マタイの福音書 26
Japanese Living Bible
ユダの裏切り
26 イエスはこれらのことを話し終えると、弟子たちに言われました。
2 「あなたがたも知っているように、あと二日で過越の祭りが始まります。いよいよ、わたしが裏切られ、十字架につけられる時が近づいたのです。」
3 ちょうどそのころ、大祭司カヤパの家では、祭司長やユダヤ人の指導者たちが集まり、 4 イエスをひそかに捕らえて殺そうという相談のまっ最中でした。 5 しかし、「祭りの間は見合わせたほうがよいだろう。群衆の暴動でも起こると大変だから」というのが、彼らの一致した意見でした。
6 さて、イエスはベタニヤへ行き、ツァラアトの人シモンの家にお入りになりました。 7 そこで食事をしておられると、非常に高価な香油のつぼを持った女が入って来て、その香油をイエスの頭に注ぎかけました。
8 それを見た弟子たちは、腹を立てました。「なんてもったいないことを! 9 売ればひと財産にもなって、貧しい人たちに恵むこともできたのに。」
10 イエスはこれを聞いて言われました。「なぜ、そうとやかく言うのですか。この女はわたしのために、とてもよいことをしてくれたのです。 11 いいですか。貧しい人たちならいつも回りにいますが、わたしはそうではありません。 12 今、この女が香油を注いでくれたのは、わたしの葬りの準備なのです。 13 ですから、この女のことは、いつまでも忘れられないでしょう。そして御国のすばらしい知らせが伝えられる所ならどこででも、この女のしたことも語り継がれるでしょう。」
14-15 このことがあってから、十二弟子の一人、イスカリオテのユダが祭司長たちのところへ来て、「あのイエスをあなたがたに売り渡したら、いったい、いくらいただけますか」と聞きました。こうして、とうとう彼らから銀貨三十枚を受け取ったのです。 16 この時から、ユダはイエスを売り渡そうと機会をねらい始めました。
17 過越の祭りの日、すなわち種なしパン(イースト菌を入れないで焼くパン)の祭りの最初の日に、弟子たちが来て、イエスに尋ねました。「先生。過越の食事は、どこですればよろしいでしょうか。」
18 「町に入って行くと、これこれの人に会います。その人に言いなさい。『私どもの先生が、「わたしの時が近づいた。お宅で弟子たちといっしょに過越の食事をしたい」と言っております。』」 19 弟子たちはイエスの言われたとおりにして、夕食の用意をしました。
20 その夕方、十二弟子といっしょに食事をしている時、 21 イエスは、「あなたがたのうちの一人が、わたしを裏切ろうとしています」と言われました。
22 これを聞いた弟子たちはひどく悲しみ、口々に、「まさか私のことではないでしょうね」と尋ねました。
23 「わたしといっしょに鉢に手を浸している者が裏切るのです。 24 わたしは預言のとおりに死ななければなりません。だが、わたしを裏切るような者はのろわれます。その人は、むしろ生まれなかったほうがよかったのです。」 25 ユダも、何げないふりをして尋ねました。「先生。まさか私ではないでしょう。」「いや、あなたです。」イエスはお答えになりました。
26 食事の最中に、イエスは一かたまりのパンを取り、祝福してから、それをちぎって弟子たちに分け与えました。「これを取って食べなさい。わたしの体です。」
27 またぶどう酒の杯を取り、感謝の祈りをささげてから、弟子たちに与えて言われました。「みな、この杯から飲みなさい。 28 これは新しい契約を保証するわたしの血、多くの人の罪を赦すために流される血です。 29 よく言っておきますが、やがて父の御国で、あなたがたといっしょに新しく飲む日まで、わたしは二度とぶどう酒を飲みません。」
30 このあと、一同は賛美歌を歌うと、そこを出て、オリーブ山に向かいました。
