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ヨブのことば

ヨブの返答。
「ああ、この悲しみと苦しさの重さを
量ることができたらよいのに。
まるで海辺の砂を千倍にもしたような重さなのだ。
だから、思わず激しいことばを吐いてしまったのだ。
主は弓矢で私を狙いうちにした。
その毒矢は心臓深く突き刺さった。
神からの恐怖は隊列を組んで私に襲いかかる。
そのたびに、身のすくむような思いがする。
5-7 野ろばが鳴くのは、草がないからだ。
飼い葉のあるうちは、牛もおとなしくしているものだ。
食べ物に塩気がなければ、人は苦情を言う。
生卵の白身ほどまずいものはない。
見るだけで食欲がなくなり、
食べるところを想像するだけで吐き気がする。
8-9 ああ神よ、もうたくさんです。
どうか死なせてください。
死ねば、この痛みから解放されます。
10 私は神のことばを一度だって拒まなかった。
そのことは、この苦しい拷問の中での
せめてもの慰めだ。
11 なぜ、まだ生きる力が残っているのだろう。
息を引き取る瞬間まで、このまま我慢できようか。
12 私は石のように感覚がないというのだろうか。
私の肉体は、真鍮でできているとでもいうのだろうか。
13 もう何の希望もない。
天涯孤独の身となり果ててしまった。
14 気落ちした友には、親切にすべきではないか。
それなのに、あなたは神を少しも恐れず、
私を責め立てるばかりだ。
15-18 あなたが砂漠の川のように
頼りにならないことはよくわかった。
雪や氷があるうちは水があふれるが、
夏の盛りには干上がってしまう。
川を目あてに、隊商はわざわざ脇道をして来るが、
一滴の水もないのであえない最期を遂げる。
19-21 テマとシェバの隊商は、
水を求めてそこに来るが、
望みは無残にも砕かれる。
あなたへの期待も、同じように裏切られた。
あなたは私を見て怖がり、後ずさりした。
救いの手を伸ばしてはくれなかった。
22 いったいなぜなのだ。
これまで私が、一度でも頼み事をしたことがあるか。
何かをくれるように言ったこともない。
23 助けを仰いだこともない。
24 私はただ、道理にかなった返事をしてほしいだけだ。
それが聞けたら、もう何も言うことはない。
だから教えてくれ。
いったい私が、どんな悪いことをしたというのか。
25-26 真実を言われれば、だれでも胸に響くものだ。
ところが、あなたの批判にはまるで根拠がない。
一時の感情にかられ、
絶望的なことばをはいたというだけで、
私を責めるのか。
27 それでは、身寄りのない孤児を傷つけ、
友を売るのと同じではないか。
28 私の目をまともに見てくれ。
私があなたの前でうそをつくような人間に見えるか。
29 勝手に私に罪があると考えるのはやめてくれ。
私は潔白なのだ。
どうか正しい判断をしてほしい。
30 私に善悪の区別ぐらいつけられないとでも言うのか。
もし落度があるなら、
気づかないはずがないではないか。