・キリストの恵みとあわれみによって、あなたの心と思いが豊かな平安で満たされますように。
まちがった教えを正す
3-4 私がマケドニヤ(ギリシヤ北部の州)に出発する際、指示しておいたように、あなたは引き続きエペソの教会にとどまり、まちがった教えを言い広めている者の口を封じてください。彼らの作り話や伝説、また、むなしい系図論争を終わらせなさい。このような教えは、信仰によって救われるという神のご計画を妨げるばかりか、かえって、さまざまの疑問と議論を巻き起こすもとになります。 5 私がひたすら願い求めるのは、すべてのクリスチャンが純粋な愛の心を持ち、その思いがきよめられ、信仰が強められることです。 6 しかし、まちがった教えを広める教師たちは、それを見失い、議論やくだらない話で時間をつぶしています。 7 彼らは、律法の教師としての名声を得たがるのですが、律法の本質を少しもわかっていないのです。
8 律法は、神の御心にかなって用いられるなら良いものです。 9 しかし、神に救われた私たちのためのものではありません。それは律法を無視し、神を憎み、神を汚すことばを吐き、父母に逆らい、人殺しをする罪人のためにあるのです。 10-11 律法は、不道徳で不潔な者たち、すなわち、同性愛にふける者、子どもを誘拐する者、うそをつく者、そのほか健全な教えにそむく者の罪を指摘するためにあるのです。そのことは、祝福に満ちた栄光の福音と合致しており、私はその福音を伝える務めをゆだねられました。
12 私は、主キリスト・イエスに、どれほど感謝したらよいかわかりません。主は私をこの務めにつかせ、忠実に奉仕する者と認めてくださいました。 13 以前の私は、キリストの名をあざけり、主を信じる者たちを追い回し、あらゆる方法で迫害しました。しかし主は、そんな私さえ、心にかけてくださったのです。その時はまだ、キリストを知らず、自分のしていることの恐ろしさもわからなかったからです。 14 主は、なんと恵み深いお方でしょう。どのように主に信頼すべきか、どうしたらキリスト・イエスの愛に満たされるかを教えてくださったのです。 15 「キリスト・イエスは、罪人を救うためにこの世に来てくださった」ということばは真実で、そのとおり受け入れるべきものです。私は、その罪人の中でも筆頭格の人間です。 16 それにもかかわらず、神は私をあわれんでくださいました。キリスト・イエスは、どうにも手がつけられない罪人に対してさえ寛容を示して、私のような者を選ばれたのです。それによって、だれでも永遠のいのちを持つ希望が与えられるのです。 17 どうか、永遠の王であり、決して死ぬことのない、目には見えない、ただひとりの神に、栄光と誉れがいつまでもありますように。アーメン。
18 私の子テモテよ。あなたに命じます。主が預言者(神のことばを託されて語る人)たちを通して言われたように、主のための戦いをりっぱに戦い抜きなさい。 19 キリストを信じる信仰を、しっかり守りなさい。また、正しいと思うことは進んで行い、いつも良心に恥じない歩みをしなさい。悪いことと知りながら、良心に逆らって、あえてそれを行う人がいますが、神をないがしろにするような人がたちまちキリストへの信仰を失ったとしても、少しも不思議はありません。 20 ヒメナオとアレキサンデルの二人は、その悪い見本です。私は彼らを罰するために、悪魔の手に引き渡さざるをえませんでした。それは、キリストの名を辱しめてはならないことを、身をもって学ばせるためです。
すべての人のために祈る
2 さて、次のことを勧めます。すべての人のために、神のあわれみが注がれるよう熱心に祈り、とりなしなさい。そして、やがて彼らにも恵みが与えられると信じて、感謝しなさい。 2 また、すべての重い責任を負っている人たちのために祈りなさい。それは、私たちが主を深く思いながら、平安のうちに落ち着いた一生を過ごすためです。 3 そうするのはたいへん良いことで、救い主である神に喜んでいただけることです。 4 神はすべての人が救われて、真理を理解するに至ることを切に望んでおられます。 5-6 その真理とはこうです。神と人間とは、それぞれ別の岸に立っています。そして、人となられたキリスト・イエスがその間に立ち、ご自分のいのちを全人類のために差し出すことによって、両者の橋渡しをされたのです。これこそ、時が至って、神が私たちに示された教えにほかなりません。 7 この真理、つまり、救いは信仰によって与えられるという神の計画を外国人に伝えるために、私は伝道者また使徒として選ばれました。これは、うそ偽りのない事実です。
8 そこで勧めます。男は、怒ったり恨みをいだいたりせずに、どこででも、きよい手を上げて祈りなさい。 9-10 同じように女も、控え目な服装と態度で、品位を保つように心がけなさい。神を敬う女は、はでな髪形や宝石、高価な衣装によってではなく、良い行いとやさしいふるまいによって自分を飾りなさい。 11 女は、静かに、謙遜な心で教えを聞き、また学ぶべきです。 12 女が男にものを教えたり、権力をふるったりするようなことがあってはなりません。女は、教会の集会では黙っていなさい。 13 なぜなら、神は最初にアダムを、そのあとでエバをお造りになったからです。 14 アダムは悪魔にだまされませんでしたが、エバはだまされ、罪を犯してしまいました。 15 そこで神は、女に子を産む時の苦しみをお与えになったのです。しかし、もし女が慎み深く、信仰と愛ときよさを持って生活するなら、そのたましいは救われます。