31 その時、イエスは弟子たちに言われました。「今夜あなたがたはみな、わたしを見捨てて逃げるでしょう。聖書に、『わたしが羊飼いを打つ。すると羊の群れは散り散りになる』(ゼカリヤ13・7)と書いてあるからです。 32 しかし、わたしは復活して、もう一度ガリラヤに行きます。そこであなたがたに会います。」
33 「たとえ、みんながあなたを見捨てようと、この私だけは絶対に見捨てたりしません」と訴えるペテロに、 34 イエスは言われました。「はっきり言いましょう。あなたは今夜鶏が鳴く前に、三度、わたしを知らないと言います。」
35 しかしペテロは、「死んでも、あなたを知らないなどとは申しません」と言い、ほかの弟子たちも、口々に同じことを言いました。
苦しみ祈るイエス
36 それからイエスは、弟子たちを連れて、木の茂ったゲツセマネの園に行かれました。そして弟子たちに、「わたしが向こうで祈っている間、ここに座って待っていなさい」と言い残し、 37 ペテロと、ゼベダイの子ヤコブとヨハネだけを連れて、さらに奥のほうへ行かれました。その時です。激しい苦悩と絶望がイエスを襲い、苦しみもだえ始められました。
38 「ああ、恐れと悲しみのあまり、今にも死にそうです。ここを離れずに、わたしといっしょに目を覚ましていなさい。」
39 三人にこう頼むと、イエスは少し離れた所に行き、地面にひれ伏して必死に祈られました。「父よ。もしできることなら、この杯を取り除いてください。しかし、わたしの思いどおりにではなく、あなたのお心のままになさってください!」
40 それから、弟子たちのところへ戻って来られると、なんと、三人ともぐっすり眠り込んでいるではありませんか。そこで、ペテロを呼び起こされました。「起きなさい、ペテロ。たったの一時間も、わたしといっしょに目を覚ましていられなかったのですか。 41 油断しないで、いつも祈っていなさい。さもないと誘惑に負けてしまいます。あなたがたの心は燃えていても、肉体はとても弱いのですから。」
42 こうしてまたイエスは、彼らから離れて、祈られました。「父よ。もし、この杯を飲みほさなければならないのでしたら、どうぞ、あなたのお心のままになさってください。」
43 イエスがもう一度戻って来られると、三人はまたもや眠り込んでいました。まぶたが重くなって、どうしても起きていられなかったのです。 44 イエスは、三度目の祈りをするために戻り、前と同じ祈りをなさいました。
45 それからまた、弟子たちのところに来て、「まだ眠っているのですか。目を覚ましなさい。時が来ました。いよいよ、わたしは悪い者どもに売り渡されるのです。 46 立ちなさい。さあ、行くのです。ごらんなさい、裏切り者が近づいて来ます」と言われました。
47 イエスがまだ言い終わらないうちに、十二弟子の一人ユダがやって来ました。彼といっしょに、ユダヤ人の指導者たちが差し向けた大ぜいの群衆も、手に手に剣やこん棒を持っていました。 48 彼らの間では、ユダがあいさつする相手こそイエスだから、その人物を捕まえるように、前もって打ち合わせがしてありました。 49 それで、ユダはまっすぐイエスのほうへ歩み寄り、「先生。こんばんは」と声をかけ、さも親しげにイエスを抱きしめました。
50 イエスが、「ユダよ。さあ、おまえのしようとしていることをしなさい」と言われた瞬間、人々は飛びかかり、イエスを捕らえました。
51 その時、イエスといっしょにいた一人が、さっと剣を抜き放つと、大祭司の部下の耳を切り落としました。
52 ところが、イエスは彼を制して言われました。「剣をさやに納めなさい。剣を使う者は、自分もまた剣で殺されるのです。 53 わからないのですか。わたしが願いさえすれば、父が何万という天使を送って、わたしを守ってくださるのです。 54 しかし、もし今そんなことをしたら、こうなると書いてある聖書のことばが実現しないではありませんか。」
55 そして今度は、群衆に向かって言われました。「剣やこん棒で、これほどものものしく武装しなければならないほど、わたしは凶悪犯なのでしょうか。わたしが毎日神殿で教えていた時には、何の手出しもしなかったではありませんか。 56 いいですか、こうなったのはすべて、預言者たちのことばが実現するためです。」
この時、弟子たちはみな、イエスを見捨てて逃げ去りました。
57 暴徒たちは、イエスを大祭司カヤパの家に引っ立てました。ちょうど、ユダヤ人の指導者たちが一堂に集まり、今や遅しと待ちかまえているところでした。 58 一方、ペテロは遠くからあとをつけて行き、大祭司の家の中庭にもぐり込みました。そして兵士たちにまじって、イエスがどんなことになるのか見届けようとしました。
59 そこには、祭司長たちやユダヤの最高議会の全議員が集まり、なんとかイエスを死刑にしようと、偽証する者を捜していました。
60 ところが、偽証する者は多かったのですが、その証言がみな食い違っているのです。そうこうするうちに、ようやく、格好の証人が現れました。二人の男が進み出て、 61 「この男は、『神殿を打ちこわして、三日の間に建て直すことができる』と言っていました」と証言したのです。
62 大祭司はここぞとばかりに立ち上がり、イエスに問いただしました。「さあ、黙っていないで答えたらどうだ。ほんとうにそんなことを言ったのか。それとも言わなかったのか。」 63 それでもなお、イエスは黙っていました。大祭司は続けました。「生ける神の御名によって命じる。あなたは神の子キリストなのかどうか。さあ、はっきり答えてみなさい。」
64 イエスはお答えになりました。「あなたの言ったとおりです。あなたがたは、やがてメシヤ(救い主)のわたしが、神の右の座につき、雲に乗って来るのを見るでしょう。」
65 これを聞いた大祭司は、即座に着物を引き裂き、大声で叫びました。「冒瀆だ! 神を汚すことばだ! これだけ聞けば十分だ。さあ、みんなも聞いたとおりだ。 66 この男をどうしよう。」
一同はいっせいに叫びました。「死刑だ、死刑にしろ!」
67 そうして、イエスの顔につばをかけたり、なぐったりしました。またある者は、イエスを平手で打ち、 68 「おい、キリストなんだろ。当ててみろ。今おまえを打ったのはだれだ」とからかいました。
ペテロ、イエスを否認する
69 一方、ペテロは中庭に座っていましたが、一人の女中がやって来て、「あら、あなたイエスといっしょにいた人じゃないの。二人ともガリラヤの人でしょう」と話しかけました。
70 ところがペテロは、「人違いだ。変な言いがかりはよしてくれ」と大声で否定しました。
71 まずいことになったと、ペテロが急いで出口のほうへ行きかけると、また別の女中に見つかりました。女中は回りの人たちに、「この人もナザレから来たイエスという人といっしょだったわ」と言いました。
72 ペテロはあわててそれを打ち消し、その上、「断じて、そんな男は知らない」と誓いました。
73 ところが、しばらくすると、近くにいた人たちが彼のところへ来て、口々に言い始めました。「いや、おまえは確かにあの男の弟子の一人だ。隠してもむだだ。そのガリラヤなまりが何よりの証拠だ。」
74 たじたじとなったペテロは、「そんな男のことなど、絶対に知らない。これがうそなら、どんな罰が下ってもかまわない」と言いだしました。するとすぐに、鶏の鳴く声が聞こえました。 75 その瞬間、ペテロは、はっとわれに返りました。「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うでしょう」と言われたイエスのことばを思い出したからです。ペテロは外へ駆け出して行くと、胸も張り裂けんばかりに激しく泣きました。
マタイ 26
Japanese Bible: Easy-to-Read Version
イエスを殺す計画
(マルコ14:1-2; ルカ22:1-2; ヨハネ11:45-53)
26 話を終えたイエスは、自分の弟子だけに向かって口を開いた。 2 「明後日は過越だ。その日、人の子は十字架で殺されるために敵の手に渡る」