牧師と執事の資格
3 「人がもし牧師になりたいと願うなら、それはすばらしいことである」ということばは真実です。 2 牧師になる人は、非難されるところがなく、一人の妻の夫で、勤勉で思慮深く、折り目正しい生活をしている人であるべきです。また、客をよくもてなし、聖書を教える力がなければなりません。 3 酒飲みでも、乱暴者でもなく、やさしく親切で、金銭に執着がなく、 4 子どもたちをしつけ、よく家庭を治める人でなければなりません。 5 自分の小さな家庭すら治めきれない人が、どうして神の教会を指導できるでしょう。 6 また、牧師となる者は、クリスチャンになってまだ日の浅い人ではいけません。高慢になる危険性があるからです。高慢は堕落の前ぶれです。 7 また、教会外の人からも、評判の良い人でなければなりません。非難を受けて、悪魔のわなにはまらないためです。
8 教会の執事も、牧師と同じように、善良でまじめな人でなければなりません。大酒飲みや、不正な利益をむさぼる人でなく、 9 キリストに真心から仕える人でなければなりません。 10 ですからまず、その人柄や能力を見定めるため、教会で何かほかの仕事をさせてみなさい。それで、非難される点がないなら、執事として任命しなさい。 11 執事の妻〔または婦人執事〕も、思慮深く、陰口をきかず、自分を制し、すべてに忠実な人でなければなりません。 12 執事は、一人の妻の夫で、家族のだれからも慕われる円満な家庭の主人であるべきです。 13 執事の務めをりっぱに果たす人は、人々から尊敬され、また主への信仰の確信を強められて、二重の報いを受けることになります。
14 私は、近いうちに、そちらを訪問したいと思いながらこの手紙を書いています。 15 もしその訪問がしばらく実現しなくても、神が生き生きと働かれる教会のために、どのような行動をすべきかを、あなたに知ってもらいたいのです。教会は真理を明らかにし、また真理を守り支えるところだからです。 16 敬虔を保つことは、決してなまやさしいものではありませんが、その秘訣はキリストのうちにあるのです。
「キリストは人として地上に来られ、
その霊は汚れなく、
きよらかであることが証明され、
天使たちに仕えられ、
諸国民の間に宣べ伝えられ、
至る所で信じられ、
再び栄光のうちに天に引き上げられたのです。」
自分の信仰を訓練する
4 しかし、聖霊がはっきりと予告されたように、終末の時代には悪霊の教えを広める教師が現れ、教会の中からも、キリストから離れてその熱心な弟子になる者が出ます。 2 そのような教師は平気でうそをつき、しかもそれを何度もくり返すので、良心が完全にまひしています。 3 彼らは結婚を禁じたり、肉を食べることを禁じたりします。しかし食物は、神が私たちに喜び楽しむようにと備えてくださったものです。 4 神がお造りになったものはみな良い物で、感謝して受ければ、何一つ捨てる必要はありません。 5 神のことばと感謝の祈りによって、きよめられるからです。
6 このことを、ほかの人たちにはっきり教えなさい。そうすれば、あなたは牧師の義務をりっぱに果たしたことになるのです。牧師は、自らの信仰と、従ってきた真理の教えとによって成長するのです。 7 愚かな理論や作り話の議論で、むだな時間を費やしてはなりません。むしろ、時間と労力とを有効に使って、いつも霊的に高められるよう自分を訓練しなさい。 8 体の訓練も大いにけっこうですが、霊の訓練はさらに大切であり、あらゆる行動の原動力になるのです。ですから、あなたは霊の訓練に励み、もっとすぐれたクリスチャンを目指しなさい。そうすることは、今の地上の生活のためだけでなく、未来の生活にも役立つからです。 9 これは、万人に共通の真理です。 10 この真理を人々が信じるように、私たちは多くの苦しみに会いながらも一心に励んできました。それは私たちが、生ける神に希望を託しているからです。神はすべての人のために、特にその救いを受け入れた人たちのために、死んで復活されたお方なのです。 11 これらのことを、どんな人にも十分理解できるように教えなさい。
12 年が若いからといって、軽く見られてはいけません。かえって人々の模範になりなさい。あなたが、ことばと態度によって教えていることを、人々にも実行させなさい。愛、信仰、純潔の良い模範を示しなさい。 13 私がそちらに行くまで、教会で聖書を朗読し、その内容を教え、神のことばを伝えなさい。
与えられた能力を生かす
14 あなたが任職に当たって教会の長老たちの按手(頭に手を置いて祈る)を受けた時、神が預言を通して与えてくださった聖霊の賜物(神の恵みによって一人一人に与えられたもの)を大切にしなさい。 15 それを十分に活用して、今の仕事に全身全霊、打ち込みなさい。そうすれば、あなたの進歩と向上がすべての人に明らかになるでしょう。 16 自分自身と教えることに、いつも気をつけなさい。正しいことには、あくまでも忠実でありなさい。そうすれば、神はあなたを祝福し、他の人たちを助けるのに役立つ者としてくださいます。
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