3 一方その頃・・・「うまく殺す手立てはないのですか?」大祭司カヤパの家では祭司長たちや長老たちが集まり、 4 人に見られることなくイエスを逮捕し、殺す方法はないものかと話し合う会議が行われていた。 5 彼らは言った。「ちっ、祭りの最中にイエスを捕まえることはできません。民衆の怒りを買い、暴動が起きるでしょうからね」
イエスを敬う女性
(マルコ14:3-9; ヨハネ12:1-8)
6 イエスはベタニヤの村に住む、重い皮膚病患者シモンの家を訪れていた。 7 そこに一人の女が入ってきた。その手には石膏で出来た壺があった。その壺には、純粋なナルド油で作られた非常に高価な香油が入っていた。すると、女は食事をするイエスの頭に香油を注いだ。
8 女の大胆な行動に弟子たちはカンカン。彼らは言った。「もったいない! 9 売れば、貧しい人たちを助けることもできたというのに!」
10 しかし、イエスが言った。「やめろッ!俺のためによくしてくれたっていうのになぜ彼女を責める? 11 貧しい人たちはいつも身近にいる。彼らを助けることはいつだってできるが、俺はいつまでも一緒にいるわけじゃない・・・ 12 彼女は俺のために最善をつくし、俺の埋葬に備えて体に香油を注いでくれたんだ。 13 約束する、最高な知らせが世界中に広まるとともに、彼女がした事が世界に知れ渡る!彼女の行為は永遠に忘れられない!」
イエスの敵に加担するユダ
(マルコ14:10-11; ルカ22:3-6)
14 その後、12弟子の1人であるイスカリオテ人のユダは、なぜか1人で祭司長たちのもとへと向かっていく・・・ 15 彼は言った。「イエスをあなた達の手に引き渡しましょう!ただそれに対する報酬は・・・?いくらだ?」銀貨30枚をユダに手渡した祭司たち。 16 それからのユダはイエスと共にいながらも、脳裏ではイエスを引き渡すチャンスをうかがっていた。
過越の食事
(マルコ14:12-21; ルカ22:7-14, 21-23; ヨハネ13:21-30)
17 さて、酵母菌なしパン祭りの初日、【種なしパン:酵母を入れないパン】イエスの弟子たちがイエスを尋ねに来た。「過越の食事を用意したいんですが、食事はどちらで調達しましょう?」
18 イエスは答えた。「町へ行って、俺の知人のもとを訪れろ。そしたら、『神が俺のために定めた時は近い。弟子と一緒にあなたのところで過越しの食事をとる』と伝えるんだ」 19 イエスに言われた通り行動した弟子たちは、過越しの食事の準備をした。
20 夕方になり、イエスは12弟子と楽しく過越しの食事をしていた。 21 彼らが食事をしていると、イエスが言った。「今、食事を共にしているうちの1人が、俺を敵の手に引き渡す!」
22 「なッ!」イエスの言葉を聞いて、弟子たちに衝撃が走った。そして弟子がみな口を揃えてこう言った。「先生、絶対に俺じゃないよ!」
23 イエスは答えた。「俺と同じ器にパンをひたしている者・・・俺を裏切るのは、その男だ・・・ 24 人の子は聖書にあるとおりこの世を去る。しかし、人の子を裏切って敵の手に渡し、死に追いやられるほど無残な者はいない!彼はいっそのこと生まれてこない方がましだった」
25 「先生!もちろん、私ではないですよね?」ユダが尋ねた。
イエスが答えた。「いや、お前だ!」
最後の晩餐(聖餐式)
(マルコ14:22-26; ルカ22:15-20; 1コリント11:23-25)
26 それから、食事を続けるイエスはパンを取ると、神に感謝を捧げてからパンを裂き、弟子たちに配った。「このパンは俺の体、さぁ、取って食べるんだ」
27 次に、ワインの入った1つの杯を取り、神に感謝を捧げると、同じように弟子たちにその杯を渡した。「みんな、この杯から飲んで、次へと回すんだ・・・ 28 このワインは、多くの人の過ちを赦し、神と人が新しい契約を結ぶために流される俺の血だ。 29 神の王国で新しくなったワインを飲むその日まで、俺がワインを口にすることはない」
30 それから、神を讃えて声を大にして歌い、オリーブ山へと向かった。
イエスを否定するペテロについて
(マルコ14:27-31; ルカ22:31-34; ヨハネ13:36-38)
31 イエスは弟子たちに言った。「今夜、お前たちが俺に抱く信頼は崩れる。聖書にこうある。
『わたしが羊飼いを殺す。
そして、羊は走って逃げる』
32 だが、俺が殺された後、俺は死から復活し、ガリラヤ地方へ行く。そこでお前たちを待つ!」
33 ペテロが答えた。「たとえ、他の誰があなたを見捨てようとも、俺が持つあなたへの信頼は絶対だ!」
34 イエスが答えた。「真実はこうだ。今夜お前は俺を知らないと言う。
雄鶏が鳴く前に三度、お前は俺を拒絶する」
35 すると、ペテロは言った。「俺がイエスを拒絶する?とんでもない!!俺はイエスの為なら死ぬ覚悟だってできてんだッ!」他の弟子も続けざまに同じようなことを言ったのだった。
1人で祈りにいくイエス
(マルコ14:32-42; ルカ22:39-46)
36 イエスと弟子たちがゲツセマネと呼ばれる場所に行くと、「祈ってくるから、ここに座っていてくれ」 37 イエスは弟子たちにそう告げたが、ペテロとゼベダイの2人の息子には一緒に来いと言った。・・・イエスは思い悩み、悲しみ始めた。 38 「悲痛のあまり、心が張り裂けそうだ。眠らずに、ここで待っていてくれ・・・」イエスはペテロとゼベダイの息子2人にそう告げた。
39 その後、イエスは少しだけ離れて、その場にひれ伏して祈り始めた。「お父さん・・・俺がこの苦しみの杯を飲まなくても、すむようにしてほしい・・・だけど・・・俺の思いじゃなく、お父さんの思いのままにしてくれ」 40 そしてイエスが、弟子たちのもとへ戻ると、「zzZ・・・」弟子たちは寝ているではないか。イエスはペテロを見て言った。「おい、お前たちは1時間たりとも共に起きていられないのか! 41 目を覚まして、誘惑に陥らない力を祈り求めるんだ。霊は正しくありたくても、体は弱いのだから」
42 イエスはもう一度その場を離れ、祈りのために向かっていった。「お父さん!この苦しみの杯が俺に与えられ、逃げ道もないのなら、どうかあなたの思い通りになるように」
43 イエスが弟子たちのもとに戻ってくると、またも睡魔に負けた3人が寝ているではないか。 44 イエスは彼らをそのままにし、またその場を離れて同じことを祈った。
45 さぁ、3度目の正直。イエスが戻ってくると3人は寝息を立てている。イエスは諦め、ため息をついた。「まだ寝てるのか・・・人の子が闇の手に落ちる時が来た。 46 立て!時は満ちた。裏切り者のご登場だ」
逮捕されるイエス
(マルコ14:43-50; ルカ22:47-53; ヨハネ18:3-12)
47 イエスが話し終わらないうちに12弟子の1人イスカリオテ人のユダが、剣やこん棒を持った武装集団をしたがえてイエスに近づいてきた。彼らは祭司長や掟の学者、また長老たちに派遣されたグループだった。 48 「いいか、俺が口づけの挨拶をする人を捕まえるんだ」イエスを裏切った弟子は、あらかじめ武装集団にイエスを見分けるためのサインを伝えていた。 49 「あ、先生!」ユダは笑顔でイエスに近づくと、口づけの挨拶をしながら、心の中で不気味な笑みを浮かべていた。
50 イエスが答えた。「友よ、目的を果たすがいい」
イエスが答えると、武装集団はイエスを捕えて押さえつけた。 51 その時!・・・スパっ・・・イエスの弟子の一人が剣を引き抜き、勢いよく振りかざした。ぼとッ・・・地面に落ちたのは大祭司の遣いの者の耳だ。
52 イエスが弟子に言った。「剣をしまえ!剣を抜く者は剣で死ぬ! 53 俺がお父さんに求めれば、何万という天使の軍を送ってくれることぐらいわかるだろう! 54 しかし、それでは聖書にあることが全うされない。つまり、起こるべきして起きているということだ」
55 続けてイエスはこう言った。「なぜ犯罪者を捕まえるかのように、剣やこん棒を持ってきた?わたしは逃げも隠れもせず、毎日、神殿で教えていたじゃないか。なぜそのときに捕まえない? 56 まあいい、聖書で預言者が記したことがすべて全うされるために起きたまでだ」その後、イエスの弟子はみなイエスを置き去りにして走って逃げていったのだ。
宗教指導者たちの前にいるイエス
(マルコ14:53-65; ルカ22:54-55, 63-71; ヨハネ18:13-14, 19-24)
57 イエスを捕まえた武装集団は、イエスを大祭司カヤパの家に連行した。そこには掟の学者、長老たちなどが集まっていた。 58 そのころペテロはというと、距離を保ちながら、イエスの後をつけていた。そして大祭司の庭に入り、これから起こることをその目で見るために看守たちの中にこっそりと紛れ込んでいた。
59 祭司長や最高審議会の議員たちはイエスの汚点をさっさと見つけて、死刑にする気満々だった。イエスは過ちを犯していた!とウソでもいい、そんな証言をする者を探しまわった・・・ 60 しかし、ウソの証言を並べる者はたくさんいるものの、根拠が全くなく、最高審議会はイエスを死刑に処すだけの理由を見つけられずにいた。そんな中2人の者が現れ、 61 こう証言した。「この人は一度、神殿を壊し、それを3日で建て直すと言っておりました!」
62 すると、大祭司が立ち上がりイエスに言った。「彼らがあなたにとって不利な証言をしていますが。これらの訴えに対し、何か反論はございますか?それとも彼らの言っていることは真ですか?」 63 「・・・・・・」イエスは黙ったまま、一向に口を開かない。大祭司はまたイエスに言った。「生ける神に誓って真実を述べなさい。あなたは神の子、選ばれし王なのですか?」
64 イエスは答えた。「そう呼びたければどうぞ。ですが言っておきましょう。あなた方はいずれ、人の子が全能である神の右の座に腰をすえている姿を見る。そして、天の雲に乗ってやって来るのを目の当たりにします」
65 「んなッ、なんでずどォォォーー!」ビリビリビリィィィーー!大祭司は怒り狂って、自分の服を引き裂いた!「え゛ーーぃ!もう十分だ。これ以上の証言はいらん!みなさんも聞きましたね。今まさにこの耳で、この人が神を侮辱するのを! 66 これを聞いたみなさんの考えを述べなさい」
ユダヤ指導者たちは答えた。「間違いなく有罪!死刑です!」
67 ペッ、ペッ!そのうちの何人かがイエスの顔に向かってツバを吐きかけた。ビシッ、ボコッ、ゴキ!さらには拳で殴る者もいれば、平手でたたく者もいた。 68 そこでこう言った。「預言者なら当ててごらん!いま殴ったのは誰だ?!ははは!」
イエスを知らないと言うペテロ
(マルコ14:66-72; ルカ22:56-62; ヨハネ18:15-18, 25-27)
69 そのころ、ペテロは大祭司の庭に座っていた。そこへ召使いの少女がやって来ると、ペテロを見て言った。「あなた!あなたは、あのガリラヤ地方から来たイエスと一緒にいた人でしょ?」
70 「お前は何を言ってるんだ?俺は知らん」ペテロはそこにいるみんなに対してこう言って否定した。
71 今度は中庭を出たところで別の女がペテロを見つけ、そこにいる人たちに言った。「ねぇ!この人、ナザレ村のイエスと一緒にいた人だ」
72 「か、神に誓って、俺はそんな男は知らない!」ペテロは再び否定し、イエスと一緒にいたことはないと言った。
73 その直後のこと・・・周りに立っていた者がペテロのもとに詰め寄ってくる・・・「間違いない!しゃべり方からしてあの男と一緒にいた男だ!」
74 それからペテロは叫んだ。「ふざけるな!神に誓って、俺はあんな男なんか知らない!もし俺が嘘をついてるって言うんだったら、神が俺に罰を食らわせたらいい!」ペテロがそう断言するとすぐ、・・・コッケコッコォォォ~・・・雄鶏が鳴いた。 75 すると、イエスに言われたことを思い出したペテロは、「雄鶏が鳴く前に俺を三度、イエスを知らないと言う・・・」「う、ゔわぁぁぁ〰〰〰〰〰〰!」と口にし、彼は外へ飛び出して、泣き崩れた・・・
Matthew 26
King James Version
26 And it came to pass, when Jesus had finished all these sayings, he said unto his disciples,
2 Ye know that after two days is the feast of the passover, and the Son of man is betrayed to be crucified.
3 Then assembled together the chief priests, and the scribes, and the elders of the people, unto the palace of the high priest, who was called Caiaphas,
4 And consulted that they might take Jesus by subtilty, and kill him.
5 But they said, Not on the feast day, lest there be an uproar among the people.
6 Now when Jesus was in Bethany, in the house of Simon the leper,
7 There came unto him a woman having an alabaster box of very precious ointment, and poured it on his head, as he sat at meat.
8 But when his disciples saw it, they had indignation, saying, To what purpose is this waste?
9 For this ointment might have been sold for much, and given to the poor.
10 When Jesus understood it, he said unto them, Why trouble ye the woman? for she hath wrought a good work upon me.
11 For ye have the poor always with you; but me ye have not always.
12 For in that she hath poured this ointment on my body, she did it for my burial.
13 Verily I say unto you, Wheresoever this gospel shall be preached in the whole world, there shall also this, that this woman hath done, be told for a memorial of her.
14 Then one of the twelve, called Judas Iscariot, went unto the chief priests,
15 And said unto them, What will ye give me, and I will deliver him unto you? And they covenanted with him for thirty pieces of silver.
16 And from that time he sought opportunity to betray him.
17 Now the first day of the feast of unleavened bread the disciples came to Jesus, saying unto him, Where wilt thou that we prepare for thee to eat the passover?
18 And he said, Go into the city to such a man, and say unto him, The Master saith, My time is at hand; I will keep the passover at thy house with my disciples.
19 And the disciples did as Jesus had appointed them; and they made ready the passover.
20 Now when the even was come, he sat down with the twelve.
21 And as they did eat, he said, Verily I say unto you, that one of you shall betray me.
22 And they were exceeding sorrowful, and began every one of them to say unto him, Lord, is it I?
23 And he answered and said, He that dippeth his hand with me in the dish, the same shall betray me.
24 The Son of man goeth as it is written of him: but woe unto that man by whom the Son of man is betrayed! it had been good for that man if he had not been born.
25 Then Judas, which betrayed him, answered and said, Master, is it I? He said unto him, Thou hast said.
26 And as they were eating, Jesus took bread, and blessed it, and brake it, and gave it to the disciples, and said, Take, eat; this is my body.
27 And he took the cup, and gave thanks, and gave it to them, saying, Drink ye all of it;
28 For this is my blood of the new testament, which is shed for many for the remission of sins.
29 But I say unto you, I will not drink henceforth of this fruit of the vine, until that day when I drink it new with you in my Father's kingdom.
30 And when they had sung an hymn, they went out into the mount of Olives.
31 Then saith Jesus unto them, All ye shall be offended because of me this night: for it is written, I will smite the shepherd, and the sheep of the flock shall be scattered abroad.
32 But after I am risen again, I will go before you into Galilee.
33 Peter answered and said unto him, Though all men shall be offended because of thee, yet will I never be offended.
34 Jesus said unto him, Verily I say unto thee, That this night, before the cock crow, thou shalt deny me thrice.
35 Peter said unto him, Though I should die with thee, yet will I not deny thee. Likewise also said all the disciples.
36 Then cometh Jesus with them unto a place called Gethsemane, and saith unto the disciples, Sit ye here, while I go and pray yonder.
37 And he took with him Peter and the two sons of Zebedee, and began to be sorrowful and very heavy.
38 Then saith he unto them, My soul is exceeding sorrowful, even unto death: tarry ye here, and watch with me.
39 And he went a little farther, and fell on his face, and prayed, saying, O my Father, if it be possible, let this cup pass from me: nevertheless not as I will, but as thou wilt.
40 And he cometh unto the disciples, and findeth them asleep, and saith unto Peter, What, could ye not watch with me one hour?
41 Watch and pray, that ye enter not into temptation: the spirit indeed is willing, but the flesh is weak.
42 He went away again the second time, and prayed, saying, O my Father, if this cup may not pass away from me, except I drink it, thy will be done.
43 And he came and found them asleep again: for their eyes were heavy.
44 And he left them, and went away again, and prayed the third time, saying the same words.
45 Then cometh he to his disciples, and saith unto them, Sleep on now, and take your rest: behold, the hour is at hand, and the Son of man is betrayed into the hands of sinners.
46 Rise, let us be going: behold, he is at hand that doth betray me.
47 And while he yet spake, lo, Judas, one of the twelve, came, and with him a great multitude with swords and staves, from the chief priests and elders of the people.
48 Now he that betrayed him gave them a sign, saying, Whomsoever I shall kiss, that same is he: hold him fast.
49 And forthwith he came to Jesus, and said, Hail, master; and kissed him.
50 And Jesus said unto him, Friend, wherefore art thou come? Then came they, and laid hands on Jesus and took him.
51 And, behold, one of them which were with Jesus stretched out his hand, and drew his sword, and struck a servant of the high priest's, and smote off his ear.
52 Then said Jesus unto him, Put up again thy sword into his place: for all they that take the sword shall perish with the sword.
53 Thinkest thou that I cannot now pray to my Father, and he shall presently give me more than twelve legions of angels?
54 But how then shall the scriptures be fulfilled, that thus it must be?
55 In that same hour said Jesus to the multitudes, Are ye come out as against a thief with swords and staves for to take me? I sat daily with you teaching in the temple, and ye laid no hold on me.
56 But all this was done, that the scriptures of the prophets might be fulfilled. Then all the disciples forsook him, and fled.
57 And they that had laid hold on Jesus led him away to Caiaphas the high priest, where the scribes and the elders were assembled.
58 But Peter followed him afar off unto the high priest's palace, and went in, and sat with the servants, to see the end.
59 Now the chief priests, and elders, and all the council, sought false witness against Jesus, to put him to death;
60 But found none: yea, though many false witnesses came, yet found they none. At the last came two false witnesses,
61 And said, This fellow said, I am able to destroy the temple of God, and to build it in three days.
62 And the high priest arose, and said unto him, Answerest thou nothing? what is it which these witness against thee?
63 But Jesus held his peace, And the high priest answered and said unto him, I adjure thee by the living God, that thou tell us whether thou be the Christ, the Son of God.
64 Jesus saith unto him, Thou hast said: nevertheless I say unto you, Hereafter shall ye see the Son of man sitting on the right hand of power, and coming in the clouds of heaven.
65 Then the high priest rent his clothes, saying, He hath spoken blasphemy; what further need have we of witnesses? behold, now ye have heard his blasphemy.
66 What think ye? They answered and said, He is guilty of death.
67 Then did they spit in his face, and buffeted him; and others smote him with the palms of their hands,
68 Saying, Prophesy unto us, thou Christ, Who is he that smote thee?
69 Now Peter sat without in the palace: and a damsel came unto him, saying, Thou also wast with Jesus of Galilee.
70 But he denied before them all, saying, I know not what thou sayest.
71 And when he was gone out into the porch, another maid saw him, and said unto them that were there, This fellow was also with Jesus of Nazareth.
72 And again he denied with an oath, I do not know the man.
73 And after a while came unto him they that stood by, and said to Peter, Surely thou also art one of them; for thy speech bewrayeth thee.
74 Then began he to curse and to swear, saying, I know not the man. And immediately the cock crew.
75 And Peter remembered the word of Jesus, which said unto him, Before the cock crow, thou shalt deny me thrice. And he went out, and wept bitterly.
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